2月14日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でロングセラー商品、「小型ホッチキス」の秘密について取り上げていたのでご紹介します。
1952年、日本初のロングセラー商品、「小型ホッチキス」が生まれました。
今では当たり前に浸透しているホッチキスですが、マックスのホッチキスは国内シェアの7割以上を占め、現在累計4億台も使われています。
発売から65年、番組ではこのロングセラー商品の秘密に迫りました。
オフィスや学校で使うことの多い文房具でおなじみの小型ホッチキスのルーツは意外なものが関係していました。
マックスは1942年創業の文具メーカーです。
世界最強と謳われたゼロ戦の尾翼の部品を造っていた会社でした。
マックスのオフィスプロダクツ営業部の佐々木 高行部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「当時の技術としては、(金属を)打って抜いて曲げる工程はレベルが高い水準にあったのではないかなと。」
1946年、高い技術力を生かし、アメリカ生まれのホッチキスの国内製造を始めました。
販売価格は600円(現在の約1万円に相当)、とても高価でほとんど売れませんでした。
どうしたらホッチキスを広められるか、2代目の山田 辰雄社長は頭を悩ませていました。
ある時、山田さんは知人からアメリカ土産をもらいました。
そこには手のひらサイズのホッチキス、あまりの小ささに驚いた山田さんは早速開発を始めました。
そして、尾翼造りで培った金属の加工技術で小型化に成功、価格も200円に抑えました。
日本初の小型ホッチキスの誕生です。
ホッチキスを更に広めるため、学校向けにホッチキスで作る工作のパンフレットを配布したり、テレビCMも打ち出しました。
しかし、ライバル企業も次々に小型ホッチキスを販売、売り上げは伸び悩みました。
そんな時に転機がやってきました。
マックスの営業マンが見かけたのは、ホッチキスの針の裏をハンマーで潰している姿でした。
ホッチキスの針のせいで、書類がかさばるためでした。
そして1987年に造られたのが閉じ裏を平らにするフラットクリンチホッチキスです。
書類を閉じて重ねてもかさばらない技術を世界で初めて開発したのです。
マックスはこの他にも金属針を使えない食品工場など向けの紙の針のホッチキスや、小型であるにも係わらず紙を40枚留められるホッチキスを開発、こうした新製品は必ず売り場で試せるようにしているといいます。
定番の商品だからこそ心がけていることについて、山田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。
「お客様のニーズをきちんとつかんで、お客様に驚きを感じてもらえるような商品を開発し、出していきたい。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今やどこの家庭、あるいはオフィスにも欠かせないホッチキスですが、日本におけるそのルーツが世界最強と謳われたゼロ戦の尾翼の部品を造っていた会社というのは意外でした。
この他にも兵器の開発技術が平和的な目的のために使われ、優れた商品につながっているという話をよく耳にします。
平和維持のために世界的に兵器開発を全面禁止することは適いませんが、せめて平和的な目的のためにその技術を使って欲しいと思います。
また、世界各国の国民の日々の暮らしへの満足レベルの向上は、“金持ち喧嘩せず”の例えにもあるように世界平和に貢献することは間違いないのです。
また、その進化の過程はまさに“ユーザーの要求”に応えるための飽くなき追求です。
どんなヒット商品にもやがて賞味期限がやってきます。
しかし、新たなユーザー要求の掘り起こし、およびそれに応える技術開発により新たな商品が生まれるのです。
こうした各々のユーザーの要求と各々の企業による商品開発のキャッチボールが結果として私たち一人一人のより豊かな暮らしにつながっているのです。