2017年06月03日
プロジェクト管理と日常生活 No.491 『表層地盤上の木造住宅に求められる耐震設計の見直し!』

4月9日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)で表層地盤上の木造住宅のリスクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

近い将来、発生が懸念される首都直下地震、そうした中で地震による木造住宅への影響について新たな事実が明らかになりました。

家などが建つ地表からおよそ100mまでの表層地盤について、国の研究機関が初めて関東地方について詳しく分析しました。

すると、木造住宅に大きな影響を与える揺れが局所的に表層地盤で増幅され、これまでの想定の1.5倍以上に強まる可能性のある地域が5000ヵ所あまりに上ることが分かりました。

 

昨年4月14日に発生した熊本地震で震度7を2度観測した益城町では住宅の3割近くが全壊しました。

表層地盤によって局所的に揺れが強まって大きな被害につながったと見られています。

表層地盤が揺れにどう影響するのかについて、軟らかい地盤が薄いと揺れはそれほど増幅されずに地表に達し易く、逆に軟らかい地盤が厚いところでは周期の長いゆっくりとした揺れが増幅され易くなります。

益城町では、軟らかい地盤の厚さ10mくらいの地域で木造住宅に影響を与える揺れが特に強まったと見られます。

建物ごとに揺れや周期が異なり、木造住宅では周期1秒前後の揺れが大きな影響を与えるとされ、益城町では局所的に2倍以上に強まったと見られています。

 

では近い将来、首都直下地震の発生が懸念される関東地方の地盤はどうなっているのでしょうか。

現在公開されている、揺れ易さを示した国の地図では、表層地盤については主に地形をもとに推定しているため、より細かな地域ごとの揺れの増幅の影響が十分に反映されていない可能性があるということです。

 

そこで、防災科学技術研究所の研究グループは、関東地方の1万ヵ所以上で行った高性能の地震計による調査やおよそ28万件のボーリング調査のデータから表層地盤を詳しく調査しました。

その結果、250mごとに分析した結果、関東の平野部のおよそ4分の1の地域で木造住宅に影響の大きいと考えられる周期の揺れがこれまでの想定より強まる結果となりました。

更に、5000ヵ所あまりでこれまでの想定より1.5倍強まる可能性のあることが分かりました。

 

東京都台東区内の住宅街では、これまでと比べて揺れは2.7倍になり、都内で最も大きくなっています。

一方、商業ビルや住宅が立ち並ぶ東京都港区内の地域でも、場所によってこれまでの2.6倍に揺れが強まる結果となっています。

かつて川が流れていた場所で、軟らかい粘土質の土が堆積していると見られるためと分析しています。

 

分析した、防災科学技術研究所の先名 重樹主幹研究員は、従来の被害想定の見直しが必要だと指摘しており、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(こうした地域では)震度が1段階変わる、6強が7になる可能性もあります。」

 

「(国や自治体は)適切な揺れ易さの検討を行い、被害想定などを作り直す必要があるかと。」

「リスクは防げると思いますので補強をするとか壁を入れるとか、そういったことをした方がいいと考えられます。」

 

新たに明らかになった地盤の影響、防災科学技術研究所では年内にも揺れ易さの地図を作り、公開したいとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで漠然と建物の地震対策をしてきましたが、昨年4月14日に発生した熊本地震で震度7を2度観測した益城町の大きな被害をきっかけに、表層地盤によって局所的に揺れが強まって大きな被害をもたらすことが分かりました。

そして、防災科学技術研究所の研究グループによる関東地方での表層地盤の詳細な調査の結果、関東の平野部のおよそ4分の1の地域で木造住宅に影響の大きいと考えられる周期の揺れがこれまでの想定より強まる結果となりました。

 

こうした調査結果から、首都直下地震の発生が懸念される関東地方に限らず、国内各地での表層地盤の深さとの関連から想定される最大震度に対応する耐震構造の住宅建築が大地震のリスク対応策として求められるようになったのです。  

ですから、防災科学技術研究所により作られる国内各地の表層地盤との関連で揺れ易さの地図を公開し、それに対応した住宅建築の建築基準を設定し、それに適合した住宅建築が大地震のリスク対応策として進められなければならないのです。


 
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