2017年06月25日
No.3738 ちょっと一休み その600 『加計学園の獣医学部新設問題に見る政治家に求められる公正な姿勢!』

今回は、加計(かけ)学園の獣医学部新設問題に見る政治家に求められる公正な姿勢について、いくつかの報道記事を参考にしてお伝えします。

加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書の存在について、その発端は文部科学省の前川前事務次官の発言でした。

一連の報道で報じられているように、前川前事務次官は次のようにおっしゃっています。

「あったものをなかったことには出来ないと。」

「公正公平であるべき行政のあり方がゆがめられたと。」

 

ところが以前にもお伝えしたように、文部科学省の現役職員の証言など新たなデータが次々に明らかになっているにも係わらず、政府はその出所が分からないとその存在をなかなか認めていませんでした。

 

しかし、6月15日(木)、文部科学省は一転してその存在を認めました。

民進党などが存在を指摘していた19の文書のうち14の文書が文部科学省内の共有フォルダーなどにあったというのです。

文書には“総理のご意向”と書かれたものや、昨年9月26日に内閣府の藤原審議官が文部科学省担当者に“官邸の最高レベルが言っている”などと、文部科学省の担当者に伝えたとされる文書もありました。

調査に対し、文部科学省の担当者は、「メモにあるとおり、この日に打ち合わせを行ったはずだ」と説明したということです。

 

これに対し、政府は、「この日に内閣府と文部科学省が協議した事実は確認出来ない」とする答弁書を6月6日に閣議決定しています。

 

更に、6月15日、内閣府の担当者とのメールのやり取りも公表されました。

ここに記されていたのが、萩生田官房副長官の名前です。

“獣医学部新設の条件を記した文書について、事前に萩生田官房副長官から文言を修正するよう指示があったようだ”と記されていました。

最終的な文書はこの修正が反映されました。

その結果、修正前は「現在、獣医系養成大学等のない地域において」から修正後は「現在、広域的に獣医系養成大学等の存在しない地域に限り」となりました。

獣医学部の新設は、愛媛県今治市の他に京都府も提案していました。

しかし、この修正により京都府は新設の条件を満たさなくなりました。

大阪府立大学に獣医師系学部があるためです。

メールの内容について、萩生田官房副長官は、「全く事実でない。修正の指示をしたことはない。」と否定していました。

 

そもそも、今回の騒動の本質は、加計学園1校に規制緩和が行われていく“忖度(そんたく)”が働いたのかどうかです。

また、この“忖度”が働いたのではないかと疑問を感じさせる背景には、加計学園理事長が安倍首相の「腹心の友」、であり昭恵夫人が「名誉園長」であるということです。

更に、安倍首相の最側近と萩生田官房副長官も加計学園の系列大学で名誉客員教授を務めているといいます。

このように安倍首相、昭恵夫人、萩生田官房副長官と、3人が加計学園との係わりを持っている状況の中で、今回のような問題が起きれば、誰でも何らかの官邸の意志が働いて加計学園1校に絞られたのではないかと勘ぐってしまいます。

もし、こうした背景がなければ、これほど問題化しなかったと思われます。

あるいは、そもそもこうした問題は起きなかったかもしれません。

 

安倍政権は成長戦略の一環として、戦略特区を駆使して岩盤規制に穴を開ける改革に取り組んで来ています。

その一つが、加計学園などを巡る獣医学部新設であり、この取り組みそのものは評価され、強化させるべきでものだと思います。

そうした中にあって、安倍首相や萩生田官房副長官が加計学園との癒着が疑われるような状況にあったことはとても残念です。

 

ということで、政治家、中でも特に総理大臣になられた方には、特定の企業との癒着を疑われないように、公正な姿勢を貫いていただきたいと思います


 
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