7月17日(月)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で害獣対策の最終兵器、“オオカミ型ロボット”について取り上げていたのでご紹介します。
イノシシやシカなどによる農作物の被害は全国で年間約176億円にも上ります。(2015年度・農水省HPより)
害獣被害に悩んでいる木更津市では、罠の設置や猟友会による駆除を行っていますが、追いつかず、農業被害額はこの5年間で4倍にも増加したといいます。
ある地元農家は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「この周辺で食べる物がないから、こんなもん(育つ前の農作物)でも食べちゃうんです。」
「憎らしいですよね。」
最近、特に増えているのがイノシシです。
トウモロコシ畑では育つ前の身までも食い荒らされていました。
そこで、7月始めにJA(農業協同組合)が導入したのが最終兵器、太陽光電池を動力にしたオオカミ型ロボット、”スーパーモンスターウルフ“です。
半径20m以内に動物が近づくとセンサーがその体温を感知します。
そして、1km先まで届く鳴き声で周辺の動物を全て追い払うといいます。
野生動物が音に慣れないよう、声のバリエーションも18種類用意されています。
北海道で実証実験を重ね、完成したというオオカミ型ロボットですが、その原型ともいえる1号機は“モンスタービーム”という機械でした。
この1号機の効果に自信を深め、オオカミの姿に進化させた2号機“モンスターウルフ”を作ったといいます。
開発者で株式会社太田精器の太田 裕治社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「オオカミが野生動物の天敵であったということ、現在の野生動物にとってもDNAというのが引き継がれていると思ったので、そういう形(オオカミ型)にさせていただきました。」
北海道ではシカの他クマにも絶大な効果を発揮しています。
しかし、今回、木更津市では北海道にはいないイノシシが相手、そこで2号機の“モンスターウルフ”に更に改良を加えた3号機“スーパーモンスターウルフ”を送り込んだのです。
2号機との違いは首の動きです。
太田社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「動くことによってより生きているというかたちになりますのでリアリティが増すと思うんですよね。」
実際にその効果を確かめるため田んぼで張り込みをしていると、イノシシの姿は見当たりません。
翌朝、田んぼの持ち主と確認しに行くと、イノシシの形跡は見られませんでした。
以前、毎日のように現れていたというイノシシですが、設置してから約1週間農作物への被害は出ていないということです。
この“スーパーモンスターウルフ”、日本の田畑を守る救世主となるのでしょうか。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組の中で地元農家の方のおっしゃった「この周辺で食べる物がないから、こんなもん(育つ前の農作物)でも食べちゃうんです」という言葉がとても印象的でした。
人類と野生動物の間には、かつて里山を挟んで住み分けが出来ていましたが、人類の追求する飽くなき豊かさに対する欲望と技術革新が相まってどんどん野生動物の生活圏を侵食していった結果が野生動物による田畑の被害につながっているのです。
ですから、こうした被害に対する短期的な対応策として今回ご紹介した“オオカミ型ロボット”は効果的ですが、根本的な対応策は野生動物との共生を前提とした解決を図るべきなのです。
また、森林保護の観点からも人類は“地球の住民”であるという意識を強く持つことが求められるのです。
このまま人類による環境破壊が進めば、行き着く先は環境破壊が進んで野生動物などが絶滅し、荒れ果てた地球と人類の無機質な暮らしがあるのみの地球になってしまいます。