2017年06月11日
No.3726 ちょっと一休み その598 『民主政治を危うくする最近の安倍政権の対応!』

最近相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計学園の問題が噴出しても、「安倍1強」と言われる安倍政権は大きく崩れず、5割前後の支持率が続き、戦後第3位の長期政権になっています。

国内ではアベノミクスで掲げる政策の実現や少子高齢化問題など様々な問題を抱え、一方で世界情勢が目まぐるしく変わる中での“日本丸”のかじ取りなど、政権の安定そのものはとても重要だと思います。

 

しかし、最近とても気になることが起きています。

それは、加計(かけ)学園の獣医学部新設を巡る問題です。

いろいろと報道されていますが、ここでは、6月7日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)の内容を中心に以下にご紹介します。

 

国家戦略特区の獣医学部新設を巡る与野党の駆け引きが続いています。

加計学園の獣医学部新設問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書について、その出所が分からないとその存在を認めない政府、一方で文部科学省の現役職員の証言など新たなデータが次々に明らかになっています。

 

文部科学省は、加計学園の獣医学部新設に関連して作成されたとされる文書について、職員への聞き取りや共有フォルダーを調べた結果、5月19日に“存在は確認出来ない”と発表しました。

しかし、この直後に複数の職員が“文書は今も省内のパソコンに保管されている”と複数の審議官以上の幹部に報告していたことがNHKの取材で分かりました。

職員の証言によると、“報告を受けた幹部は「分かった」と応じた”ということですが、文部科学省はその後も国会などの場で“文書の存在は確認出来ない”という説明をしています。

また、説明責任を問われた菅義偉官房長官は6月6日、「文科省の判断」と繰り返しました。

 

なお、JNNの世論調査では、加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で、政府側の説明に納得出来ないという人が実に7割を超えました。

安倍内閣の支持率も9ポイント近く下がっています。  

 

以上、番組の内容を中心にご紹介してきました。

 

そもそも、なぜ国家戦略特区の獣医学部新設を巡るメールについて、発信者も送付先も実在の関係者である実際のメールが公開されているにも関わらず、政府はこれまでその存在を認めてこなかったのでしょうか。

 

私なりにいくつかのニュースや関連記事を調べた結果、以下のようなことが分かりました。

キーワードは“行政文書”です。

政府は、どんな内容であれ“行政文書”として認められないものは“存在しない”という解釈なのです。

 

一般常識として、例えば犯罪捜査においては、“行政文書”であろうが、なかろうが、残されたメモであったり、あるいは文書として残されていなくても複数の証言で明らかに誰かが犯罪を犯していることが分かれば罰せられます。

あるいは、一般企業においても、少なくとも会議の議事録などに記述された重要事項は、出席者のみならず必要に応じて上司や関係部門にも写しとして送付され、それに基づいて物事は進められていきます。

「官邸の最高レベルが言っている」ということは、所轄省庁にとっては、まさに重要事項です。

ですから、必要であれば、しかるべき立場の責任者から直接官邸に問い合わせて本当かどうかの確認が求められます。

また、こうしたメールは一般的に1年以上は保管の対象になります。

ですから、今回の政府の対応は、警察や一般企業においてはあり得ないのです。

ところが、この一般常識からかけ離れた政府の解釈こそが、国会審議を無駄に長引かせているのです。

こうした一般常識からかけ離れた今回の政府の対応に対して、国会答弁での政府側の説明に納得出来ないという人が7割を超えているのです。

 

では、政府がどのような対応をすべきだったのでしょうか。

官邸の最高レベル、すなわち安倍総理、および菅官房長官が、今回の件を否定するのであれば、今からでも「官邸の最高レベルが言っている」と文部科学省に伝えた本人を探し出して問いただし、国民にきちんと説明すべきなのです。

それを、“行政文書”ではないという文部科学省の言い分をそのまま受けた“官邸の最高レベル”による答弁は、到底多くの国民の理解を得られるものではありません。

 

今回の問題をこのまま幕引きにしてしまっては、事実を事実として受け入れない政権運営がまかり通ってしまう政治風土が出来上がってしまいます。

このことは、民主政治を危うくしてしまい、これまでの安倍政権の成果を帳消ししてしまうほどの国民への裏切り行為となってしまいます。

そればかりではありません。

事実を事実として認めない現政権への文部科学省の官僚の現政権に対する不信感、あるいは忠誠心の喪失といった影響を考えると影響の大きさは計り知れません。

 

少なくとも森友学園や加計学園関連の問題が出てくるまで、安倍政権は比較的安定した政権運営をされてきました。

是非とも、安倍政権には今からでも一般常識に則った対応をしていただきたいと切に願います。

                                                   

さて、ここまで書いてきた後、少しほっとする報道が出てきました。

遅ればせながらですが、松野 博一文部科学相は6月9日の閣議後の会見で、「総理のご意向」などと記載された文書について「国民から『追加調査を行う必要がある』という声が多く寄せられている」として追加調査する方針を表明したといいます。

是非、多くの国民の納得いくかたちでこの問題を収束させて欲しいと思います。


 
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