歯の痛みと言えば、虫歯が原因と多くの人たちは思いがちです。
そうした中、8月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で虫歯ではない歯の痛みについて取り上げていたのでご紹介します。
これまで虫歯と思われていた歯の痛みに、虫歯が原因ではないケースがあることが分かってきました。
栃木県に住む60代の女性、田村 幸子さん(仮名)は、およそ3ヵ月前に虫歯のような歯の痛みを感じて歯科クリニックで治療を受けました。
治療のために歯を抜きましたが、痛みがなくならなかったといいます。
田村さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「抜歯してもらったんですが、それでも痛みが続いているんで精神的に参ってしまって、年も年だからこのまま死んでもいいかなみたいな感じになってしまったんです。」
実は、田村さんの歯の痛みは虫歯が原因ではありませんでした。
そこで、元赤坂吉見歯科 顎関節症・口腔顔面痛センター(東京都港区)で受診したところ、ある病気が見つかりました。
田村さんの病気は、非歯原性歯痛でした。
非歯原性歯痛とは、虫歯が原因ではないのに歯の痛みを感じる病気です。
2012年に「非歯原性歯痛診療ガイドライン」が作成されたばかりで、まだ歯科医師の中でも一般的ではありません。
こちらのセンターの和嶋 浩一歯科医師は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「歯が28本あるんですけども、全部(の歯の)神経を抜いても痛みが止まらないというのがよく学会とかで報告されます。」
非歯原性歯痛は、顔の筋肉の緊張などが原因で起こることが分かってきました。
顔や歯などの神経は途中で一つになり、脳につながっています。
ストレスなどにより顔の筋肉が緊張し続けると、脳が顔の筋肉の痛みを歯の痛みと錯覚してしまうのです。
では、その治療法はというと、痛みの原因である顔の筋肉をほぐすことです。
口の中に指を3本入れ、顔の筋肉のストレッチを行います。
更に、超音波を発生させる器具を使って、口の外からもマッサージをします。
田村さんはおよそ1ヵ月間治療を続け、歯の痛みはほとんどなくなりました。
これまで治療を受けた患者の約8割が改善したといいます。
ちなみに、治療費は全額自己負担で初診料を含めて5万円ほどといいます。
和嶋歯科医師は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「8割の人は指導すると、1ヵ月以内に症状はほぼ改善してきます。」
「そこまでの非歯原性歯痛は一般的には広まっていない。」
「なんとかして皆さん(患者)、お医者さんにも啓蒙・啓発を学会としてはやっています。」
意外な病気も潜んでいることもある歯の痛み、歯に痛みを感じたら早めに歯科クリニックを受診することが大切です。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
それにしても、虫歯ではない歯の痛みがあるという事実には驚きです。
また、その原因が顔の筋肉が緊張し続けることにあり、脳が顔の筋肉の痛みを歯の痛みと錯覚してしまうこと、そしてそれは顔や歯などの神経は途中で一つになり、脳につながっていることに起因していることにはあらためて人間の身体と言えどもシステムとして成り立っていると思わされます。
ということは、人間の身体の構造を徹底的に分析することによって、未だ原因の解明されていない難病も、今回ご紹介した歯の痛みと同様に原因と病気との因果関係が明らかになり、治療に結びつけることが出来るようになると期待出来るのです。
さて、なぜ顔や歯などの神経は途中で一つになり、脳につながっているのかちょっと気になります。
もし、一つにつながっていなければ、脳が顔の筋肉の痛みを歯の痛みと錯覚してしまうことはないからです。
人の身体システムも省エネの構造になっているためだからでしょうか。