2017年05月18日
アイデアよもやま話 No.3706 自動車をめぐる新たな動き(2) その4 現実味を帯びてきた「空飛ぶ自動車」の実用化!

今回も主に電気自動車(EV)を中心に電気自動車をめぐる新たな動きの第2弾として4回にわたってご紹介します。

3回目は、現実味を帯びてきた「空飛ぶ自動車」の実用化についてです。

 

2月26日付け配信ネットニュース(こちらを参照)で2020年には登場するかもしれない「空飛ぶ自動車」について取り上げていたのでご紹介します。

 

米欧の新興企業が「空飛ぶクルマ」の開発に力を入れています。

配車サービスの米ウーバーテクノロジーズは2月25日、2020年までに空飛ぶタクシーの試験飛行を目指すと発表しました。

スロバキアの企業も同年までに販売する計画を掲げています。

1980年代のハリウッド映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場した空飛ぶクルマが現実のものになるかもしれないのです。

 

ウーバーでは、ブラジルの航空機大手、エンブラエルなどと組み小型の垂直離着陸機を開発し、2020年までにダラスとアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで試験飛行し、2023年までに本格的に飛行する計画です。

ウーバーは昨年10月、新たな交通サービスとして空飛ぶタクシーの構想を発表していたのです。

 

欧州でもベンチャーの動きが活発です。

スロバキアのエアロモービルは2020年までに空飛ぶクルマを売り出す計画です。

価格は100万ドル以上で、スイッチを入れ3分以内に飛行モードに切り替わります。

ユニークな形状で、道路では翼を折り畳んで走行することも可能です。

 

一方、ドイツに拠点を置くリリウムは5人乗りの空飛ぶタクシーの開発を進めています。

試験飛行では2人乗りの試作機が空中で静止するホバリングなどを実施しました。

 

エンブラエルがウーバーと組むように、航空機大手が自動運転技術をもつ企業に接近するケースも広がっています。

 

欧州エアバスは4月中旬、傘下のベンチャーキャピタル(VC)エアバス・ベンチャーズを通じ、自動運転サービスのベストマイル(スイス)に少額出資しました。

ベストマイルは欧州トップクラスの技術系大学、スイス連邦工科大学ローザンヌ校発のベンチャーです。

自動運転車と、周囲の交通情報に関した運行データをクラウドで管理し、スイスでの自動運転バスなどで実績があります。

 

航空機メーカーが陸と空をまたぐプラットフォーム(基盤)づくりに携わる時代がやってくるかもしれません。

 

日本では自動車メーカーなどの動きが報じられていますが、具体的に空飛ぶクルマの実用化の目標年を示した動きは見られません。

一方、ウーバーが試験地に選んだドバイでは、行政が積極的に関与して、ドローン(小型無人機)のような1人乗り小型機を使った空飛ぶタクシー構想があります。

 

日米欧の自動車大手が自動運転車の実用化の目処として示すのが2020〜2021年です。

これはウーバーなどの空飛ぶクルマの目標時期と重なります。

両者の融和が進めば、人の移動(モビリティー)を巡る「陸と空」の垣根は低くなります。

まさにバック・トゥ・ザ・フューチャーに登場した空飛ぶクルマ「デロリアン」の世界です。

 

もっとも実際に公道などを走行するためのルールづくりは未着手なケースが多いのが現状です。

消費者に安全性や利用する利点を理解してもらうことも必要です。

ビジネスとして“離陸”するには、乗り越えるハードルはまだ多いのです。

 

以上、ネットニュースの一部をご紹介してきました。

 

日本では自動運転車の実用化がマスコミをにぎわせておりますが、海外では「空飛ぶ自動車」の実用化まで踏み込んだ動きが活発のようです。

なお、5月15日(月)放送の「はやドキ!」(TBSテレビ)によると、トヨタグループ内外の若手メンバーでつくる団体「カーティベーター」が独自に「空飛ぶクルマ」の開発を進めています。

「空飛ぶクルマ」は、複数のプロペラで機体を安定させる技術を確立出来るかが課題です。

「カーティベーター」は来年末までに有人飛行が可能な試作機を完成させ、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の実用化を目指すといいます。


考えてみれば、究極の移動手段は陸、海、空をまたいで自由自在に移動出来る乗り物です。

そして、陸での移動手段、すなわち現行の自動車や電車、バスなどには道路や線路、および信号などが不可欠です。

しかし、空や海の移動手段には、原則としてこうした設備は不要です。

相互にぶつからないようなルールさえ決めておけばいいのです。

ただし、一方で空の移動手段の場合には、空から落下した場合の事故リスクを伴いますから、民家などのない移動ルートを決めておく必要があります。

また、強風や台風対策も必要です。

ですから、あらゆる気象条件を考慮すると、やはり状況に応じて空と陸と両方で移動出来るようにしておくことが求められます。

 

このように考えを進めていくと、技術要件よりも運行ルールなど運用上の要件や安全対策などを詰めることの方が難しそうです。

いずれにしても、陸海空をまたがって自在に移動出来る手段を巡る新たな動きはこれから何十年か続きそうです。

ということで、新たな移動手段の時代はすぐそばまで来ているように思えてきます。


 
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