2017年09月12日
アイデアよもやま話 No.3806 新型「リーフ」の登場から見えてくること その2 EVを巡る海外の動き!

9月6日(水)に発表された新型「リーフ」から見えてくることについて、いくつかの報道記事を参考に5回にわたってご紹介します。

2回目は、EVを巡る海外の動きについてです。

 

9月6日(水)、および9月7日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)、そして9月6日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でEVを巡る海外の動きについて取り上げていたのでご紹介します。

なお、一部については9月13日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)の内容を追記しております。

 

世界の自動車市場が大きく変わろうとしています。

現在、エコカーの代表格といえばハイブリッド車ですが、世界の販売台数は、2017年で約200万台が2035年には約458万台になると予測されています。

それに対して、EVの販売台数は2017年の約50万台が2035約630万台へと急増し、ハイブリッド車を追い抜くと予測されています。(富士経済調べ)

 

このように、世界の自動車市場でEVの存在感が急速に高まりつつある中で、世界的にEVシフトが急速に進んでいます。

昨年1年間に販売された世界のEVの販売台数は46万台あまりと5年前の10倍以上に増加しました。

背景にあるのは、各国の環境対策の強化です。

今年7月にはイギリスとフランスの政府が2040年以降はディーゼルやガソリン車の販売を禁止すると発表しました。

こうした流れを受けて、ドイツのフォルクスワーゲンは、10年間で30車種以上のEVを投入する方針を示している他、スウェーデンのボルボは、2019年以降は全車種電動化するとしています。

一方、自動車の世界最大市場、中国でも深刻な大気汚染対策として、ガソリン車などの生産・販売を禁止するためのスケジュールをつくる方針です。

また、中国では来年から生産台数の一定の割合をEVにすることをメーカー側に義務付ける方向で調整が進められています。

 

こうした中、自動車メーカー各社はEVの開発にしのぎを削っています。

番組ではドイツで始まった世界有数のモーターショーの模様を取材していましたが、ドイツのBMWは、最高時速200km、フル充電での航続距離600kmのEVを発表しました。

また、フォルクスワーゲンはこれまでの計画を大幅に前倒しし、2025年までに50車種をEV化するとしています。

 

世界的に盛り上がるEVシフトですが、ロンドンの街を走るタクシーは「ブラックキャブ」の愛称で呼ばれ、観光客にも人気です。

今はディーゼルエンジンで走っていますが、内外装にレトロな雰囲気は残しつつ、今年11月に導入される車からおよそ2万台全てが15年かけて電動化されることになりました。

一度の充電での走行距離は約110km、長い距離を走る場合は発電専用の小さなエンジンを回してバッテリー切れを防ぎます。

「ブラックキャブ」が電動化される背景にあるのが、車の排ガスによる大気汚染です。

ロンドン市はこれまでも平日中心部に乗り入れる車に課金して、車の通行量を減らそうとしてきました。

ここ数年中心部の幹線道路には自転車専用レーンを増やし、大気汚染対策を進めています。

市内を流すタクシーにも着目して電動に切り替えるようにしたのです。

ロンドンの交通局は、今後街中の各所に充電スポットを整備していく計画です。

ロンドン交通局企画担当のリリー・マッツンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ロンドンを欧州一の環境都市にするため、タクシーの電動化は重要な一歩になる。」

 

新しい「ブラックキャブ」を環境対策のシンボルに、大きな期待を背負ってロンドンの街を走り始めることになります。

 

EVシフトの状況について、関口 博之解説委員は次のようにおっしゃっています。

「大気汚染防止という点から言えば、その電気をどう作るかということも合わせて考えていかなければならない課題です。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

環境対策の強化を背景に、世界各国の多くの自動車メーカーはEVの普及に熱心に取り組んでいるようです。

しかし、まだガソリン車に比べて割高なEVの普及促進には相変わらず補助金制度が大きく影響を与えているようです。(詳細はこちらを参照)

 

なお、科学誌「応用エネルギー」今年5月10日号によると、中国のエネルギー専門家の調査で、中国のEV生産と運用には石油系エネルギーを使うために、温室効果ガス排出量と総エネルギー消費量は、石油自動車と比較して約50%増加すると指摘したといいます。(詳細はこちらを参照)

ですから、関口解説委員の指摘が中国ではまさに的中していると言えます。

 

EV普及の先にある持続可能な社会の実現のためには、いずれの国においてもEVを生産するために使用する電気も充電に必要な電気も太陽光や風力など再生可能なエネルギーにより発電した電気を使用することが求められるのです。


 
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