2017年02月07日
アイデアよもやま話 No.3620 最新のアルバイト採用事情 その2 面接では分からない適性が分かる最新の診断テスト!

昨年11月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で最新のアルバイト採用事情について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、面接では分からない適性が分かる最新の診断テストについてです。

 

前回、いつでもどこでも素早く出来るスマホによる面接サービスについてお伝えしましたが、一方でもう一つの課題になっているのがアルバイト店員の“離職問題”です。

仕事内容への不満や職場との相性などが原因で企業側の大きな負担となっています。

 

この問題をある最新技術を導入することで解消を目指す会社が京都市にあります。

市内に7店舗構える自転車販売店、「きゅうべえ」では5万円以上するスポーツ自転車を主力商品としています。

二条店の松本 健一店長は、アルバイト店員の採用面接では応募者のある能力に注目しています。

松本店長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「昨今インターネットで情報を皆さん簡単にお調べになりますので、(自転車の)幅広い知識がないといけませんし、・・・」

 

しかし、1時間程度の面接でそうした能力を見極めるのは難しいといいます。

また、採用したアルバイト店員も販売の厳しさに直面し、すぐに辞めてしまうことがあったといいます。

昨年4月に採用された男性アルバイト店員は、ロードバイクで旅をするのが趣味で日本縦断をしたり、四国を一周した経験があります。

その知識や経験を生かしてお客に商品の説明をします。

そして、多い時には1日に高額の自転車を4台も売り上げるといいます。

松本店長が期待を寄せるこの男性アルバイト店員ですが、面接の時にはここまで成長するとは想像出来なかったといいます。

この店員は面接の時に非常に緊張していて、スムーズに会話をするのが難しい状態だったので、松本店長は採用に少し不安を感じたのです。

 

そこで力を発揮したのが、企業と求職者の相性を分析するシステム「mitsukari(ミツカリ)」です。

この分析結果で、以下のことが分かったのです。

・採用された男性アルバイト店員は、松本店長よりも外交的であること

・この店員と松本店長とのマッチング(相性)が評価されたこと

 

面接だけでは分からなかった個人の能力をシステムで分析し、採用に生かす、これが現在の男性アルバイト店員の活躍につながっているのです。

 

この「mitsukari」を運営するのが株式会社ミライセルフ(2015年に創立)です。

人事採用でうまくいかなかった経験からこのサービスを開発したといいます。

表 孝憲社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「面接で“すごくいい”と思った人が「合わない」という理由でいっぱい辞めて・・・」

「(どのように企業と求職者をマッチングさせているのかについて、)産業心理学に基づいて、人の特徴や価値観を良い悪いじゃなくてどっち側のタイプなんですかみたいなことを聞く・・・」

 

求職者は人との係わり方やリスクの捉え方などおそよ70問の質問に答えます。

このテストは採用側の社員も同じように行います。

そうすることで、企業はマッチングレベルを“A+”から“C−”で見ることが出来るのです。

表社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「合わない可能性があるポイントを先に潰しておくことで。」

「合わない会社に入るのはすごく不幸じゃないですか。」

 

面接の前に採用する会社と合わなそうな部分を先に把握出来ることが大きなポイントだといいます。

表社長はAI(人工知能)を使い更なるサービスの拡大を狙っており、次のようにおっしゃっています。

「働いた後にどれくらいのパフォーマンスでしたかとか、誰と(の相性が)合っていましたかという情報がどんどん出てくる。」

「それがどんどん蓄積されていくと、“こう答えた人はこの部に配属出来る”とかいうことを機械(AI)が教えてくれる。」

 

こうした動きについて、番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「HRテックという言葉があります。」

「人材マネジメントをAIなどのテクノロジーを使って最適化する、あるいは自動化する。」

「例えば採用の一次選考でグーグルが自社開発したAIを使っていたり、人事やポテンシャル評価をするAIを活用したサービスがあったり、それから組織の活性度を診断するような、これはビッグデータとAIを使ったサービスがあったり、いろんなものが既に市場に出ています。」

「AIに人事評価や職場替えを決められるのと人に決められるのとどっちがいいかという問いに対する答えは、組織の中での信頼感や組織の健全度の一つのリトマス試験紙じゃないのかなと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かに面接だけでは、面接担当者の主観や好みなどにより、どうしても採用基準多少のバラつきが出てしまいますが、今回ご紹介したような診断テストであれば、産業心理学に基づいていろいろな観点から客観的に求職者を採用すべきかどうかの判断材料を提供してくれます。

ですから、採用の最終決定は人が行うにしても、こうした診断テストの結果は大いに参考になるはずです。

 

また、特に大企業の場合、梅澤さんもおっしゃっているように既にこうした診断テストを導入されているところが多いと思います。

しまし、求職者と自社の組織風土との相性、あるいは人事異動やプロジェクト編成時のメンバー構成などを検討する際に、こうしたツールをうまく活用することにより組織力の向上につながると思います。

 

人は機械やロボットと違い感情の生き物ですから、組織風土や他の従業員との相性次第で大なり小なり労働生産性を左右されることを忘れてはならないのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています