3月6日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)、および6月1日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)で進化するGPSの活用について取り上げていました。そこで、1回目と2回目は「ワールドビジネスサテライト」から、そして3回目はNHKテレビニュースからと、3回にわたってご紹介します。
2回目は、宇宙産業の負の連鎖を断ち切る対策についてです。
宇宙で取ったデータ、そして地上で取ったデータを組み合わせたビジネスモデルがどんどん出て来ている状況の将来性について、番組コメンテーターで日本総研理事長の高橋
進さんは次のようにおっしゃっています。
「将来性はすごくあると思いますね。」
「宇宙ビジネスというとGPSが典型ですが、それ以外に衛星放送、衛星通信があって、最近は例えばGPSではなくて宇宙から観測して植物の生育状況をを見て、それを田んぼごとに分けて見るとか、それで生育の悪いところだけ肥料ををあげるとかですね。」
「それから、漁業で例えば養殖で使うとかいろんな使い方が出来るようになってきて、宇宙関連ビジネスってすごく広がっていくだろう。」
「それに伴って、例えばロケットを打ち上げるとか衛星を沢山飛ばすとかということ自体もビジネスとして拡大していくだろうと。」
「ものすごく今、世界でも期待されているんですね。」
「ところが、実は私は政府の宇宙産業振興小委員会の座長をやってましてね、そこで見ていると日本の宇宙産業って必ずしもそんな順調に育って行かないぞと言わざると得ないんです。」
「まず日本の宇宙産業ってJAXAだとかいろいろ出てきますけど、基本的には大きな衛星を大きなロケットで打ち上げるっていうビジネスなんですが、日本政府はもうお金がないこともあって所詮小さなマーケットなんですよ。」
「みんな政府だけに頼っていた宇宙ビジネスなんですね。」
「高々3千数百億円のマーケットなので非常にコストが高いし、コストが高いので(競争力がなく、)海外でビジネスをすることも出来ないんですね。」
「それからマーケットが小さいのでそもそも民間企業も入ってこないと。」
「宇宙ムラだけで閉じていたマーケットだったんです。」
「ところが、今いろいろ言われているビジネスは、実は民間企業が出て来ていろんなサービスをしようってことなんですよ。」
「だけど、負の連鎖があってそもそも民間企業の投資もしないような状況なので、負の連鎖が断ち切れない限りはなかなかここ(民間企業の投資や市場開拓)が育っていかないですね。」
「(どこから負の連鎖を断ち切ることが出来るかという問いに対して、)政府のお金って増えないですから、ここ(官需)を期待しても駄目なんですよ。」
「そうすると海外需要を開拓するか、あるいは日本の中でマーケットをつくる、例えば最近ですと小さな衛星を小さなロケットで打ち上げて、それを何十個、何百個も打ち上げてそこからビジネスをするっていうモデルが今出来始めているんですね。」
「そこだと日本も民間企業が参入出来るかもしれない。」
「実際にさっきGPSでいろいろあったようなのは、民間企業の中でそういうマーケットを育ててみようという人が出てきた。」
「もう一つは、小型の衛星とかは日本でも育てられないといけないですね。」
「キャノンがですね、大きな企業がこのマーケットに参入しようかなと言っているんですよ。」
「ですから、私はそういうところを期待したいんですよ。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
以前お伝えしたように、特に先進国においては、“資本主義の終焉”(参照:アイデアよもやま話 No.3565 マイナス金利政策に見る資本主義からの脱却の必要性!)と一部の専門家が指摘しているように、需要の飽和状態に陥っています。
ですから、今、宇宙はマーケットの新たなフロンティアとして注目されているのです。
私が注目するのは、宇宙産業の中でも人類が宇宙空間、あるいは他の惑星での継続的な生存につながるビジネスです。
具体的には月旅行などへの宇宙旅行です。
そこまでいかなくても、宇宙エレベーター(参照:アイデアよもやま話 No.2077 いよいよ2050年には宇宙エレベーターが実現!?)などは宇宙空間から地球を眺めることが出来るというこれまでにない画期的な観光事業になります。
以前ご紹介したように、既にアメリカでは火星移住計画(参照:アイデアよもやま話 No.3020 人間のフロンティアはどこまで広がるのか その1 火星移住計画!)が民間企業により着々と進められています。
遠い将来、惑星衝突、あるいは何らかの地球の異変により人類が地球上で生存出来なくなる可能性があります。
ですから、宇宙ビジネスは単なるビジネスというだけでなく、人類の存続もかかっている重要な意味合いもあるのです。