世界終末時計については今までに何度か耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。
世界終末時計とは、核戦争などによる人類、あるいは地球の絶滅(終末)を午前0時になぞらえ、その終末までの残り時間を「零時まであと何分」というかたちで象徴的に示す時計です。
この世界終末時計はこれまで核兵器開発や戦争の危機を迎えるたびに世界的に注目の対象となってきました。
そうした中、1月27日(金)放送のニュース(NHK総合テレビ)で世界終末時計について取り上げていましたのでご紹介します。
アメリカの科学雑誌「Bulletin of the Atomic
Scientists : 直訳すれば「原子力科学者会報」」は1月26日、アメリカ・ワシントンで記者会見を開き、今年は世界終末時計の針を30秒進め、「残り2分半」にしたと発表しました。
科学雑誌は、その理由について以下のように述べています。
・核兵器の90%以上を持つアメリカとロシアがシリア情勢などを巡って対立
・北朝鮮により繰り返される核実験
・アメリカのトランプ新大統領が核兵器使用の可能性を排除しない考えであること
・アメリカのトランプ新大統領が地球温暖化対策に消極的な姿勢を明確にしていること
なお、世界終末時計はこれまで1953年にアメリカと旧ソビエトの水爆実験を受け、「残り2分」まで進められましたが、冷戦終結時には「残り17分」まで戻されました。
しかしその後、核兵器の削減が進まないなどから、一昨年からは「残り3分」となっていました。
科学雑誌は、今回更に針を進めた一方で、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と核兵器の削減に向けて協力していくことに期待を示しました。
この他にも他の報道記事によれば、トランプ政権誕生に伴い、新たに戦争勃発のリスクが発生しています。
国連は1947年に、エルサレムを国際管理地に指定し、特定の国に属さないことを決議しました。
そこで、各国の大使館もエルサレムには置かれていません。
ところが、トランプ大統領はそのエルサレムに現在テルアビブにあるアメリカ大使館を移転させるという選挙公約を掲げて当選しました。
そして、大統領就任後には早速公約を実現させるために検討に入ったといいます。
もし、この公約が実現すれば、エルサレムが紛争の火種になると多くの専門家が懸念を示しています。
更には、トランプ政権の“影の大統領”と言われる、最側近のスティーブン・バノンさんは、「我々は5〜10年以内に南シナ海で戦争するだろう」と昨年3月に放送の「ブライトバード・ニュース」で発言していました。
このように物騒な話がいくつも報道されてくると、誰しも平和な世の中が続くのか不安な思いが募ってきます。
そうした時に世界終末時計は、こうした状況を象徴する意味で単純に分かり易く表現してくれる存在、すなわち平和の程度、あるいは戦争勃発のリスクの“見える化”的な存在だと思います。
勿論、この世界終末時計は定量的なデータに基づくものではありません。
しかし、定性的であっても人類あるいは地球に影響を及ぼし得るいろいろが現象を見定めて時計というかたちで数値化して世界の終末の程度を表現するという手法はとても分かり易くて良いと思います。
ということで、世界各国の指導者には、世界終末時計の針はせいぜい「残り30分」以上の維持を継続して欲しいと思います。