2017年02月22日
アイデアよもやま話 No.3633 アディダスの全自動工場「スピードファクトリー」から見えてくる将来の工場!

こちらのネットニュース(昨年12月8日配信)でアディダスの全自動工場「スピードファクトリー」について取り上げていました。

そこで、この記事を通して将来の工場について考えてみたいと思います。

 

ドイツのバイエルン州に本社を置くスポーツ用品メーカーでグローバル企業であるアディダスがドイツ本社近くに建設した「スピードファクトリー」では、全ての製造工程をロボットが担当しています。

ロボットの導入によって人件費が高いドイツでも製造が可能になり、アジア地域で製造した商品を船便で輸送する必要がなくなりました。

そのため、1年半かかっていた製造プロセスが数週間にまで短縮し、さらに将来的には数日・数時間での製造を目指しています。

なお、スピードファクトリーを実現するコアの技術は、「ARAMIS(アラミス)」と呼ばれる3次元モデル技術です。

靴の素材や足の形に関する極めて詳細な情報をもとにして、靴にかかる圧力や変形の度合いなどを計算し、適切な靴のデザインを決定します。

この3次元モデルをもとに、スピードファクトリーのロボットが製造を担当します。

極めて細かい単位での設計が可能なので、同じモデルの大量生産にとどまらず、ユーザーごとのカスタマイズが容易になるのがメリットです。

低コストな大量生産の仕組みを維持しながら、ユーザーの要望に応じた個別生産を組み合わせる生産方式は、デジタル情報をやり取りして製造プロセスを高度化する、ドイツが産官学一体で推進する第4次産業革命「インダストリー4.0」の代表例の好例として注目が集まっています。

 

ちなみに、18世紀にあった蒸気機関による機械化が第1次産業革命「インダストリー1.0」、米フォードに代表される生産ラインでの大量生産が実現された20世紀の第2次産業革命「インダストリー2.0」に対し、20世紀後半からトヨタが推進したジャストインタイム生産は第3次産業革命「インダストリー3.0」と呼ばれます。

 

なお、2016年9月にはスピードファクトリーで製造された初の製品「Futurecraft(フューチャークラフト)」が発表されました。

2016年第4四半期では500足の製造に留まりますが、2017年からはより本格的な製造が計画されています。

 

アディダスでは2018年にはアメリカ、2020年には日本でもスピードファクトリーの建設が予定されており、消費地に近い拠点で全自動工場を導入する流れが進んでいます。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

そもそも今ファッションの流行の陳腐化が非常に速くなっているといいます。

ですから、海外工場で生産してから自国に輸送するよりも国内生産の方が本来いいわけです。

ところが、これまでは自国内よりも途上国での生産の方が低賃金で済むことから途上国に生産拠点を移転するというのが世界的な潮流でした。

そうした中で、アディダスによるドイツ国内での全自動工場の稼働は画期的といえます。

全自動工場であれば、人件費はほとんどかからず、生産から店頭に届けるまでのリードタイムもこれまでよりも大幅に短縮されます。

ですから、人件費には関係なく最適と思われる場所にどこでも全自動工場は建設することが出来るのです。

更に、「ARAMIS(アラミス)」と呼ばれる3次元モデル技術によりユーザーごとのカスタマイズまで可能にしているのです。

この技術によってユーザーの要求の多様化にも応えることが出来ます。

こうした高度化した製造プロセスを「インダストリー4.0」と言うそうですが、AI(人工知能)やロボット、IoT(モノのインターネット)の進化とともに製造業における全自動工場へのシフトの動きは今後加速化していくと見込まれます。

 

一方、こうした状況が進むにつれて、先進国においても途上国においても労働者は働く場が失われていきます。

勿論、AIなど新技術の分野においては人材の需要増は続きますが、それでも産業全体としては働く場は少なくなっていると見込まれます。

そうした時に思い浮かぶのは1日当たりの労働時間の短縮、および休日の増加です。

いずれ週休3日制、あるいは週休4日制が一般的になるのではないかと思います。

こうした制度を法的に施行していくことによって、これまで通りに多くの労働者が働く場を得ることが出来るのです。

是非、こうした流れに沿って「インダストリー4.0」が進んで欲しいです。

そうでなければ、増々格差社会が進んでしまいます。


 
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