2017年09月25日
アイデアよもやま話 No.3817 動き出す”救命アプリ”!

7月3日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で動き出す”救命アプリ”について取り上げていたのでご紹介します。

 

街で倒れている人に遭遇した時、すぐに対応出来るでしょうか。

日本では1日に約200人の人が心臓突然死で亡くなっているといいます。

1秒でも早い対応が必要ですが、都内で救急車が到着するまでの時間は出動件数が急増している影響もあって平均で10.8分といい、これは日本で最も遅いといいます。

こうした中、救命率を少しでも上げようとあるスマホのアプリが動き出そうとしています。

 

「コエイド119」というアプリを開発したコエイド株式会社の玄正 慎社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(このアプリを開発した理由について、)救急車の到着時間が年々遅れています。」

「AEDは非常に沢山設置されているんですけども、中々その活用が難しい。」

「そういったAEDが必要な時を知ることが出来なかったり、場所が分からない、こういった問題を情報共有で解決したいと考えています。」

「(「コエイド119」について、)このアプリは、119番通報をしながら、周りの医療知識のある方、AEDの設置施設にも連絡がいって、自動で電話がかかってAEDを届けていただくといったことを実現するためのアプリです。」

 

スマホ上の「コエイド119」の画面の赤いボタンを押すと、現在地が表示され、SOSが発信出来ます。

119番通報と同時に、周囲のAEDを設置している施設やアプリを登録している人にSOSを発信、すると発見者のもとに続々と助けが来るというものです。

これで、救急車が来る前に素早く対応出来るのです。

 

救急車が到着するまでの救命率を上げるためには、より多くの人にこのアプリを登録してもらうことが重要です。

そこで、玄正社長はアプリの普及に協力してもらうため大企業を巻き込もうとしており、玄正社長は、第一生命保険 池袋総合支社(東京都豊島区)に売り込みに訪れました。

そして、こちらの営業職員が「コエイド119」に登録し、更に顧客にもアプリを紹介することになりました。

角谷 順一朗支社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「営業職員自体がお客様のところに定期的に訪問して、見守り活動はしていますので、アプリをしっかりとご案内していくというところからのスタートかなと。」

 

このアプリを広めることは生命保険会社側にも将来的にメリットがある考え、玄正社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「このアプリが普及することによって、心筋梗塞で亡くなるような方が減るということになれば、実際に生命保険会社さんにとっては保険金を支払うケースが少なくなると考えられます。」

 

なお、コエイドでは半年間で医療従事者など700人、一般人で1万4000人の登録を目指しています。

 

さて、先日、神奈川県横須賀市にある大規模マンション、ソフィアステイシアで住民向けに「コエイド119」の説明会が開かれました。

実は、心臓停止の発生場所の約7割は住宅だといいます。

玄正社長は、マンションでこそアプリが威力を発揮すると考えています。

なので、説明会では次のようにおっしゃっています。

「マンションは、オートロックなどがあり、不審者対策や安全管理のために外部の人を簡単に入れないようにしていると。」

「それによって、実は緊急時に助けに行っても入れないわけです。」

「なので、この中だけで機能する仕組みを作る必要がある。」

 

マンション用のシステムは、外部の人には連絡がいかず、119番通報と同時に管理人や登録者全員に通知がいきます。

連絡を受けた人は、素早く現場に向かうという仕組みです。

しかし、住民の反応では、使い勝手などまだまだ改善の余地があるということですが、玄正社長はこうしたマンション用のシステムにビジネスチャンスがあると見ており、次のようにおっしゃっています。

「こういった社会課題解決の仕組みは、受益者からお金を取るのが難しいという問題があります。」

「そこをこういった専用のシステムを導入いただくことで受益者が明確になり、対価をいただけるモデルに昇華出来ると考えております。」

 

さて、「コエイド119」は7月中に配信開始予定といいますが、このアプリが命を救う救世主になる日はそう遠くないかもしれません。

なお、「コエイド119」普及のための実際の動きですが、まずは東京都豊島区と組んで実際の運用を始め、徐々に広げていくということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した「コエイド119」は、IoT(モノのインターネット)の活用の好事例と言えます。

「コエイド119」に登録することによって、119番通報をしながら、周りの医療知識のある方、AEDの設置施設にも連絡がいって、自動で電話がかかってAEDを届けるというように、心肺停止で困っている人を軸に、その人の居場所や救命措置の支援に関係する人や組織がインターネットでつながることによって、より救命効果を高めることが出来るようになるからです。

 

こうした基本的な考え方は、心肺停止で困っている人だけでなく、いろいろな状況を想定して、効率的、かつ効果的な解決策を提供するうえでとても有効だと思います。

インターネットを通じて、人も含めてあらゆるモノがつながることによって、目的に応じて様々な解決策の実施につなげることが可能になるのです。


 
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