2017年06月12日
アイデアよもやま話 No.3727 アメリカのパリ協定離脱で増々求められる究極の発電装置!

6月1日、アメリカのトランプ政権が気候変動対策の国際的枠組み、「パリ協定」から離脱すると発表したと報じられていました。

そこで、今回は6月2日(金)放送の「時論公論」、およびニュース(NHK総合テレビ)の内容からこれまでの経緯、影響、および対策についてご紹介します。

 

「パリ協定」は2015年にパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されました。

深刻化する地球温暖化を食い止めるため、先進国、途上国の全てが参加して行動を起こそうとするものです。

「パリ協定」以前は、「京都議定書」(1997年開催の地球温暖化防止京都会議、COP3で採択)によって一部の先進国が対策をしてきましたが、地球温暖化の規模があまりにも大きく速く進行するため、途上国も含め全ての国が協力して当たらなければならないと叫ばれるようになったからです。

 

こうした中、今回のアメリカの「パリ協定」は世界に対して大きな衝撃を与えます。

というのは、アメリカは地球温暖化に影響を与えているCO2排出量は中国に次いで世界第2位で、全体の16%(2014年)を占めているからです。

また、途上国への資金援助「緑の気候基金」の拠出表明額は世界第1位で、全体の30%を占めているのです。

これらに対する対策が行われなければ、世界に対して大きな影響を与えます。

 

さて、地球の平均気温は今も上がり続けており、このまま対策を講じなければ、平均気温は2100年には最大で4.8℃上昇し、大規模な被害が世界中で起こると予測されています。

現在の「パリ協定」の目標は、地球の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満、出来れば1.5℃に抑えるというものです。

 

しかし、残念ながらアメリカも含め各国が提示している現在の2050年の削減目標を全て達成しても2℃目標には届かず、3℃前後にまで上昇してしまうということが分かっています。

このため「パリ協定」では5年ごとに各国の温室効果ガスの削減量を更に深堀りし、提案することを求めています。

ですから、現在掲げられている目標が後退すること自体あってはならないもので、トランプ大統領の発言がいかに問題かが分かります。

 

もう一つ気になることがあります。

実はこの15年ほど世界の平均気温は高止まりを続け、最近急に上がり始めていることです。

地球温暖化による大気温の上昇は、そのエネルギーの一部が海に吸収され、海水の循環によって海の深いところまで取り込まれるということが知られています。

この循環が最近弱まり、その結果大気温が上昇し始めているのではないかと指摘されています。

もしこの傾向が続けば、更に地球温暖化が加速されることになります。

 

これらの科学的事実をみると、地球温暖化に対して私たちは今後対策を強めこそすれ、後退することは許されないということが分かります。

地球温暖化は広く複雑に進んでいきます。

この状況を正確に把握し、行動するためには持続的な科学的研究が欠かせません。

その意味で、トランプ大統領の科学研究予算削減の動きも大きな問題を含んでいると言えます。

 

さて、今回のアメリカの「パリ協定」からの脱退表明は、日本にとっても他人ごとではありません。

地球温暖化の原因となる温室効果ガスのCO2の濃度は上昇を続けています。

昨年、国内に3ヵ所ある気象庁の観測点の全てで400ppmを超え、これまでで最も高い値を以下のように観測しました。

 大船渡 :407.2ppm

 与那国島:407.1ppm

 南鳥島 :404.9ppm

 

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、今世紀末の気温上昇を2℃未満に抑えるための目安を世界の平均で420ppm程度としていますが、国内の観測点では毎年2ppm前後の上昇が続いており、この傾向が続くと10年前後先には目安に達する可能性があります。

こうした結果、地球温暖化の影響は日本でも様々な分野に及ぶと予測されています。

2015年に環境省がまとめた報告書では、影響が特に大きく緊急性が高い事例として、今世紀末には洪水を引き起こす恐れがある大雨の頻度が増えると予測しています。

また、熱中症など暑さの影響で死亡するリスクが2090年代には最大で3.7倍に、そしてデング熱のウイルスを媒介する蚊の生息する地域が今世紀末には北海道の一部にまで広がるとしています。

更に、品質の高い一等米の比率が減り、特に九州では今世紀末には40%減少するという予測があると指摘しています。

 

日本は持ち前の科学力と環境技術を更に進め、世界に貢献しながら低炭素社会を目指すべき国です。

そして、アメリカに地球温暖化対策の必要性を粘り強く説明し、共に進む呼びかけをする責任があります。

日本のCO2排出量は世界第5位、それにふさわしい振舞とリーダーシップがいまこそ求められているのではないでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

あらためて思うことは、エネルギー問題や地球温暖化問題について世界中の多くの人たちが関心を示しており、実際に太平洋の島国の中には海面上昇による被害に遭うなどの影響が出ている一方で、その対応策を進めるうえでネックになるのが対応コストです。

 

しかし、これまで何度となくお伝えしてきたように、もしアイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・の要件を満たす発電装置が実用化されれば、エネルギー問題、および地球温暖化問題を解決出来るだけでなく、経済効果も計り知れません。

当然、損得勘定にシビアなトランプ大統領もアメリカのシェアガスやシェアオイル開発に依存するような雇用の創出から撤退せざるを得なくなり、この発電装置関連事業に向かわざるを得なくなります。

ですから、世界中のベンチャー企業の中から、こうした画期的な発電装置の開発に挑戦する企業が出て来て欲しいと思います。


 
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