2017年05月01日
アイデアよもやま話 No.3691 既にZEBを達成している企業あり!

徐々に省エネについての関心が高まりつつあり、特に関心の高い個人宅や企業の中には、太陽光など自然エネルギーによる発電や省エネにより実質的なCO2排出量ZERO(ゼロ)を達成しているところが出て来ています。

こうした個人宅はZEH(Zero Emission Home)、そして企業のオフィスビルはZEB(Zero Emission Building)と呼ばれています。

そうした中、少し古い情報ですが、昨年5月30日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で既にZEBを達成している企業について取り上げていたのでご紹介します。

 

2014年に決まった温暖化対策の新たな国際的枠組み、パリ協定に基づき、日本のオフィスビルは2030年までに温室効果ガスを40%削減するという高い目標が定められました。

この取り組みに対し、竹中工務店は営業所を“実用的なZEB”のモデルとして改修しました。

竹中工務店東関東支店(千葉市)でもこうした一環として2003年に完成したオフィスビルをZEB化しました。

オフィスはデスクワークする場所と打ち合わせをする場所を明確に分けられています。

そして、打ち合わせ場所の近くの窓は風を感じて自動制御で開閉するという外気を大胆に取り込む作りで、省エネを目指しながら社員の気分転換にもなるといいます。

また、以前はフロア各所にあった書類棚を1ヵ所にまとめました。

その結果、オフィス全体の15%が空調不要になりました。

このように、ただの改修工事ではあり得ない社員の動きや働き方にも言及するのが竹中工務店のZEB化への提言だといいます。

執行役員の車戸 城二さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これ(温室効果ガスの40%削減)は今までの新型空調機を導入するとかいった工夫では到底追いつけない。」

「何をしなければいけないか、そういうことをしっかり学び取るために今回我々は実験をしたということになります。」

 

一方、大成建設の研究センター(横浜市戸塚区)では、敷地内に消費電力ゼロを実現するため2014年に建てられたのがZEB実証棟です。

このオフィススペースはデスクや椅子、植木鉢に至るまで全て真っ白で統一されています。

また、このオフィスで働いているのは36人、特に働き方や就業時間に制限はなく、時には深夜残業をこなすといいます。

社員の加藤 美好さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「自然採光システムを取り付けております。」

「室内に入った光が拡散して全体的に効率よく広がるように白で統一したオフィスにしていると。」

「(それでどのように消費電力を抑えるのかについて、ビルで)一番電気を使うのは照明と空調なものですから、この2つを抑えることによって80%以上の電力を削減することが出来ます。」

「(オフィスに)実際に人がいる、いないというユーザー側の情報が分かれば、それに応じて(消費電力を)減らすことが出来る。」

 

例えば、室内に入った光が拡散して全体的に効率よく広がるようにます。

空調は個々のデスクに送風口を設置、センサーにより自動でオン・オフをする他、パソコン上で好みの温度・風量に調節が出来ます。

こうした一人一人のニーズに対応することで3階建てのビルが1日に消費する電力の75%をカット出来るといいます。

社員の一人は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「普通に働いているだけで環境に寄与出来るのは新しいワークスタイルではないかなと感じております。」

 

ただ削減出来るのは消費電力の75%、残りの25%は屋上の太陽光発電パネルと壁面に150ヵ所設置した太陽光発電フィルムによって電気を作り、賄うといいます。

2014年の運用開始から1年間継続したところ、外部からのエネルギー消費量0を達成しました。

先ほどの加藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今回の建物(ZEB実証棟)を作ったというのをきっかけに、どんどんトップランナーを走り続けて、業界をリードする立場で普及させていきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以下に番組の内容を要約してみました。

■省エネだけでも消費電力の75%を削減出来ること

■省エネには以下のような具体策があること

・用途によってオフィスエリアを区分けし、エアコンの効くエリアを制限すること

・LED照明に切り替えること
  ・自然採光システムを取り入れること

・室内に入った光が拡散して全体的に効率よく広がるように、オフィス内を白色で統一すること

・空調は個々のデスクに送風口を設置、センサーにより自動でオン・オフをすること

・パソコン上で好みの温度・風量に調節が出来ること

■残りの25%は太陽光発電によりカバー出来ること

 

実際には、場所によってオフィスビルに太陽光発電を設置するのは難しいところもあります。

しかし、省エネはどんなビルでも出来ることが分かりました。

ですから、消費電力を75%削減することは出来なくても50%くらいはその気になれば出来るのです。

勿論、一般住宅やマンション、あるいはオフィスビルの省エネ構造への改築にはそれ相応の資金が必要です。

しかし、メガソーラーや風力発電などと組み合わせることにより、“脱原発”ばかりでなく化石燃料に依存した火力発電もほとんど不要にすることは実現可能なのです。

そこまで省エネや再生可能エネルギーの関連技術は進化してきているのです。


 
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