2017年06月14日
アイデアよもやま話 No.3729 これからの企業存続の重要要件、SDGsとは・・・

前回、前々回とアメリカのトランプ政権によるパリ協定離脱に関連した状況についてご紹介してきました。

そうした中、3月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“SDGs”という持続可能な社会実現のキーワードについて取り上げていたのでご紹介します。

 

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、国連で採択された2030年に向けた経済成長や環境保全などに関する17項目の世界的な目標のことです。

このSDGsは、企業が成長するために欠かせないキーワードとなっています。

今、社会や環境にどう取り組んでいるかが、投資指標の一つとして考慮され始めているといいます。

 

イギリスでは、80以上の有力企業がSDGs達成のための枠組みづくりをメイ首相に求めました。

また、アメリカでもSDGsへの取り組みが盛んで、例えばスターバックスでは4月に退任予定のハワード・シュルツCEOがSDGsへの継続的な取り組みを強く求めたといいます。

本国、アメリカでの姿勢は日本のスターバックスにも影響しています。

店舗で多く使用する紙のカップは、SDGsを強く意識しています。

紙のカップに書かれているのは、「FSC」認証マークです。

FSC認証とは、違法な森林伐採ではないと証明する制度で、環境に考慮した紙や木材に耐えられます。

カップ以外にも紙袋など多くの紙製品で「FSC」認証を受けた素材を使っています。

更に、使用した牛乳パックは一瞬で洗浄出来るような装置を使い、洗浄した牛乳パックは自然乾燥した後、折り畳んで空いたパックに詰め込みます。

こうして、スターバックス目黒店では、1日に約100本の牛乳パックを手間暇かけてリサイクルしているのです。

全国の飲食店がリサイクルする紙パックの回収量は約2000トンで、スターバックスの回収量はその半分の約1000トンを占めています。(全国牛乳容器循環協議会による2015年度調べ)

回収されたスターバックスの牛乳パックの約2割は店舗で使われる紙ナプキンなどの材料として再利用されます。

紙ナプキンは、牛乳パックの再生パルプを7割、そしてFSC認証のパルプを3割使用しています。

 

こうした一連の対応がSDGsの作る責任や使う責任、そして陸の豊かさを守ろうといった目標につながります。

なぜ、SDGsにここまで力を入れているのかについて、スターバックス コーヒージャパンの広報部長、足立 紀生さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「やらざるを得ない。」

「企業を選ぶ選択肢の一つとして、サステナブル(持続可能)なSDGsのような取り組みをやっているかどうかは、お客様の選択肢の中に入ってくるようになる。」

「選ばれる企業としての尺度の一つに今後なっていくのではないかと思っています。」

 

SDGsへの取り組みは日本の企業でも広がりつつあります。

住宅設備の大手、リクシルはSDGsにつながる部署、ソーシャルトイレット部を新たに立ち上げました。

途上国のトイレ事業の専門部署です。

オフィスの空席が目立つのは、海外で活動するメンバーが多いためです。

現地に赴き、調査や研究開発を行っているのです。

 

現在、世界で約24億人が衛生的で安全なトイレを使用出来ない状況です。

不衛生な環境が病気などを招くこともあり、その経済損失はおよそ22兆円に上るとも言われています。

リクシルでは、この問題を解決し、SDGsの項目の一つ、「安全な水とトイレを世界中に」という目標の達成を目指します。

 

今、事業化に向け動き出しているのが途上国向け簡易トイレ「SATO」のプロジェクトです。

「SATO」開発責任者のジム・マクヘイルさんは、途上国を回りながら新しいトイレの研究開発を行っています。

貧しい国の人でも手に入れられるようにコストを極力抑えたことで、約2ドルでの製造を可能にしました。

設置やメインテナンスも行い、2020年までに1億人の衛生環境の改善を目指します。

ジムさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「「SATO」の目標は、衛生的な上下水道を持たない人たちにもトイレや浴室など全ての設備を提供することです。」

 

更に、リクシルでは、4月から日本でシャワートイレを1台購入すると、途上国に「SATO」1台が寄付されるプロジェクトを開始します。

この活動の背景には、企業としてSDGsに取り組む姿勢をアピールする狙いもあります。

リクシルの瀬戸 欣哉社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ビジネスというのは常にショートカットだけを求めていくと持続可能じゃないと思いますね。」

「遠回りなことも愚直にやることが持続可能な企業をつくるコツだと思います。」

 

