2017年08月06日
No.3774 ちょっと一休み その606 『 G7サミットから見えてきた日本外交のあり方!』

6月2日(金)放送の「国際報道2017」(NHKBS1)でG7サミットにおける安倍総理の果たした役割について取り上げていました。

そこで、番組を通して今後の日本外交のあり方についてご紹介します。

 

5月26日、27日とイタリアのタオルミーナで開催されたG7サミットの取材に当たった岩田 明子NHK解説委員は、次のようにおっしゃっています。

「これまで何度もサミットは取材したんですけども、今回最もハラハラしましたね。」

「最大の注目はトランプ大統領でした。」

「(日本はどういう姿勢で今回のG7サミットに臨んだのかという問いに対して、)一言でいいますと“仲介役”。」

「G8だった頃にG7とロシアが対立する場面があったんですけども、今回は欧州の首脳たちとトランプ大統領の対立でした。」

「つまり、価値観を共有するG7の中での対立なんですね。」

「安倍総理大臣が間に入って仲介しました。」

「最も激しい対立となったのが最大の焦点だった貿易です。」

「公正でない貿易でアメリカが不利益を被っているとして、トランプ大統領は保護主義を掲げていますが、それに対して反保護主義の欧州と日本という対立構図です。」

「トランプ大統領がどの国との貿易も相互に互恵的でなければならないと述べ、暗にドイツとの貿易不均衡は許さないと主張しました。」

「すると、(ドイツの)メルケル首相は「なぜ保護主義を主張するのか分からない、あり得ない。」と一喝。」

「議論が白熱する中、トランプ大統領がメルケル首相を睨みつける一幕もありました。」

「ここで安倍総理が間に入ります。」

「トランプ大統領に対し、「保護と保護主義は意味が違う、例えば著作権などを保護するのは保護主義ではない。国が守りたい重要品目に関税をかけて保護するのも保護主義ではない。アメリカは最も開かれた市場の一つであり、その国のリーダーが保護主義を主張すべきではない。」ととりなすと、トランプ大統領も納得した様子を示したということなんですね。」

「結果、首脳宣言は「不公正な貿易慣行に断固たる立場を取りつつ、開かれた市場を維持するとともに保護主義と戦う。」こういうかたちに落ち着いたのです。」

「そして、もう一つ議論が紛糾したのはパリ協定に関してです。」

「欧州各国がアメリカに協定への残留を迫ると、トランプ大統領はマイクをオフにしたままヤジを飛ばして断固として脱退の意志を覗かせていました。」

「そこで安倍総理は「気候変動問題に取り組むと雇用を奪ってしまうと懸念する声もある。しかし、それは違う。むしろ、取り組みによってビジネスチャンスが広がる。アメリカはイノベーションで世界の最先端にいるんだからドナルドにはリーダーシップを発揮して欲しい。」と発言しました。」

「つまり、アメリカなら雇用と地球温暖化防止、これらを両立可能だと説得しますと、トランプ大統領は頷いて聞いていたということなんですね。」

「しかし、結局これに対しては折り合いがつかず、首脳宣言では「アメリカの立場に留意しつつ、他の首脳はパリ協定を迅速に実施する」として、一部の国が参加しない合意が明記される、極めて異例なかたちの首脳宣言になったんです。」

「実際、冒頭でお伝えしましたように、脱退を表明しましたね。」

「G7はそもそも民主主義の基本的価値の旗頭で世界の平和と繁栄を主導する存在だったはずです。」

「ところが新興国の台頭で国際情勢が変わる中、同じ価値観を持つG7が分裂すればG7の存在意義が問われかねません。」

「安倍総理は今回仲介役を務めることで参加国の主張の言わば最大公約数を宣言することに腐心していたようです。」

「来年以降G7の結束を維持することが出来るのか、日本の役割は大きく、安倍総理の外交手腕と胆力が問われる時と言えそうです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

安倍総理は、最近の報道でNo.3750 ちょっと一休み その602 『最近の政界の不祥事などに見る再発防止策の必要性!でもお伝えしたように、あるいは稲田防衛相の辞任騒動などにより、説明責任や任命責任を追及されています。

 

確かに、安倍総理には、事実がどうかはともかく公私混同と世間に疑われかねないような行動が見受けられます。

また、憲法改正に積極的で右派傾向が強過ぎるといった見方もされています。

しかし、つい最近までは戦後歴代1位も見えてくるほどの長期安定政権と期待されるほど国民の支持を得てきました。

また、精力的に海外の首脳との外交に力を入れ、あるいは今回ご紹介したように、先のG7の場ではアメリカのトランプ大統領とEUの首脳陣との仲介を真っ当なかたちで取り持っておられたのです。

 

ということで、安倍総理、あるいはその後を次ぐ総理には、国民の声によく耳を傾け、あるいは国民への説明責任を果たしつつ、日本を平和で豊かな国へと導いていただきたいと思います。


 
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