2017年05月09日
アイデアよもやま話 No.3698 知的財産を生かして利益を生み出す取り組み!

2月14日(火)放送のテレビニュース(NHK総合テレビ)で知的財産(知財)を生かして利益を生み出す取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。

 

企業にとって市場での競争力を測る物差しとして、特許、意匠、商標といった知的財産の重要性が増しています。

モノづくりが盛んな東海地方の中小企業の間でも知的財産を生かして利益を生み出す取り組みが始まっています。

 

岐阜市の公共施設で使われているシンプルな机は、簡単な操作で移動出来、収納もし易いと好評です。

この机は名古屋市に本社のある施設用家具メーカー、愛知株式会社の製品です。

社長の島本 迪彦さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「多くの場所で使われている椅子を指して、)これ、世の中のスタンダードになった折りたたみ椅子なんですが、50数年前に当社が世の中に出しました。」

 

製品の差別化に欠かせないオリジナルのデザインや機能、そのままでは他社に真似される恐れがあります。

製品の価値を守るために欠かせないのが知的財産です。

執行役員で研究開発部長の熊澤 工さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「早期に模倣品が出てきてしまいますと、非常に権利の価値の部分が損なわれてしまいます。」

「かなり権利化には神経を使ってございます。」

 

製品ごとに知的財産を国に申請するため、開発部門に専任の社員を配置、新製品を作る過程で、常にデザイナーと意見を交わしています。

例えば、椅子の足の部分でこだわったのは収納し易い機能性を備えた足のデザイン、特許や意匠の申請を組み合わせ、模倣を防ぎます。

国内だけでなく海外でも特許や意匠を登録、模倣を防ぐとともに他社の権利を侵害していないことも示し、取引先の信頼を得ています。

熊澤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「海外取引の中でも(知的財産の)権利を有していることが相手にも安心を与えますし、知的財産を強化することイコール会社自体が強くなる、あるいは権利を持って武装出来るので非常に会社経営の中でも重要な知的財産というかたちで考えております。」

 

一方、知的財産を生かした事業を評価してもらうことで金融機関から融資を引き出し、事業を広げようとしているメーカーもあります。

従業員およそ30人のシリコンメーカー、株式会社タナックです。

手術の訓練に使う模擬血管の製造に関する特許を持っています。

昨年、岐阜県各務原市で新たな工場を稼働、販売先を海外にも広げるため、今後この工場で製品を量産していく計画です。

社長の棚橋 一成さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「海外に展開していくためにも、1個か2個つくるだけでは駄目ですね。」

「1000個、1万個つくれるようなラインもつくっていかないといけない。」

 

計画の実現に向け、手を結んだのが地元の信用金庫です。

知的財産を生かした企業に将来性を見出し、融資する制度を昨年から始めています。

特許をいかにビジネスに展開し、利益につなげるかが評価のポイントです。

メーカーは申請中の特許を使った新製品を紹介、これまで対応出来なかった電気メスが使えることを強調しました。

自社の特殊配合で電気を通せるように配合を作り直したのです。

 

企業の財務力や資産などで融資を判断していた金融機関にとっても技術力やアイデアを評価するこうした融資の仕組みは成長する企業の掘り起こしにつながります。

一方、企業の側も知的財産を盾に作り出した製品を守るだけでなく、攻めの姿勢で戦略的に使うことで競争力が高まります。

棚橋社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「中小企業の場合、知的財産(を生み出すには)なかなかハードルが高いですし、お金もいります、それなりにね。」

「ただモノをつくっているだけでは駄目なんですね。」

「今度、知的財産で攻めていかないといけないということですね。」

「守って攻めるという、この両極端の位置づけが特許としてあるんじゃないかなと考えております。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

言うまでもなく各企業の知的財産の権利を守ることはとても重要です。

そして、番組の中でも指摘されていたように、国内外を問わず、特許や意匠を登録することは模倣を防ぐとともに他社の権利を侵害していないことも示し、自社並びに取引先は安心して取引をすることが出来るのです。

 

ところが、特に中小企業においては、新製品の開発費のみならず国際特許を取得するとなると、かなりの資金負担が生じます。

そうした場合に、助けになるのが金融機関や投資会社による資金の提供です。

ですから、こうした中小企業と投資元との出会いの場をより広くすることが求められます。

同時に、AI(人工知能)などのテクノロジーを活用することにより、特許や意匠の審査過程を効率化し、資金負担を軽くすることが求められます。

更に、将来的には、国別の特許などの知的財産管理を止めて、国際的に一元化した知的財産管理システムの構築が望まれます。

こうしたシステムにより、登録に係わる料金が安くなり、同時に審査期間も大幅に短縮されると期待出来るのです。

こうした状況の実現により、知的財産の登録が加速化し、ビジネスに好影響を与えることは間違いありません


 
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