2017年07月05日
アイデアよもやま話 No.3747 リモコン不要のスマートドローンの持つ可能性!

5月5日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でリモコン不要のスマートドローンの持つ可能性について取り上げていたのでご紹介します。

 

KDDIは日本で初めて携帯電話の通信回線を使って完全な自立飛行が出来るスマートドローンの開発に成功しました。

新潟県山古志は棚田や柵池など昔ながらの原風景が広がっています。

こちらに暮らす酒井 幸二さん(67歳)は、地域が抱える課題について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「高齢になると共に、一番ネックになるのが通常の生活が維持しにくくなるっていいますね。」

「自力で買い物が出来ない。」

 

山古志の人口の半数以上は65歳以上の高齢者、特に冬は高さ4m以上も雪が積もるため高齢者自らが運転して買い物に行くことも困難です。

こうした課題を解決すべく立ち上がったのがKDDIのスマートドローンプロダクトマネージャー、松木 友明さんです。

今回開発したのが携帯電話と同じ通信回線を使ったスマートドローンです。

LTE(高速通信)回線を使って、完全自立飛行を実現しています。

 

現在のドローンは、近くで人間がコントローラーを操作する必要があります。

それに対してスマートドローンは携帯電話の通信回線を使用するので、近くで人間が操作する必要がありません。

今回飛行するのは、山古志支所からおよそ2km離れた酒井さんの家です。

弁当を箱に入れてスマートドローンにセットします。

いよいよ日本初の挑戦が始まります。

離陸すると上空30mまで急上昇します。

KDDIの通信回線は日本の99%以上のエリアをカバーしているので、地図上で自在に飛行ルートを設定出来ます。

離陸から8分後、無事酒井さんの家に着陸しました。

着陸スポットから少しずれましたが、日本初の通信回線を使った自立飛行の成功です。

 

今回、実験の舞台となった山古志は2004年に起きた新潟県中越地震の被害が大きかった地域なのです。

スマートドローンは、災害時の被害状況の素早い把握につながると期待しています。

山古志支所の米山 力支社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「広範囲を迅速に情報収集する場合、非常にメリットがあると。」

「当時であれば、被害状況の収集を早く出来たということ、それから災害救助をどのように進められるかの判断が早めに出来ると。」

 

携帯電話料金の値下げ競争が熾烈を極める中、KDDIは新たなビジネスの柱としてドローンの可能性に賭けているのです。

山古志での実験の翌日、KDDIの松木さんが向かったのは、警備会社のセコム(東京都三鷹市)です。

早速スマートドローンの売り込みをかけます。

セコムは既に2015年からドローンを使った警備サービスを展開しています。

このドローンが自立飛行出来れば、警備でも威力を発揮すると考えています。

セコムの寺本 浩之さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ドローンで自立飛行を実現することによって、必要な時に必要な場所へ行って、必要な画像を押さえることが実現出来るようになったと、これは大きいと思います。」

 

動き出したスマートドローンビジネス、商機を見出した松木さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今まで人がやっていた作業を代替したりだとか、用途によって今までのコストを大幅に改善出来る可能性があるんですね。」

「そういった用途を見つけていくことで、採算も十分に取れる・・・」

 

KDDIは、2017年度中を目処にスマートドローンの事業化を目指していく方針です。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や、自動車業界では自動運転の実現に向けて、各メーカーが世界的にしのぎを削っています。

そうした中、今回ご紹介したスマートドローンの実用化に向けても、自動車の自動化と同様に単に目的地に達するだけでなく、衝突を回避するなどの技術が求められます。

ですから、自動車の自動運転技術を応用することによって、あるいは人工知能(AI)の技術を活用することによってスマートドローンの安全性は格段に向上するはずです。

そして、今後の課題としては他にも、より重量のある荷物の運搬、より遠くまでの運搬、および飛行中の騒音れ対策が考えらます。

 

更に、スマートドローンが飛行するための専用航路とも言うべき空間の確保など、新たな法令などの取り決めが求められます。

こうした要件を満たすためには、まだまだ沢山のハードルを乗り越える必要があります。

しかし、こうした要件が全て満たされれば、重量や大きさに制限はあるものの、以下のような作業が人手を介さずにスマートドローンで出来ると期待出来ます。

・スーパーやコンビニ、ファミリーレストラン、あるいは宅配便業者などからの荷物の配達

・災害時などの避難状況の把握、あるいは救急物資の運搬

 

更に、将来的には人も運搬出来るような大きなスマートドローンが実用化されれば、災害時の人命救助なども出来るようになると期待出来ます。

 

このようにスマートドローンは、まだまだ発展途上ですが、自動運転車との住み分けの中で、様々な用途が期待出来るのです。

その結果、今問題になっている宅配便のドライバー不足などもかなり解消されるはずです。

そればかりでなく、スマートドローンであれば、再配達も容易になり、交通渋滞の影響も受けなくなるので時間指定もより細かな設定が出来るようになります。

ということで、スマートドローンの進化により、運送業のマーケットはどんどん広がっていくと思われます。

ですから、自動運転車、およびスマートドローンの実用化は誰でも運転免許がなくても移動出来るようになったり、あるいは運送業など移動手段に革命をもたらす可能性を秘めているのです。


 
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