2017年04月29日
プロジェクト管理と日常生活 No.486 『世界平和は”きれいごと”だけでは実現出来ない!』

ご存知のようにアメリカの相対的な国力の低下に伴い、オバマ政権時代にアメリカは“世界の警察官”の返上を宣言しました。

ところが、こうしたアメリカの政策転換に伴う、会話による領土問題の平和的解決をきっかけに、中国の南シナ海での人工島建設やロシアのクリミア侵攻が行われたと一部の専門家の間では見られています。

一方、北朝鮮は核兵器開発こそが外交の切り札として最も有効であるという国家方針を貫き、国際的な取り決めを無視し、核兵器開発をどんどん進めております。

こうした国家の行き着く先は、武力による世界制覇です。

 

こうした状況は何を意味しているのでしょうか。

これらは、自国の安全保障をより強固なものにすることなどを目的とした、機会があれば領土拡張を目指している国の存在、あるいは軍事力を外交の切り札にする国の存在を意味しています。

 

そもそも国連(国際連合)には、平和を維持するための様々な規約や機関があり、ほとんどの国はそれを守っています。

しかし、中国、あるいは北朝鮮のような独裁政権国家は、往々にしてこうした規約を守るよりも自国の利益を優先させてしまうケースがあります。

そして、こうした国の暴走は国際政治、あるいは軍事的なパワーバランスの崩壊を招き、国際平和を危うくしてしまうばかりでなく、最悪なケースではこうした国家により国際政治が牛耳られてしまうリスクを伴います。

 

ですから、このような国家による暴走を抑制するような仕組みが必要なのです。

それがかつてはアメリカの突出した軍事力、および“世界の警察官”と呼ばれるようなアメリカの政策によって実質的に機能してきたと言えます。

 

ところが、冒頭でもお伝えしたように、オバマ政権時代にアメリカは“世界の警察官”を返上してしまい、これによって実質的な歯止めがなくなってしまったことが北朝鮮、あるいは中国による軍事力を背景とした暴走が国際平和の維持を危うくさせているのです。

そうした中、アメリカ第一主義、および反グローバリズムの方針を掲げて誕生したトランプ大統領は、大統領選で掲げていた内向きの政策から一転してシリアへの軍事介入により北朝鮮の核兵器開発、および中国の覇権主義に対して警告を発しました。

勿論、このアメリカの政策の根底には、自国の安全保障の維持がありますが、国際的なパワーアンバランスを元に戻そうとする副次効果があります。

 

いずれにしても、ただ声高に世界平和を唱えるだけでは世界平和は実現出来ない、あるいは維持出来ないのです。

国際平和は”きれいごと”だけでは済まないのです。

冷徹な思考に基づいた最悪な事態を想定した抑止力、すなわちリスク対応策、更にリスクが発生してしまった場合の対応策、すなわちコンティンジェンシープランが世界平和の実現、および維持には求められるのです。

 

分かり易い例では、誰でもよほどのことがない限り、自分よりも強いと思う相手には喧嘩を売りません。

しかし、自分より弱いと思う相手に対しては、自分のストレス発散のためにいじめをしたり、喧嘩をふっかけたりすることにより自分の思い通りに事を運ぶことが起こり得ます。

こうした場合、弱いと思われていた相手が実は空手などを習っていることを知っていたり、こうした相手にいじめをすればその友人などから逆に痛い目に遭うことを知っていれば、あるいはいじめをすれば厳しい罰則が待っていれば、いじめをすることはないし、もしいじめをしたり、喧嘩をふっかければ逆に痛い目に遭うことになり、その結果二度とにこうした行為はしないようになるはずです。

ただ“いじめはよくありません”、あるいは“暴力行為は犯罪ですよ”と声高に唱えるだけではいじめや暴力行為を防ぐことは出来ないのです。

正義を貫くため、あるいはいじめや暴力から身を守るためには優れた知恵、あるいはいざという時には相手に対抗出来るだけの力が求められるのです。

 

国際政治にもこのような例えがそのまま通用すると思うのです。


 
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