5月17日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)で2050年には製造業が盛り返すという予測について取り上げていたのでご紹介します。
1843年に創刊されたイギリスの歴史ある週刊誌「エコノミスト」は、経済だけでなく国際政治から社会問題まで幅広いテーマを深く掘り下げることに定評があり、世界200ヵ国以上で読まれています。
その「エコノミスト」が未来のテクノロジーを予測する本「どうなる未来の技術」をまとめました。
33年後の1950年の経済や社会はどうなるのでしょうか。
東京都内のホテルで4月27日に開かれた「未来のテクノロジーについてのシンポジウム」で「エコノミスト」の編集局長、ダニエル・フランクリンさんが講演しました。
フランクリンさんが企画した「2050年の技術」では、2050年の医療やエネルギー、人工知能(AI)から教育までをどのように変えていくかを予測しています。
フランクリンさんは、番組の取材に対して次のようにおっしゃっています。
「テクノロジーは間違いなくあらゆるものに影響を及ぼす。」
「未来のテクノロジーを予測することで、実現可能なこと、今起きていること、我々の生活やビジネスを形づくるものが見えて、未来に向けてより良い準備を始められる。」
「日本の女子高校生は熱心な「ケータイ」ユーザーだった。」
「女子高校生がテクノロジーをどう利用しているか当時注目されていた。」
「アメリカの技術雑誌が「女子高校生ウォッチ」というコラムを掲載していたほどだ。」
「今後数十年のうちに新たな素材によって、製造業に新しい可能性が開かれる。」
「製造業は3Dプリンターなどの創意あふれる技術によって変わっていく。」
「既にBMWはセーターのように炭素繊維を編んで自動車を作っている。」
「こうなると安い労働力を求めて海外に発注することは必要ではなく、最も優れた技術者がいる場所に工場を作ればよい。」
「大切なのは、何が可能で未来は何処に行き着くのかビジョンを持つことだ。」
新しい技術は突然登場するわけではなく、ある特定の集団を注意深く見ると先行事例があり、予測可能だといいます。
一部の専門家は、2000年代前半の日本のガラケー(ガラパゴス携帯電話)でのメールやゲームの使い方を見てその後のスマートホン(スマホ)全盛時代を予感していたといいます。
グローバル化の進展に伴い、先進国の多くの製造業は厳しい競争にさらされています。
しかし、フランクリンさんは、3Dプリンターや炭素繊維を加工する技術などの登場によって意外にも2050年には製造業が盛り返すと予測しています。
フランクリンさんは、日本の高い技術力を評価していましたが、一方で激しい変化に対応していくためには何よりも柔軟になることが大事だと語っていたのが印象的だったと番組では見ています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
実は、私もロボットやAIなどのテクノロジーの進化とともに、いずれ製造業の無人化が進むことに伴い、現在のような製造業の人件費の安い新興国や途上国への工場施設などのシフトは不要になるはずだと考えておりました。
その結果、フランクリンさんのおっしゃるように、製造業の本国への回帰が始まるのです。
しかし、だからといって製造業はほとんど無人化状態になるのですから、本国での労働市場が拡大するわけではなく、むしろ更に既存の産業の労働市場は縮小されます。
更に、製造業に限らず他の産業でも、例えば運輸では完全自動運転技術の実現によりドライバーの需要は激減します。
その他の既存の産業においても大なり小なり労働市場は縮小していきます。
では、一方でどのような変化が見られるのか、私なりに想像した結果を以下にまとめてみました。
・AIやロボット、IoT(モノのインターネット)、あるいは3Dプリンターや再生可能エネルギー、更には宇宙関連など新しいテクノロジーによる産業が拡大し、新たな労働市場が生まれる
・多くの労働がAIやロボットに取って代わるので、週休3日制や長期有給休暇などの導入が進み、労働時間が短縮される
・シェアリングエコノミーが更に普及し、生活費がこれまでよりもかからなくなる
・労働者に求められる技術の変化が速いので、その変化に合わせた生涯教育が重要になる
いずれにしても、フランクリンさんのおっしゃるように、企業にとっても私たち一般生活者にとっても社会の変化に柔軟に対応していく適応力が今後とも求められるようになることは確かだと思います。