2017年08月29日
アイデアよもやま話 No.3794 脳波で感情の見える化 その2 脳波で感情を識別!

これまでアイデアよもやま話 No.2449 念じるだけで機械の操作が可能に!などで脳波関連について何度となくご紹介してきました。

そうした中、6月17日(土)放送の「ミライダネ」(テレビ東京)で「脳波を使って感情の見える化」をテーマに取り上げていたので3回にわたってご紹介します。

2回目は、脳波による感情の識別についてです。

 

脳波はモノを動かすだけではありません。

画期的な脳波で人の心を読む研究で今注目を浴びている株式会社リトルソフトウェア(東京都港区)代表の川原 伊織里さんは、頭から微弱な電流が流れているその電気、すなわち脳波を脳波計でキャッチして人の感情をセンシングし、人の感情の判別する研究・開発をしています。

 

身体を動かす役割がある脳波は、アルファ波やベータ波など5種類に分類出来ます。

その時の心や身体の状況に応じて出てくる種類や量が変化するのです。

リラックスしている時に出やすいアルファ波、単純作業の時に出やすいベータ波、運動中に出やすいガンマ波などがあり、それぞれの脳波の量が測定出来ます。

そして、平常心、イライラ、快適など9種類の感情を感じる時、どの脳波がどれだけ係わるかを川原さんは独自に計算、リアルタイムで数値化することに成功したのです。

 

脳波から人間の感情が分かるというこのシステムは、川原さんが1年前に開発に成功、日本初の試みということで、話題になっています。

脳波でビジネスをやろうと会社を立ち上げたのは3年前、それ以前は大手電機メーカーでデータ解析の仕事をしていた川原さん、大学の脳波研究に携わり、ここで体験したことが起業するきっかけになりました。

川原さんは、このことについて番組の中で次のようにおっしゃっています。

「病院で検査しているとリラックスしてないですね。」

「ストレスで固まっちゃいますよね。」

「ところが、これ(脳波計)を例えば家に持ち帰ると、家に帰った時のリラックスがちゃんと脳に出てくるんですよね。」

「で、私はそこに注目したんですよ。」

「もしかすると、脳波計を使って人間のメンタル面とかいろいろとセンシング出来るんではないか。」

「それが分かれば、逆に言うと今ストレス社会ですよね、そういうところも少しずつ変えるんじゃないかっていう本当に簡単な気持ちからここの世界に飛び込みました。」

          

これまで脳波の測定が行われていたのは、主に医療分野、脳の障害の発見などに使われていました。

ところが、川原さんは脳波から感情が分かるのではないかと考え研究をスタート、しかし、研究には膨大な脳波のデータが必要でした。

そこで、川原さんは自らを実験台にしました。

通勤、食事、お風呂、睡眠と四六時中脳波計を付け、3年間データを採り続けたのです。

今では川原さんだけでなく、他の社員も日頃から脳波計を着用しています。

データを収集するだけでなく、自分自身を冷静に見つめることも出来るといいます。

「イライラしていても「いや、私はしていない」と否定したくなりますよね、人間て。」

「あえてこれ(脳波計)を見た時に、「自分って今こうなんだな」って自分を知るためにも使っています。」

「人間て面白いんですけども、例えばイライラってしても、その後自分で切り替えなきゃと思うと必ず平常心になって・・・」

 

川原さんの会社では現在、世界各地の企業や団体に脳波計と専用のソフトを貸し出しています。

世界中から集まった膨大なデータを元に改良され、精度はどんどん上がっているといいます。

 

脳波で感情を見える化する技術に今多くの企業が注目しています。

コピー機やプリンターで知られる富士ゼロックス(横浜市西区)で、コピーを取っている社員がコピー中にどんな感情が表れるのかを調べました。

コピーが始まると、まずイライラが上昇、緊張していることが分かります。

しかし、コピーが順調に進むにつれてイライラが減り、快適が増えていきます。

なぜコピーをする時の感情を調べているのか、その理由について、富士ゼロックス デバイス開発本部の山科 晋さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「具体的には話せないんですけども、今後快適なオフィス環境を作っていくために、脳波を使うことによって、新しいサービスを作っていきたいと考えています。」

「これまで感性価値を定量化するのが非常に難しかったんですけども、脳波を測ることによって数値化出来ることによって、その価値が「見える化」出来たのが非常に大きいかなというふうに・・・」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまでアイデアよもやま話 No.1778 科学で見通されてしまう人のココロ!などで何度かお伝えしてきたように、脳波で人の感情を読み取る研究は多くの研究者により進められているようです。

今後とも脳波の研究はどんどん進み、その過程で様々な応用分野が出てくると期待出来ます。

そして、脳波による直接いろいろなコントロールが出来るようになれば、それだけ私たちの暮らしはシンプルになり、それは省エネにつながると期待出来ます。


 
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