4月13日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界最大級のベンチャーコンテスト、「スタートアップワールドカップ」の模様について取り上げていました。
そこで、番組を通してベンチャー企業への投資額比較にみる日本経済の課題についてご紹介します。
今年のこのコンテストは、3月24日にアメリカのシリコンバレーで開催されました。
世界15の地域から勝ち上がってきた14社による決勝戦が行われました。
なんと優勝したのは、日本予選を勝ち抜いたベンチャー企業のユニファ株式会社でした。
ちなみに、優勝賞金は1万ドル(約1億円)でした。
土岐 泰之社長がプレゼンした内容は、ユニファが開発した子ども見守りロボット「ミーボ」についてでした。
保育園などで園児の相手をしながら写真や動画を撮影、保護者は専用サイトなどで見ることが出来ます。
既に1000以上の施設で導入されており、アメリカや中国、中東からも引き合いがあるといいます。
さて、このコンテストを主催したフェノックス・ベンチャーキャピタルのアニス・ウッザマンCEOは、日本のベンチャーを取り巻く環境について番組の中で次のようにおっしゃっています。
「日本のみなさんは、スタンスを変えないとはいけないですね。」
「大企業がリードする国から大企業とスタートアップが協力してリードする国・・・」
「日本の課題としては、企業家が生まれて、起業する時にいろいろな問題にぶつかっていくと思うんですね。」
「そこをちゃんと乗り越えるように、日本の国がサポートしていかなきゃいけない。」
なお、ベンチャー企業への投資額の比較は以下のとおりです。
アメリカ 7.1兆円
中国 2.5兆円
日本 1300億円
このように、日本のベンチャーへの投資はアメリカや中国に大きな差を付けられているのです。
しかし、社会の課題解決型、プラス最初からグローバル展開を考えている企業だと国や企業、あるいは投資家も支援がし易いといいます。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
どんなに素晴らしいアイデアで大きな需要が期待出来るような製品開発でも、それなりの資金が必要です。
そういう意味で、米中に比べた日本のベンチャー投資の少なさは、将来的な経済の活性化を期待するうえで暗い気持ちになります。
では、日本のベンチャー投資の少なさの理由ですが、大きく2つあると思います。
一つは、先進国の中でも相対的に日本のベンチャー活動の少なさです。(こちらを参照)
その背景には、以前からよく言われているように学校教育などでの独創的な人材育成に対する配慮不足があると思われます。
もう一つは、ベンチャー企業や製品の将来性を見極める眼力を持ち、しっかりとした投資リスク管理の出来る投資家がとても少ないからではないかと思われます。
今は金利がかなり低く、どちらかと言えば金余り状況が続いています。
ですから、投資する側は資金的には投資し易い状況なのです。
一方、クラウドファンディング(参照;アイデアよもやま話 No.3568 拡大するクラウドファンディング!)が拡大しており、徐々に認知されつつあります。
ですから、日本の場合は、投資する側のリスクが少なくて済むクラウドファンディングがベンチャー企業活性化の一つの足掛かりになると期待出来ます。
一方、資金力があり、人材豊富だが、独創的な製品アイデアに乏しい大企業と資金も人材も不足しているが、独創的なアイデアに富むベンチャー企業とが結びつくことによって、素晴らしい製品の誕生が期待出来るのです。
ですから、こうした大企業とベンチャー企業との出会いの場を多くすることもとても重要だと思います。
国や自治体には、こうした役割の一翼を担うことが求められていると思います。