2017年05月06日
プロジェクト管理と日常生活 No.487 『北朝鮮の核兵器開発に見るタイムリーなリスク管理の重要性』

前回、プロジェクト管理と日常生活 No.486 『世界平和は”きれいごと”だけでは実現出来ない!』で世界平和を実現、更には維持していくための基本的な考え方について、リスク管理の観点から私の思うところをお伝えしました。

今回は北朝鮮による止まらない核兵器開発に焦点を当てたリスク対応策についてお伝えします。

 

そもそもリスク管理の最も重要なポイントは以下の3つであると言われています。

  1. リスク対応策を検討する際には、起こり得る最も最悪なケースを想定すること

  2. リスク対応策はリスクが小さいうちにリスクを摘み取ることが要諦であり、リスクが大きくなるにつれてその対応策のかかる費用が増加していくこと

  3. リスクが実際に発生してしまった場合に備えてコンティンジェンシープランをあらかじめ計画しておくこと

 

中でも2番目の、リスクが小さいうちにリスクを摘み取ることがリスク対応策として最も需要だと言われています。

こうしたタイムリーなリスク対応策をおろそかにしていると、どんどんそのツケが大きくなってしまうのです。

このような観点からすると、明らかにこれまでの国連(国際連合)やトランプ政権以前のアメリカの北朝鮮に対する対応は、甘過ぎたと言わざるを得ません。

同様に北朝鮮の石油の供給のほとんどは中国からの輸入に依存しているといいますから、中国の対応の誤りも無視出来ません。

もし、北朝鮮の核兵器開発の早い段階で中国が石油の輸出量の削減をちらつかせた対応をしていれば、北朝鮮問題がここまで大きくなってしまうことはなかったと思います。

 

また、一連の報道によれば、金正恩朝鮮労働党委員長は、自身の生存のためには核兵器開発が必須であると考えております。

更に開発済みの核兵器、およびICBM(大陸間弾道ミサイル)の完成後はいざ戦争になれば、アメリカであろうが甚大な被害を与えることが出来るため、アメリカと言えども簡単には北朝鮮に対して手を出せないと金正恩は考えているのです。

しかも、米軍基地のある韓国同様に日本も、いざ北朝鮮とアメリカが交戦状態になれば、ICBMの完成を待たなくても核兵器の脅威にさらされ、実際に核爆弾が投下されるようなことになれば壊滅状態になってしまうという現状を重く受け止めなければなりません。

 

このように考えていくと、北朝鮮の暴発は何としても食い止めなければならないのです。

この場に及んでは、あらゆる手段を行使して外交的な解決を目指し、北朝鮮の暴発、およびアメリカによる先制攻撃を防ぐことが最優先です。

 

いずれにしても、アメリカを始め、世界各国のリーダーは、以下の3つのことを肝に銘じることが求められるのです。

  1. 理由はどうであれ、武力を武器に世界制覇を企む独裁者、あるいは独裁国家はいつ出現するか分からないことを前提に国際的な枠組みでリスク対応策を構築すること

  2. 世界各国のリーダーは忍耐強さを持ち、あくまでも外交的な解決を心がけること

  3. 核戦争に圧倒的な勝利はあり得ず、双方の多くの国民に多大な犠牲を強いること

  4. 万一交戦リスクが発生した場合に備え、現実的なコンティンジェンシープランを平時に構築しておくこと

 

なお、北朝鮮は化学兵器の開発も非常に進んでいると言われています。

更に、北朝鮮はこうした兵器開発の資金源として、不正貿易や兵器の輸出も進めているといいます。

ですから、北朝鮮の現状を放置しておけば、いずれIS(イスラム国)など過激派組織に核兵器や化学兵器などが不正輸出されることが現実になることも大いにあり得るのです。

万一、核兵器や化学兵器がISなどの過激派組織の手にわたれば、世界は大混乱に陥ってしまいます。

             

ということで、第二の北朝鮮を誕生させないための試金石としても、北朝鮮を正常な国に転換させることは世界各国共通の急務なのです。

そこで、核兵器開発をあくまでも止めようとしない北朝鮮に対する現実の問題対応策を3つ以下にまとめてみました。

  1. アメリカ、中国を中心に北朝鮮に食糧やエネルギーなど、あらゆる物資が流れることを阻止する対策を確実に実施すること

  2. 一方で、北朝鮮とアメリカが交戦状態になった場合、短期間のうちに金正恩朝鮮労働党委員長の命が危うくなることを本人に意識させること

  3. 核兵器、および化学兵器の開発を止めれば、国際機関として金正恩朝鮮労働党委員長の命を保障することを本人に伝えること


 
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