2017年05月07日
No.3696 ちょっと一休み その593 『心肺停止について その1 心臓とロックの不思議な関係!』

古い情報ですが、昨年9月21日(水)放送の「ガッテン!」で心肺停止をテーマに取り上げていました。

そこで、2回にわたって番組の内容をご紹介します。

1回目は、心臓とロックのある曲との不思議な関係についてです。

 

突然死する人の6割は心臓の異変・心肺停止が原因といいます。

そこで、命を救うためにとにかく実行して欲しいのが心臓マッサージです。

そもそも心臓マッサージの目的ですが、救急救命士の今井 良恵さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ドクンドクンという動きを胸骨圧迫(心臓マッサージ)が代わってやってあげます。」

「脳などの重要な臓器への血流を維持することが目的となっています。」

「それにより患者さんの予後が変わってくる重要な手技となっています。」

 

つまり、心臓を押すことで脳に血液を送ってあげるのが目的であり、心臓を復活させるためではないのです。

そして、心臓マッサージはただ押すだけでなく、しっかりと引いて“間”を作ることが重要だといいます。

でもいざという時、やっていいのかどうか勇気が持てないというのが一般的です。

そうした中、京都府立医科大学附属病院救命医療部のベテランドクター、山畑 佳篤さんがその勇気を持てる方法を見つけました。

国からの研究費を受けて歌を使った新たなテーマに挑みました。

それは、どんな素人でも簡単にしかも確実に心臓マッサージが出来るようになる方法です。

100枚以上のCDを聴きまくり、その中から、ある特別な一曲を見つけ出したのです。

それは女性ロックバンド、プリプリ(プリンセスプリンセス)の「ダイヤモンド」という曲です。

この曲には、心臓マッサージをプロ並みに行える秘密が満載といいます。

もし目の前で家族が倒れた時、この曲を口ずさむと誰もが心臓マッサージを上手に出来るようになり、命を救える確率が2倍になるというのです。

救急車が到着するまで心臓の代わりとなってしっかり押してあげることが大事だといいます。

 

では、心臓マッサージの具体的な方法ですが、以下の手順で行います。

  1. 心臓の上ではなく胸の真ん中に手のひらではなく手の付け根の部分を置く

  2. 肘は曲げずに、肩、肘、手の付け根が真っ直ぐになるように約5cm押す

  3. 毎分100回から120回の間のテンポで心臓マッサージを行うのが望ましい

 

心の中でこのメロディが流れれば、正確なリズムで行えるといいます。

 

こうした観点から、「ダイヤモンド」には以下のよう優れた点があります。

  1. 毎分112回のテンポであること

  2. リズムが裏打ちであること(心臓を押すだけでなく、引く動きで血流がアップする)

  3. 心臓マッサージを疲れず、続けられること(押したり引いたりする動きが疲れにくさをもたらす)

 

ちなみに、この条件にピッタリな曲は他にもあります。

例えば、AKB48の「365日の紙飛行機」、橋幸夫の「いつでも夢を」などです。

ですから、こうした曲からいざという時にパッと思い出せる曲を選んでおくことがお勧めなのです。

ベテランドクターの山畑さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(倒れた人をゆすったりしても何も反応が無い場合でも心臓マッサージをやっていいのかという問いに対して、)今はとにかく迷ったら押して下さいというふうに言われています。」

「(心臓マッサージが)遅れれば遅れるほど助かる可能性がなくなっていく、実際には4分、5分経つと倒れた人の脳は助からない可能性がどんどん高まっていく。」

「救急隊が来るまで心臓の代わりに血液を送り込んであげるという役割がこの手というふうに思ってやっていただければ。」

「そういう時には、「そうだ、あの曲だ」と思い出していただければ、勇気の一押しになってくれると思います。」

「もう一つ大事なことがあるのですが、心臓マッサージを身に付けていただいても、自分で自分を助けられないので、この内容(今回紹介した方法)を自分の周りの知り合いや家族、皆さんに広めていただいて、自分が倒れた時でもやってもらえるようにするということが大切じゃないかと思います。」

 

さて、心肺蘇生といえば、最近増えてきたのがAED(自動体外式除細動器)です。

年間7千万人もの人が利用する羽田空港には80台近くもAEDが設置されており、毎年多くの命を救っているといいます。

そもそもAEDが何をするかというと、心室細動という危険な不整脈を起こしている時に、電気ショックで正常な動きに戻してくれるのです。

以下は人が倒れて息をしていなかった場合の具体的な対処法です。

  1. まず救急車を呼ぶこと

  2. 次に「ダイヤモンド」をイメージしながら心臓マッサージを開始すること

  3. 更にもう一人いたらAEDを持って来てもらうこと

    AEDの使い方は、音声の指示通りにする(電気ショックが必要な場合は、AEDがちゃんと教えてくれる)

  4. 電気ショックが終わったら、脳を守るためすぐに心臓マッサージを再開すること

 

ちなみに今は、一般の人が人工呼吸をする必要はないとされています。

大事なのは心臓マッサージなのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

もし目の前で誰かが倒れていた時、プリプリの「ダイヤモンド」を思い出して、毎分100回から120回の間のテンポで心臓マッサージを行うと、命を救える確率がグンと上がるというのは意外でとても面白いと思います。

また、これまでテレビドラマや映画などで心臓マッサージの場面があると、一生懸命心臓を押しているという印象でしたが、実はポンプで水をくみ上げるように心臓を押すだけでなく、引く動きで血流がアップするというのもなるほどと思いました。

 

ということで、いざという時にはプリプリの「ダイヤモンド」という曲を思い出すことが人の命を救うことになるかもしれないのです。


 
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