2017年06月20日
アイデアよもやま話 No.3734 ”農泊“ビジネスは地方活性化の起爆剤になる!?

3月30日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“農泊”ビジネスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

2月23日、カナダから来日したピエール夫妻の目的は、日本の昔ながらの暮らしの体験でした。

ピエール夫妻が向かったのは、和歌山県田辺市で農泊体験が出来る「未来農園」でした。

こちらでは、和歌山県の特産物、ミカンの収穫体験が出来ます。

更に、自分たちで耕してミカンの苗を植えました。

初めて日本の農作業を体験したピエールさん夫妻、体験はこれだけではなりません。

漁船に乗ること15分、日本の漁業も体験出来ます。

釣った鯛は「未来農園」のオーナー、高垣 幸司さん自らが調理し、ピエール夫妻用の食事のおかずとして出します。

 

ピエールさんは「STAY JAPAN」というホームページを見て来日、外国人観光客が日本で体験出来る“農泊”先を探すことが出来ます。

「未来農園」の料金は1泊2食付き(農業・漁業の体験料込み)で1人1万3150円です。

年間300人以上が宿泊し、その半分は外国人観光客です。

しかし、体験、宿泊、食事をオーナー夫婦、二人だけで手掛けることは負担に感じることもあるといい、高垣さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「年末からお正月にかけてはすごく忙しいので、人に手伝ってもらえないので大変、死ぬ思いでやっています。」

 

人気が高まる“農泊”、こうした中、1家庭の負担を軽減しようとする動きも出て来ています。

徳島県美馬市、山に囲まれたこの地域は高齢化が進んでいます。

お茶を栽培するなど、農業が盛んな地域です。

そんな美馬市で、“農泊”で外国人を呼び込む話し合いが行われました。

そこに仕掛け人として立ち上がったのが、「STAY JAPAN」を運営している株式会社百戦錬磨の上山 康博社長です。

今回、従来の常識を変える提案をしました。

これまでの“農泊”は、「体験」、「食事」、「宿泊」を1家庭で手掛けてきました。

そこで、百戦錬磨はこうした負担を軽減するため、「体験」、「食事」、あるいは「宿泊」だけというかたちでそれぞれの家庭の得意分野に特化するというように、地域全体で分担することを提案したのです。

 

「体験」は地域の特産物である茶摘みを始めとする農業体験、「食事」は地域に新たにレストランを建設し、地元の食材を使った料理を提供する予定です。

そして、「宿泊」は地元の昔ながらの民家を使用し、外国人に楽しんでもらうため囲炉裏のあるリビングに改装しています。

 

地域全体で“農泊”するというアイデアに県もバックアップに動き出しました。

美馬市にある古民家を外国人観光客などの民泊用に整備する考えです。

徳島県の飯泉 嘉門知事は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本の原風景といわれる純和風、日本的な街並みを活用しない手はないだろうと。」

 

“農泊”は地域経済を活性化させる起爆剤になるといいます。

上山社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「地方に海外の方がたくさん来て、海外の方々に日本の地域の良さを理解し、体験していただきたい。」

「地域をいかに活性化させるというのは、インバウンド(海外からの観光客)が大きなカギを握っていると思います。」

 

政府は2020年までに訪日客4000万人を目指しています。

こうした中、観光立国の旗振り役である菅官房長官は、番組の単独インタビューで“農泊”を手掛ける企業を積極的に支援していく考えを示し、次のようにおっしゃっています。

「“農泊”に力を入れている人がたくさんいらっしゃいます。」

「そういう専門家集団を支援して、全国に展開出来るように是非応援していきたい。」

「その中で主な方に来ていただいて、プロジェクトを政府として作って支援していくと。」

「そういうことは是非やっていきたいと思います。」

 

また、“農泊”を海外に積極的に発信して、訪日客の拡大につなげたいと次のように強調しました。

「東南アジアの国の有名な俳優、タレントの人たちが日本に来て、日本の農村、漁村を訪れた、そういうもの(プロモーションビデオ)も制作することも大事だと思っています。」

 

こうした状況について、番組コメンテーターでレオス・キャピタルワークス社長の藤野 英人さんは、次のようにコメントされております。

「これ(“農泊”)は夢のある話だと思います。」

「価値がないと思われるところに価値が出てくるわけですよね。」

「農家レストランだとか、駆けつけサービスとか、水漏れ、鍵開け、ハウスクリーニング、その他ホームセンターであったり、家電量販店といったいろんなところに波及効果があると思いますね。」

「意外に(関連する産業の)すそ野が広いと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前から、安倍政権は地方創生政策に力を入れてきました。

その一環として、今回ご紹介した“農泊”ビジネスは、以下のようにいくつかのメリットがあります。

・地方経済の活性化

・海外からの観光客に日本の地方の暮らし、更には日本の良さを知ってもらういい機会であること

・これから本格的な少子高齢化時代を迎える中で、日本で暮らしたい、あるいは日本で働きたいと思う外国人を増やすいい機会であること

 

こうしてみてくると、今の国の地方創生政策は単に地方の活性化を目指していますが、少子高齢化に伴う労働者不足を補いために海外からの労働者を積極的に求めるという枠まで広げた政策に転換することを提案したいと思います。

こうした政策転換により、地方創生政策により一層力が入り、地元で働きたくても働く場のない人たちの悩みを解消することに拍車がかかり、少子高齢化の弊害も多少なりとも緩和されると期待出来ます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています