2017年06月01日
アイデアよもやま話 No.3718 夢の海中都市 その2 深海資源の活用!

3月4日(土)放送の「夢の扉」(BS−TBS)で夢の海中都市について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目の技術的に既に実現可能な海中都市に次いで、2回目は深海資源の活用についてです。

 

海中都市の実現に向け、技術を結集させる大手建設会社の清水建設(東京都中央区)の竹内真幸さん、深海は陸上にはない資源が眠る可能性が満ち溢れた場所だと考え、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「深海ということでものすごいポテンシャルがあります。」

「深いということを活かして電気も作れますし、真水も作れますし、資源やCO2の固定などいろいろなことが出来ます。」

 

では具体的にどのように深海を利用するのでしょうか。

例えば発電では、海面近くと深海の水温の差を利用します。

日本では既に海洋温度差発電実証プラントが沖縄・久米島で稼働しています。

その仕組みは、深海の冷たい水と海面近くの温かい水をくみ上げます。

そしてカギを握るのが液体フロンです。

わずか30℃の低温で沸騰します。

温かい海水で液体フロンを沸騰させ、発生した蒸気でタービンを回して発電するのです。

その後、冷たい海水で蒸気を冷やして液体に戻して再利用、半永久的に発電出来る海洋温度差発電というシステムです。

海中都市、オーシャンスパイラルは深海の力を利用した循環型エネルギー社会なのです。

 

更に、海底に眠る“宝”ともいわれる手付かずの資源を取り出す新たな技術の開発が進んでいます。

海底の資源を取り出す新技術をその目で確かめようと竹内さんがやって来たのは高知県にある国の研究機関、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の高知コア研究所です。

地球深部探査船「ちきゅう」に乗り、水深1000mの更に数百m下の土を採取しています。

人類が初めて手にする海底の土、そこには驚くべき生物が存在していたのです。

46万年前の地層に生息している緑色の微生物です。

こちらの研究所の研究所長代理の稲垣 史生さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この微生物は基本的には埋没した有機物を食べて、いろんな分解でみんな仲良くご飯を食べて最終的にはメタンを出す。」

「そのメタンはメタンハイドレートになっています。」

 

メタンガスと水が凍ったメタンハイドレートは“燃える氷”とも呼ばれ、次世代のエネルギー資源として期待されています。

太古の昔、海の底に生き物の死骸が堆積し、それらを微生物たちが分解、するとそこにメタンガスが発生します。

低温と圧力により、長い年月を経て固まったのがメタンハイドレートなのです。

稲垣さんたちが見つけたこの微生物、実はCO2だけでもメタンを生み出すことが出来るのです。

 

そこで竹内さんは考えました。

工場などから出る煙からCO2を取り出し、海底に送ります。

そこの微生物たちにCO2を与え、メタンガスを作らせ、エネルギーとして利用するのです。

CO2による地球温暖化を止め、石油の枯渇問題も解決出来るといいます。

早くも実現に向けて動き出しました。

竹下さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「CO2を取ってくる時、誰も文句を言わないわけです。」

「みんなCO2はいらないと思っているからね。」

「それで、深海はいっぱいあるし、深海にあるバクテリアも「それ私が使います」と言って、ずるいという人も誰もいないわけです、山ほどいますからね。」

「みんながいらないというものと、山ほどあるものを使って、こんな循環が出来るっていうところがすごくいいところなんですよね。」

 

そして、稲垣さんも次のようにおっしゃっています。

「それが地球にも人間社会にも優しいシステムであるというところがミソですよね。」

「で、よくよく考えると、それは地球本来の持っているシステムの延長上であったということなんだと思いますね。」

「一つのこういうビジョンを提示することで、それが大きなドライビングフォース(推進力)になるっていうことで人間社会に役立ちましたら、地球環境にも役立つし、すごくワクワクしますね。」

 

竹内さんの考えた海中都市は、地道に研究を進めている人々にとって一つの指針になると稲垣さんはおっしゃいます。

夢が研究や技術を前進させていきます。

 

ある日、竹内さんの勤める事業所にカリフォルニア州立工科大学の建築学科の学生たちがやって来ました。

日本の技術力で造られる海中都市に目を輝かせていました。

 

エネルギー、資源、環境、直面する課題に立ち向かうオーシャンスパイラルは未来を切り拓く希望と技術の集大成なのです。

この星に住み続けていくためにいったい何が出来るのか、それを絶えず考え続け、必要な技術を作り出すことが大切だと竹内さんは考えます。

番組の最後に、竹内さんは次のようにおっしゃっています。

「例えば東京を宇宙から見たとすると、地球ってちっぽけな一つの宇宙船、あるいは船に見えるってことですよね。」

「で、その中では光合成などで自活していかなければいけないと。」

「ところが、人間は賢くなると段々エネルギーをいっぱい使うし、廃棄物も出すし。」

「そうすると、また別の新しい発見が・・・」

「まだまだこの船の中で出来ることはいっぱいあるという感じなんですよね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以下に番組で紹介された深海資源の活用についてまとめてみました。

・海洋温度差発電

・深海に眠るメタンハイドレートを次世代のエネルギー資源として活用

・工場などから排出されるCO2の有効活用

  CO2を消費することによる地球温暖化の進行の阻止

CO2を深海の微生物に与えてメタンを作成し、次世代のエネルギー資源として活用

 

なお、工場で排出されるCO2の有効活用については、アイデアよもやま話 No.3709 佐賀県で進む画期的な取り組み その1 日本初の清掃工場で発生するCO2を回収・活用する取り組み!、およびアイデアよもやま話 No.3710 佐賀県で進む画期的な取り組み その2 CO2を活用した佐賀市の町おこし!でもご紹介しました。

 

いずれにしても地球温暖化問題、あるいは化石燃料の枯渇問題は避けて通れないのです。

ですから、企業や国、地方自治体には様々な発電方法、あるいはCO2の有効活用法についての取り組みを試行錯誤しながらより優れた方法を目指して欲しいと思います。


 
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