2017年09月26日
アイデアよもやま話 No.3818 技術力で医療サービス向上の事例 その1 ポケットサイズで心臓診断!

7月6日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で技術力で医療サービス向上の事例を2つ取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、ポケットサイズの機器で出来る心臓診断についてです。

 

オンライン医師相談サービスのアスクドクターズ(AskDoctors)の協力でおよそ1000人を対象に番組独自で調査した結果、実に約6割の人が病院の待ち時間に不満を持っているということです。

更に、実際に通院している病院でどれくらい待つのかを聞いたところ、30分〜1時間以内という人がおよそ7割もいるのです。

また、診察時間が5分以内だったという人が全体の約7割を占めています。

これが日本の医療の現実なのです。

 

この問題の原因となっているのが医師の数なのです。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、人口1000人当たりの日本の医師数は2.4人で、調査出来たOECD加盟国32ヵ国の中で28番目という結果なのです。

一方、医師の数は簡単には増やせません。

 

こうした医療の問題を技術の力で解決しようという企業があります。

7月6日に開催されたGEヘルスケア・ジャパンの新型医療機器の発表会で、多田 荘一郎社長がポケットから取り出したのはスマホではなく、ポケットサイズの超音波診断装置「Vscan Extend」(価格98万円(税別))、いわゆるエコー装置です。

その証拠に端末から伸びたケーブルの先にはプローブと呼ばれる肌に触れる部分があります。

この診断装置はWi-Fiにも対応していて、画像データを離れた場所にいる医師に送ることが出来ます。

東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺 弘之ハートセンター長は、この診断装置の使い方について、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「心臓は胸の真ん中からよる見ることが出来ますので、そこに(プローブを)当てますと、それだけで心臓の構造を見ることが出来ます。」

「学生でもナースでも使えます、スイッチ入れるだけですから。」

 

「初期診断として、病気の有無をある程度推定するには十分です。」

「例えば、心電図では心臓の動きは分からないんです。」

「診察には限界があります。」

「(超音波診断装置を)当てるだけで動きが良いか悪いかが分かりますので。」

「何よりも、この画像を見ることで患者さんに安心していただけるんじゃないかと思います。」

 

この診断装置を使えば、心臓の超音波映像により弁が開閉する様子もはっきりと捉えることが出来ます。

更に、赤は心臓に戻る血液、青は心臓から出る血液というように、血液の流れを色で表すことも出来ます。

 

早期診断につながり、医師不足にも一役買いそうなこの新型装置、災害時にも活用出来るといいます。

多田社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「災害地における被災された所で行われる医療は限られたわけですけども、エコノミークラス症候群などの病状についても、エコーがあればある程度看ることが出来ますし、今まで看ることが出来なかった所で使うことが出来る。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

冒頭でお伝えしたように、病気やケガで通院する際、病院までの移動時間は別にしても、病院で診察を受けるまで待たされる時間、そして会計を済ませるまでの時間、更に薬局に処方箋を渡して薬を受け取るまでの時間、こうした時間に比べて、診察時間は5分もかからないケースがとても多いように感じます。

 

そこで、今回ご紹介したポケットサイズの超音波診断装置のように、簡易的な診断装置があり、看護師の方、あるいは患者自らが操作して診断出来るようになり、その結果を見て、医師が初期診断出来るようになれば、とてもスムーズに診察が進むと期待出来ます。

ですから、医師による診断作業を支援するような簡易的な装置が今後とも開発されることにより、診断内容が一定の品質基準をクリア出来るうえ、診察時間が短縮されると期待出来ます。

 

更に、診察結果から会計処理、そして薬の処方箋の受け取り、薬局での薬の受け取りという一連の流れをシステム化すれば、現在の通院に係わる様々なプロセスは簡素化され、患者にとっても病院にとっても、そして薬局にとっても大きなメリットがあり、更には医療費の削減にもつながると期待出来るのです。


 
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