2017年05月23日
アイデアよもやま話 No.3710 佐賀県で進む画期的な取り組み その2 CO2を活用した佐賀市の町おこし!

CO2といえば、地球温暖化の元凶として悪いイメージが世界的に定着しています。

そうした中、2月4日(土)放送の「夢の鍵」(BS―TBSテレビ)で佐賀県で進むCO2を宝に変える取り組みについて取り上げていました。

そこで、2回にわたってご紹介します。

2回目は、CO2を活用した佐賀市の町おこしについてです。

 

前回、ご紹介したように、佐賀市環境部バイオマス産業都市推進課の井口 浩樹さん(52歳)たちは、大手企業3社の協力により、2016年8月、日本で初めて清掃工場の排ガスからCO2を回収する設備を稼働し始めました。

そして、井口さんたちは次なる変化を求め、その先を見つめていました。

CO2を活用する企業を誘致し、佐賀市を活性化させる町おこしです。

そのキーワードは“エコ”です。

井口さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「CO2を売るのが目的ではなくて、CO2を活用して町づくりをやろうっていうのが目的ですから、余計なコストをかけないで出来るだけ安くCO2を供給したいということですね。」

 

様々な企業に佐賀市のCO2の活用を働きかけ、それに応えて活用したいといち早く手を挙げたのは藻類を培養し、有用な成分をつくる企業です。

アンチエイジングや眼精疲労に効果のあるアスタサンチン、この成分をつくる藻類、ヘマコッカスの培養を行っているアルビータ社です。

清掃工場の近くにある培養施設で、直接パイプラインを引いてCO2を送っています。

企業誘致に成功した第1号です。

こうして、2016年10月、CO2を使った藻の培養がスタートしました。

地球環境を壊すはずのCO2が町おこしの起爆剤になったのです。

 

こうして第一歩を踏み出した井口さん、次なる一手はなんとミドリムシでした。

下水処理場では、水処理の過程で生まれる汚泥を使い、安くて質の高い肥料を製造しています。

また、下水処理で発生するCO2の回収も計画中です。

そんな佐賀市の取り組みに賛同したのがミドリムシを使った商品で知られるベンチャー企業、ユーグレナ(東京・田町)(参照:アイデアよもやま話 No. 1916 ミドリムシからバイオ燃料!)で、今まさに共同研究が続いています。

ユーグレナの出雲 充社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「直接市長が市民を代表してね、ミドリムシを誘致する気持ちをお話したいと。」

「私どももそんな市役所から連絡いただくのは初めてですから、これはもう佐賀でやるしかないと。」

 

6社が参加する大事業、未来産業の拠点になるかもしれません。

井口さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「下水処理場の中からもいろんな資源が生まれてまして、水処理の過程で出てくるCO2ですとか窒素やリンを取り出してミドリムシの培養に生かせる。」

 

下水を処理した水には窒素やリンなどの養分が含まれています。

ミドリムシはそれを吸収し、水を浄化するのです。

下水処理場のイメージがガラリと変わります。

出雲社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「大前提として、下水処理場というのは迷惑施設じゃないんですよ。」

「宝の山なんですよね。」

「他の都市ではこんなに熱心に全部使い切ろうという発想には中々ならない。」

「佐賀の皆さんのアイデアが本当に素晴らしい。」

 

一方、佐賀市では、他にも様々な取り組みが行われています。

清掃工場のゴミ焼却の廃熱で発電し、小中学校や図書館など公共施設の電気代、1億2900億円分を賄っています。

 

廃棄物が資源となる町づくり、井口さんたちは大学とも連携し、新たな産業の可能性を今も模索しています。

生物資源を生かす町と評価され、国のバイオマス産業都市に選ばれています。

地元の高校生たちも佐賀市を応援しています。

高校生たちはバイオマス産業都市さが(佐賀)のゆるキャラ「ばいおますお」の着ぐるみを作って、様々なイベントに参加しています。

あるイベントで、地元の高校生たちは藻類の健康食品やハンドクリームの販売を買って出ました。

 

清掃工場はもう迷惑施設ではありません。

嫌われ者だったCO2も有用な資源です。

それでも井口さんたちの夢はまだ始まったばかりです。

井口さんは、若者が希望が持てる町を目指しています。

番組の最後に、井口さんは次のようにおっしゃっています。

「まず第一は佐賀市民のためにならなければいけないですね。」

「それが広がって、最終的には日本のため、世界のためになればいいなということですね。」

 

なお、井口さんが番組に送ったメッセージは「机上の判断よりも覚悟ある決断」でした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

少子高齢化、人口減少の進む日本においては、多くの地域での生き残り対策が求められています。

そうした中、今回ご紹介した佐賀県の取り組みは、町おこしの事例としてとても理に適っていると思います。

それぞれの地域特性を生かした町おこしも考えられますが、CO2の活用という佐賀県の取り組みはどの地域においても適用出来る素晴らしい内容です。

 

この佐賀県の取り組みを全国展開、更には世界的に普及させていけば、地球温暖化問題の解決に大きく貢献出来るだけでなく、いろいろな分野でのCO2の活用が期待出来ます。


 
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