2017年07月14日
アイデアよもやま話 No.3755 ありそうでなかった”つえ用ショルダーベルト”!

5月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でありそうでなかった”つえ用ショルダーベルト”について取り上げていたのでご紹介します。

 

つえを使って歩く人にとっては、杖は第二の足とも言えます。

もっと使いやすくしようと、発明家と医薬品メーカーがタッグを組んで“つえ用ショルダーベルト”を開発しました。

なお、この発明家とは以前、No.6 女性発明家 スーパー・アイデア・レディ、なおちゃんのご紹介!でもご紹介した松本 奈緒美さんです。

松本さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(つえは)落としてしまうと拾えなかったりするんですね。」

「そこで、私どもはつえ用のショルダーベルトを開発しました。」

 

つえを使う人によくあるのが、トイレで落としてしまって拾えないというようなことだといいます。

そうした不安を解消しようと作られたのが“つえ用ショルダーベルト”です。

ショルダーベルトをたすきのようにかけて、つえに付いているストラップをフックにつないで使います。

歩いても長さがあるので動きを制限されることもなく、つえが手から離れても床に落ちることを防げます。

また、胸元に枠があるので、ここに引っ掛ければ両手を空けることが出来るので階段で手すりを使う際などでは両手を使うことが出来るのです。

 

このショルダーベルト、完成までに1年半かかったといいます、

松本さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(開発で)大変だったのは、安全面ですね。」

「きちんと作ることが私どもには分からない、お手上げ状態だった・・・」

 

カギとなる安全対策をアドバイスしたのが、湿布材を手掛ける医薬品メーカーのテイコクファルマケア株式会社でした。

つえは道路の隙間に挟まってしまったり、衝撃を受けたりすると、人も一緒に倒れてしまう可能性があります。

それを防止するために、5kg〜10kgの負担がかかるとつえがベルトから外れるという安全装置を付けました。

松本さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この装置を付けることによって、自由に出かける場所を増やしていただきたいなと思っています。」

 

なお、このショルダーベルトは、5月15日から商品名「ARUKUTOMO(アルクトモ)」(9800円)で販売されるといいます。

また、国内だけでなく、将来は世界での販売も目指してします。

 

このショルダーベルト、元々は障害を持った方が、カメラのストラップを使っていたのを見て商品化しようと考えたそうですが、いざ作ってみたら安全面はどうなのかという指摘があり、ニーズはあるけれども限界を感じたといいます。

そこに、医薬品メーカーの方から声がかかったことによって、その医薬品メーカーのノウハウで補てんしたことによって商品化しようということになり、商品化までに1年半かかってしまったといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して感じたことは、“つえ用ショルダーベルト”のアイデアを思いついても、つえを落としてしまったりとか、いろいろな場面を想定した様々な対応策の検討が求められるのです。

ですから、アイデアは一瞬の閃きかもしれませんが、そのアイデアをかたちにするまでのプロセスはとても道のりが長いのです。

しかも、理論上は実用化出来ると思えても、いざ試作機を作ってみると製品化はとても難しいと判断されてしまったり、実用化されたとしてもそれほどの需要が期待出来ず、お蔵入りになってしまうこともあるのです。

更には、なかりの需要を藻込んでも、いざ販売を開始してみるとほとんど売れないということもあります。

 

ということで、アイデアをかたちにして購入者に便利さを提供しようとしても、実際に購入者に満足してもらえるような商品にまでこぎ着けることは並大抵なことではないのです。


 
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