2017年07月01日
プロジェクト管理と日常生活 No.495 『加計学園獣医学部新設問題の再発防止策!』

今回は、加計学園の獣医学部新設問題における再発防止策について、いくつかの報道記事を参考にしてお伝えします。

 

プロジェクト管理と日常生活 No.494 『政治の混乱に見る不十分な行政文書管理』でもお伝えしたように、加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書の存在について、その発端は前川前事務次官の発言でした。

 

そもそも政治家と官僚の関係は、政治家が国の方針や政策を決定し、官僚はその政治家の決定過程においてデータの提供をするなどして支援し、決定された政策を粛々と実行に移していくという役割分担だと思います。

 

問題は、政治家がある政策を決定する過程で、公正な方針から逸脱し、特定の企業の利益誘導をするなどの不正行為をし、官僚にそれに基づいた政策を押し付けるような行為に手を染めた場合です。

 

要するに、何事においても官僚は政治家の言う通りに動くべきなのか、それとも政治家の不正行為が明らかな場合に、身を挺して外部に告発すべきなのかという究極の選択です。

そこまで行かなくても、客観的にみて、明らかに政治家の検討結果よりも自分たちの検討結果の方が国にとって望ましい場合には、進言することが期待されます。

 

一方、2014年5月に「内閣人事局」が発足されたことにより、政務次官など約600人の省庁幹部の人事が官邸により一元管理されるようになりました。

これまで幹部人事は、各大臣が内定し、官邸が追認するかたちでしたが、官房長官の下で作成された候補者名簿を元に各大臣が総理や官房長官と協議して決めるかたちになるなど、官邸の意向が強く反映されるようになったのです。

ですから、一般論では官僚はどんな命令であれ、政治家の命令に背けば出世の道を閉ざされてしまうかもしれないことを常に意識せざるを得ません。

ですから、特に現役の官僚は、政治家の不正行為に対して直接政治家をたしなめるような行為に及ぶことはとても勇気が必要です。

そこで、現状では官僚がやむにやまれず外部に証拠となる情報を洩らすなどして、不正行為を摘発するという構図なのです。

 

そこで、こうした不正行為対策として、プロジェクト管理の観点から以下のようにまとめてみました。

(リスク対応策)

・政治決定に至る経緯を、誰がいつどのような理由で決定したかをきちんと文書化し、行政文書として残すこと

・適正な文書管理がなされているかどうかを定期的にチェックする第三者機関を設置すること

・問題が発覚した場合、問題を起こした部門を中心に再発防止策を検討すること

(コンティンジェンシープラン)

・無記名で不正行為を摘発出来る窓口を設置し、第三者機関がその調査に当たること

 

そもそも今回の加計学園の獣医学部新設を巡る問題も決定理由が明確に文書化され、行政文書として国民にも分かり易いかたちで残されるような制度になっていれば、それが抑止力となり問題化しなかった可能性が大きいのです。

やはり政治においても“見える化”がとても重要なのです。

そして、この“見える化”は民主主義の根幹を成すものだと思うのです。


 
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