2017年10月13日
アイデアよもやま話 No.3833 ネット通販の弱点を突いたニュービジネス!

7月19日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でネット通販の弱点を突いたニュービジネスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

新宿のはずれにあるセレクトショップstore a、2年前に開業し、国内のブランドを中心に生地や製法にこだわった商品を取りそろえています。

店長の一明 徹さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「基本的に個人でやっているセレクトショップって結局やってる内容って駄菓子屋と同じレベルのビジネスでしかないので、同じことを待っててもお客さんは来ないですし、集客が一番困ってますね。」

 

そこで、一明さんは集客のためにとインスタグラムなどのSNSを活用していますが、出店に費用がかかる大手のネット通販は導入していません。

一明さんが使っているのは「STYLER(スタイラー)」というアプリです。

お客の曖昧な要望に対し、様々なお店の店員が商品の提案をするというものです。

お客はある提案が気に入ったら、ネット上ではなく、そのお店に行って商品を購入します。

 

この「スタイラー」というアプリを開発した会社は、その名もスタイラー(STYLER)株式会社、2年前に創業したばかりです。

代表の小関 翼さんは、これまでアマゾンで事業開発を担当していました。

そこである弱点に気が付いたといい、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ミネラルウォーターとか自分の好きな漫画の単行本を買いたい時は、正直検索をする画面設計の方がすぐモノが探せると思うんですよね。」

「一方で、ファッションのアイテムとか抽象的なニーズ、例えばオフィスに履いていくようなスニーカーで長時間履いていても疲れないんだけどもちょっと都会的でかっこいいものが欲しいっていうようなニーズを探そうとすると途端にちょっと弱くなってしまうんですね。」

 

これまでのような大手ネット通販の検索方法ではお客の曖昧な要望には応えられないといいます。

「スタイラー」ではこうしたお客の曖昧な投稿にお店が応えることで、お客を掴みに行くことが出来るといいます。

また、例え投稿しなくてもタイムラインを眺めるだけで話題の情報を得ることが出来ます。

 

こうしたメリットについて、小関さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「いかに購買体験を向上させて来店客数を増やすとか、来店客1人当たりの売り上げを増やすことに取り組むべきと考えていて、我々のサービスはそこを可能にしているところが結構面白いのかなと考えています。」

 

まだ試験段階だというこのアプリ、現在はお店に無料で使ってもらっています。

大手セレクトショップでも「スタイラー」の導入が相次いでいます。

国内で6店舗を展開するアメリカン ラグ シー(AMERICAN RAG CIE)の名古屋店では、平日客足もまばらになった時に「スタイラー」の投稿をチェックしています。

店員の林 由花さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「休憩中ですとか通勤の時間帯に空いた時間を見つけてリプライ(返信)しています。」

 

「スタイラー」を使うことで、効率的な集客につながっているといいます。

広告などに頼らなくてもお店の外でも店員の力でお客を集めることが出来るのがメリットです。

 

「スタイラー」を利用しているKazueさん、「スタイラー」で購入したレザーのリュックサックについて、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「本当にだいぶ予算オーバーだったんですけど、上品なルックってなかなか無いじゃないですか。」

「それに対しての提案として、これ以上ないぐらいのものだったので、予算の2〜3倍くらい、それでも行って、その場で買っちゃいました。」

 

番組取材の日も、Kazueさんはお目当ての服を探します。

「今すぐ着られる白Tを探しています。個性的な白が欲しいです。」

このKazueさんの投稿に対して、お店からの提案は8件でした。

Kazueさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「正直、私の知らないお店ばっかりでした、投稿いただけるお店さんが。」

 

Kazueさんは、気になる一軒のお店を訪ねることにしました。

向かった先は冒頭でご紹介したstore aでした。

Kazueさんは、そこで試着した白いTシャツばかりでなく、スキニーパンツまで予算オーバーしてしまいましたが購入していました。

このように、お店に来てもらうことで、お店としては当初の予定以上の購入を促すことも出来ます。

一明さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(「スタイラー」は)」売り上げにもつながっているんですけど、知ってもらうことと来ていただけることに関して効果があったと言えますね。」

 

小さなお店でも「スタイラー」を使うことによって、価格ではなく商品や提案の力で集客が出来ると期待しています。

ネットを活用したお店とお客をつなぐ取り組み、集客の新たなカギとなるのでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私も季節の変わり目には、ユニクロやアウトレットなどに出かけることがあります。

そうした時に、自分の好みに合うようなシャツやジーパンを探しても中々見当たることがありません。

ですから、予算のこともあり、適当なところで妥協して購入するというのがパターンです。

また、「スタイラー」を立ち上げた小関さんのおっしゃるように、大手ネット通販の検索方法ではお客の曖昧な要望には応えられません。

そうした中、「スタイラー」はこうしたお客の曖昧な投稿にお店が応えることで、お客を掴みに行くことが出来るのです。

要するに、ネットを窓口にして実店舗に誘導することにより、お客に実際にお店に来てもらい、お客のきめ細かな要望に応えることが出来るという、大手ネット通販のみならずユニクロなどの量販店にはないサービスの差別化を行っているのです。

 

勿論、こうしたお客は、ファッションにこだわりの強い一部の限られた客層ですが、対応するお店もどちらかといえばユニークなデザインの商品を使う小さな店舗がメインですから十分採算が合うと見込まれるのです。

また、「スタイラー」に登録したショップ間の競争も厳しいので本当に顧客に受け入れられるようなユニークな商品を扱うショップ間、あるいは個々のショップとお客とのファッションを巡る真剣勝負の場と言えます。

 

ですから、今回ご紹介したアプリ「スタイラー」のようなサービスがあれば、ファッションにとてもこだわりのある人たちは予算オーバーしてもとても満足感の得られる買い物が出来ると思います。

同時に、こうしたお客の声に応えるお店にとってもお客の潜在的な要望を把握出来る貴重な場となるのです。


 
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