2017年09月09日
プロジェクト管理と日常生活 No.505 『検討の進む天体衝突のリスク対応策 その2 国際的なリスク対応策!』

前回、プロジェクト管理と日常生活 No.503 『日本喪失を招く巨大カルデラ噴火!』で火山国、日本の抱えるリスク、およびその対応策についてお伝えしました。

今回は、地球規模で抱えるリスクの一つ、すなわち天体衝突についてです。

 

これまで地球に小惑星が衝突する危機を題材にした映画はいくつもありました。

そして、長い地球の歴史の中で何度か実際に小惑星などの天体が衝突した跡が世界各地に残されています。

そうした中、5月31日(水)放送の「クローズアップ現代+」で「人類のピンチ!?天体衝突を回避せよ」をテーマに取り上げていました。(詳細はこちらを参照)

そこで、番組を通して現在における天体衝突のリスク、およびその対応策について3回にわたってご紹介します。

2回目は、天体衝突の国際的なリスク対応策についてです。

 

前回お伝えしたように、日本科学未来館(東京都お台場)で今年5月にNASAをはじめとする各国を代表する研究機関の専門家たちが集まり、「地球防衛会議」が行われました。

この会議で想定された小天体衝突を回避する方法で真っ先に挙がったのは次のアイデアです。

「小型の爆弾を使うのはどうでしょうか?軍の力を借りなければならないので、機密事項も多くなってしまいますが、小天体の軌道を変えられるかもしれません。」

 

今、最も現実的だと考えられているのが、人工物を小天体にぶつけることで破壊したり、軌道を変えたりする「衝突方式」です。

2005年、NASAは小天体へ「インパクター」と呼ばれる人工物を命中させることに成功しています。

こうした技術を応用すれば実行可能な対策だと考えているのです。

しかし、衝突方式に反対する意見が出されました。

「私は破壊には反対です。どれくらいの破片が発生するか分かりませんからね。」

 

砕けた破片は制御できないため、やはり地球に衝突する恐れがあるというのです。

そこで、提案されたのが次の方法です。

「スロープッシュという方法もあるかもしれません。」

 

スロープッシュ、もっと緩やかに軌道を変えるやり方です。

その1つが「けん引方式」というものです。

まず、小天体の近くに探査機を送り込みます。

すると、小天体と探査機の間には引力が働きます。

その後、探査機を操作することで、少しずつ小天体を引っ張り、衝突軌道からそらすというのです。

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更にNASAは、もっとユニークなスロープッシュのアイデアを検討しています。

それは、探査機を使い、小天体に特殊な塗料を吹きかけるという方法です。

一体なぜ、これで軌道を変えられるのでしょうか。

小天体は、太陽の周りを回りながら、同時に自転もしています。

太陽によって温められた面が影に入ると熱が放射されますが、これがわずかな力となって、天体の軌道に影響しています。

小天体に色をつけることで、熱の吸収率を変えれば、軌道を変化させられると考えているのです。

これらの方法は、衝突方式のように破片を出すことはありませんが、軌道を変えるためには、数10年単位の長い時間が必要となります。

 

こうして、5日間の議論は終了し、衝突回避の方法は、衝突方式を試そうという結論に至りました。

小天体の地球到達まで時間が限られている今回の条件では、破片のリスクは取ってでも衝突方式がベストとされたのです。

吉川さんは、次のようにおっしゃっています。

「(衝突方式が最終的な結論とされたが、これはどの程度現実的な選択肢なのかという問いに対して、)今のところ、衝突方式が一番現実的なんですが、ただ条件があって、相手の小惑星の大きさが100メートルか、せいぜい数百メートル。要するに小さい。それから、もう1つは衝突までの時間が10年以上はあるという、そういう条件がありますね。その場合には、探査機、宇宙船を小惑星にぶつけることによって、軌道を微妙にそらすという方法が非常に有効になっています。」

「(ただ、小天体が大きくて、しかも時間がないという場合にはこの方式はどうなるのかという問いに対して、)その場合には、この方式ですと軌道がずれないんですね。その場合に、もっと大きなエネルギーが必要になってしまって。例えば、核エネルギーを使うとか、そういったことが検討はされています。」

「(一方、けん引方式や塗料を塗るというユニークな方式もあったが、これはどの程度現実的な方法なのかという問いに対して、)けん引方式というのは、万有引力を使うんですね。そのためには、非常に大きな宇宙船を作って小惑星との間の引力を強くする必要があるんですが、それでも、50年、100年という時間がかかってしまいます。それから、もう1つ、オシリス・レックスが打ち上がったというビデオがありましたけれども、これは太陽の光が小惑星の軌道にどう影響するか、それを正確に調べようというのが目的でして、これも実は時間がかかるんですね。だから、なかなか短時間で軌道をそらすには難しいと思います。」

「( ただ、そういった探査機を打ち上げて研究は始まったということなのかという問いに対して、)そうです」

「(このほか、情報伝達など、別のグループでも議論があったが、その他の課題としてはどういうことが議論されたのかという問いに対して、)まず、一般の人にどう正しく情報を伝えるか、パニックを起こさないようにするかとか、あるいは国際協力でどのようにやっていくか。そういうところで、今は国連で随分議論が進んでいます。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以下に、地球防衛会議で提言された天体衝突のリスク対応策をまとめてみました。

1.小型爆弾による小天体の軌道変更

2.人工物を小天体に衝突することによる破壊や軌道の変更

3.スロープッシュによる小天体の緩やかな軌道変更

 ,韻鶲方式

   小天体の近くに探査機を送り込み、両者の間に働く引力により軌道を変更

 探査機を使い、小天体に特殊な塗料を吹きかけ、熱の吸収率を変えることによる軌道の変更

 

やはり、各国を代表する研究機関の専門家たちが集まっただけあって、スロープッシュなどは普通の人にはちょっと思いつかない対応策のアイデアだと思います。

しかし、上記のリスク対応策の中から、小天体の地球到達まで時間が限られているという今回の条件では、破片のリスクは取ってでも衝突方式がベストとされたのです。

 

さて、上記のリスク対応策は、全て小天体の衝突を前提としていますが、地球に衝突する可能性は小天体に比べてとても低いものの大きな天体が衝突した場合のリスク対応策として核エネルギーを使用するというアイデアが検討されているといいます、

しかし、この場合、破壊された天体の大小の破片が数多く地球を目がけて飛んでくると思います。

そして、その被害は相当な規模になると思われます。

そこで、巨大天体の衝突の究極のリスク対応策の一つのアイデアとして思い出されるのがプロジェクト管理と日常生活 No.503 『日本喪失を招く巨大カルデラ噴火!』でもお伝えした空中、あるいは海中の都市、更には火星など他の惑星への一時的な緊急避難です。


 
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