国内にはスターバックスやリクシル以外にも、SDGsに力を入れている企業があります。

例えば、サントリーでは天然水の水源となる森林の保全に力を入れています。

また、テイジンでは鉄に代わる軽い素材を自動車に使用することでCO2排出量の削減や燃費性能の向上につなげています。

 

こうした環境に関する取り組みだけではありません。

味の素では離乳食の栄養バランスを強化するアミノ酸入りのサプリメントを開発し、ガーナで子どもの栄養の改善に取り組んでおります。

また、富士ゼロックスでは教育格差がある新興国向けに自社のプリンターで印刷した教材の提供を行っております。

 

しかし、まだまだSDGsという概念は日本国内では知られていないようです。

番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミストの熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「欧米だと、例えばダボス会議などでも(SDGsという)言葉が一般的に使われているんですけども、日本はまだまだというのがあってですね。」

「ドイツの財団がG7諸国の中でSDGs達成状況ランキングを出しているんですが、やはりヨーロッパのドイツがトップで日本は5位に甘んじている。(ちなみに、2位はイギリス、3位はフランス、4位はカナダ)」

「アメリカ(6位)とイタリア(7位)の上というぐらいですから非常にランキングが低くて、取り組みがまだまだということがありますね。」

「ただ、日本政府は昨年この本部を作って、安倍総理が本部長になって、全体でかなり加速するということで、そういう方向性は出しているという状況です。」

「(これからSDGsに取り組まなければ資金調達もしにくくなるのではという問いに対して、)例えば海外の年金だとか日本でGPIFという年金を運用している大きな機関がありますが、そういうところはSDGsをちゃんとやらないと投資資金を入れないというような方向性が世界の潮流としてあるわけですね。」

「ですから、その意味では日本の企業は今までは後ろ向きのコストだと考えてきたわけですけども、前向きの投資であって、これをやらないと企業が存続することすら難しいと。」

「この資金調達のためには絶対必要であると、そういう状況ですね。」

「そこ(企業の社会貢献)よりもはるかに広い概念、企業が持続するために必要であるということです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私たち、日本人は当たり前のように衛生的な水洗トイレを使用しています。

しかし、その一方で今も世界で約24億人、すなわち3人に1人以上が衛生的で安全なトイレを使用出来ない状況には驚きです。

不衛生な環境が病気などを招くこともあり、その経済損失はおよそ22兆円に上るという状況も無視出来ません。

ちなみに、世界で7億4800万人、すなわち10人に1人ほどが安全な飲み水を利用出来ずにいるといいます。

また、確実な電気の供給を受けずに生活している人が、世界にはまだ14億人、すなわち5人に1人もいるといいます。

 

日本国内ではまだまだSDGsという言葉は普及していないようですが、機関投資家も企業によるSDGsへの取り組みの程度を投資判断の尺度として使用する動きが既に始まっているといいますから、今後企業はSDGsを無視することが出来なくなります。

また、持続可能な社会の実現は、個々の持続可能な企業や一般家庭によって支えられる面が少なからずあります。

ですから、持続可能な社会の実現は他人ごとではなく、私たち一人一人、あるいは個々の企業の活動などによって実現出来るという自覚を持つことが私たち一人一人に求められるのです。

 

さて、SDGsは飽くまでも2030年に向けた経済成長や環境保全などに関する世界的な目標です。

ですから、これで終わることなく、エネルギー問題や地球環境問題が全て解決出来て持続可能な社会が実現出来るまでSDGsのような目標を掲げてこうした活動を継続させていくこと必要なのです。

更に、持続可能な社会が実現出来た後も、それを維持していくための活動が求められます。

ですから、こうした活動は永遠に継続することが求められるのです。

 

そして、忘れてならないことは、こうした活動によって私たち一人一人が物心両面において大きな負担を感じることなく、心の豊かさを得られるようでなければならないということです。

更には、今、世界的に大きな問題となっているIS(イスラム国)などの過激派組織によるテロ、あるいは宗教的な対立をすることなく、宗教、あるいは宗派の違いを乗り越えてお互いに尊重し合うという大原則を貫くことがとても大切だと思います。

他の宗教や宗派を否定しようとするような排他的な考えの宗教は本来の宗教とは言えないと思います。

宗教に限らず、どのような思想もお互いに相手を尊重し合わなければ、必ず争いが起きてしまいます。

 

ということで、持続可能な社会の実現はとても大切ですが、同時に私たち一人一人の豊かさ、あるいはお互いに相手の立場を尊重し合うを実現することも忘れてはならないのです。


 
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