2017年07月08日
プロジェクト管理と日常生活 No.496 『広がる「フリーランス」に応じた課題対応策の必要性』

4月3日(月)放送のニュース(NHK総合テレビ)でフリーランスについて取り上げていました。

そこで、番組を通して、広がる「フリーランス」に応じた雇用のあり方の課題対応策の必要性についてお伝えします

 

特定の企業などから雇われない働き方、すなわちフリーランスが最近注目されています。

3月末に発表された最近の推計では国内でフリーランスとして働く人は副業を含めて約1122万人で、過去最多となりました。(ランサーズ調べ)

フリーランスというと、カメラマンやプログラマーなど一部の専門性の高い仕事が思い浮かぶと思いますが、最近は営業や企画、更には家事代行までその仕事のすそ野は広がっています。

このフリーランスはアルバイトと違って雇用契約や勤務時間・場所の指定がなく、報酬も時給・日給ではなく成果報酬なのです。

ですから、中には高収入を上げる人もいるといいます。

 

こうして私たちの社会に急速に広がるフリーランスですが落とし穴もあります。

フリーランスの実態を把握しようと国が開いた有識者会議で、副業としてフリーランスの仕事を始めた女性がかつての苦い経験を話しました。

「月8日の休みをほとんど充てて仕事をいたしましたが、それでも月の収入は3000円程度ということで、これでは多分生活の糧にはならないだろうと。」

 

この女性が担当したのはカード会社のデータ入力、雇用契約が無いフリーランスには最低賃金が適用されず、作業が長引くと時間当たりの報酬が低くなってしまうのです。

 

今年、フリーランスの人たちが設立した「フリーランス協会」には全国から様々な不安の声が相次いで寄せられています。

発注先から報酬が支払われない、社会的信用が低いためローンが組みにくいというような内容です。

フリーランスのすそ野が広がる中、今後協会では国に労働環境の整備を働きかけることにしています。

「フリーランス協会」の代表理事、平田 麻莉さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「フリーになりたい方は確実に増えていますし、それが可能な社会になっていますので、実態に合わせて不必要な不利益や不公平がないようにはしていただいた方がいいのかなと思っています。」

 

また、取材にあたったNHK報道局の影 圭太さんは、次のようにおっしゃっています。

「自分のペースでより自由に働いていきたいという働き手側と人件費やコストをなるべく抑えたいという企業の思惑が重なって増えていっているという面があります。」

「日本国内で1100万人を超えたという推計が出ましたが、これは働く人の6人に1人にあたる数です。」

「アメリカではもっと拡大していまして、既に5500万人、働く人の3人に1人にあたる数まで増えたという推計も出ています。」

「業種も様々なものに広がっていまして、日本でも今後更に広がっていくと予想されています。」

「特別な能力、スキルを持った人の中には年収1千万円を超えるような人も出ていまして能力次第で収入を上げていけるというメリットもあります。」

「ただその反面、スキル不足などもあって期待していたほどの収入を得られずに生活に支障が出始めているという人も出ています。」

「職種、すそ野が広がってある意味で多くの人が気軽に参入出来るようになっていることもあって、後になってリスクに気付いたという人も少なくないと思います。」

「フリーランスという働き方が急速に広がる中で、こうした人たちの労働環境をどう整備していくのかというのは、国も課題の一つに位置付けています。」

「今後、法制度のあり方も含めて検討が始まることになっています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

取材にあたった報道局の影さんのおっしゃるように、フリーランスを目指したい方たちと企業の思惑が一致する限り、今後ともフリーランスは増えていくと思われます。

また、既に日本国内で6人に1人がフリーランスという割合も驚きです。

更に、アメリカではその割合が3人に1人と推計されているのです。

 

確かにフリーランスは自由な状態で働くことの出来る、一見究極の働き方のように見えますが、その実態は時給や日給ではなく、成果報酬なのです。

ですから、今、国は労働時間短縮の政策を進めていますが、フリーランスはこうした政策の“蚊帳の外”に置かれているのです。

しかも、特別なスキルがない限り、一般的には収入が不安定で、しかも低収入ですから、社会的信用度が低く、当然ローンなどは組みにくくなってしまいます。

ですから、これから少子高齢化時代が本格化する状況下で、フリーランスの人たちが増えていくと、今後お金のかかる子育てが増々しにくくなるので少子化に拍車がかかってしまいます。

一方、企業にとっては、以下の理由からフリーランスを雇うメリットはとても大きいのです。

・正社員として雇用するよりも低賃金で人材を確保出来る

・雇用契約がないので、正社員のように福利厚生などの面での管理が不要である

・必要に応じて必要な人材が確保出来、しかも成果報酬なので、雇用する人材のスキルに依存した成果の良し悪しに対するリスクを軽減出来る

 

そこで、今後とも広がる「フリーランス」に応じた雇用のあり方の課題対応策について、私の思うところを以下にまとめてみました。

・フリーランスを前提とした、最低賃金、労働環境、および年金、保険などの法制度の見直し

・低賃金のフリーランスでも無理なく結婚し、子育てが出来るような少子化対策を強化する

・大学をフリーランスの能力向上や新技術取得の場としても位置付ける(参照:アイデアよもやま話 No.3733 少子高齢化時代における大学の生き残り戦略!

                                                               

適切な対応策を実施せず、このまま低賃金のフリーランスが増え続ければ、消費は低迷し、少子化も一段と進み、日本国の未来はとても暗い、夢のないものとなってしまうのです。


 
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