2017年03月10日
アイデアよもやま話 No.3647 トランプ大統領に求められる世界最強の大国、アメリカの大統領としての自覚!

以前お伝えしたように、アメリカ主導で消費の新たなフロンティアを求めて金融の自由化、グローバル化を進めてきましたが、その弊害としてリーマンショックを招いてしまい、世界的に多大な経済的影響を与えてしまいました。

そして後遺症は今も尾を引いています。

ところが、リーマンショック後の再発防止策として当時の政権が金融規制強化を図ったにもかかわらず、アメリカのトランプ現大統領は経済成長、および雇用を最優先し、金融緩和政策を進めるといいます。

ですから、過去の失政の経験は生かされず、リーマンショック再来のリスクをまた高めてしまうのです。

要するに、トランプ政権は、小さな政府を目指し、規制緩和を目指しているのです。

ところが、市場の自由化は、アダム・スミスの唱えた“神の見えざる手”によるコントロール化された市場とは裏腹に、経済恐慌をもたらすリスクを常に抱えているのです。

ですから、リーマンショックで多大な影響を受けた日本は他の先進国と共同で、こうしたアメリカの金融規制緩和策に対してトランプ大統領に他国への影響も考慮した経済政策を打ち出すべきであるというメッセージを送る必要性があると思います。

 

また、3月2日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)によると、アメリカ通商代表部(USTR)は、3月1日トランプ政権の通商政策の年次報告書を議会に提出し、世界貿易機関(WTO)による貿易紛争解決手続きの決定に必ずしも従わない姿勢を明確にしました。

報告書では、「貿易政策の主権を守る」と明記し、国内法を優先するとしています。

また、主要貿易国に市場開放を迫るため、「新たな通商協定の締結に向け交渉する」と強調しました。

世界最大の経済大国であるアメリカがWTOの規則や判断を無視すれば、世界の貿易秩序に悪影響を及ぼす恐れもあります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで世界最強の大国であるアメリカは、その自覚のうえに立って、世界各国をリードして来ました。

しかし、今やアメリカは大国としてのゆとりがなくなってきており、しかも格差社会化が進み、富裕層と中間層・低所得者層との2極分化が進んでおります。

こうした状況下において、トランプ大統領は「アメリカ第一主義」を掲げ、アメリカを再びかつての偉大な国にしようと企んでいます。

しかし、問題は自国の利益中心で他国のことは考慮しないという考え方です。

要するに勝つか負けるかという勝負の世界でアメリカが勝ち抜いていくというのが基本的な姿勢のようです。

今後このような流れでアメリカと世界各国との経済交渉が進めば、まさに弱肉強食の世界に戻ってしまいます。

これでは歴史の後退、後戻りという他はありません。

 

ということで、トランプ大統領には世界最強の大国、アメリカの大統領としての自覚が求められているのです。

トランプ大統領は、不動産業で大成功を収めてきた経験があるのですから、本来ビジネス的な賢さを備えているはずです。

そこで思うのは、プロジェクト管理と日常生活 No.462 『カントの著作に見る戦争勃発のリスク対応策 その3 人間の悪が平和の条件!?』です。

トランプ大統領の持つ賢さがたとえずる賢さであっても、だからこそ平和が維持出来るとカントは唱えているのです。

ですから、トランプ大統領には、短期的な視点ではなく、長期的な視点に立ってアメリカの経済的な利益、あるいはアメリカ国民を戦争へと導かないための施策を考えていただきたいと思います。

そうすれば、自ずと今打ち出している政策とは違った政策に転換するはずです。

そのためには、世界的な経済学者や軍事専門家がトランプ大統領に理解出来るような表現方法でトランプ大統領に本来アメリカが進むべき道をしっかりと説くことが求められるのです。


 
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