2017年02月03日
アイデアよもやま話 No.3617 格差社会アメリカの実態 その5 世界一影響力のある国、アメリカ、そして日本の進むべき道とは!

今、世界各国で格差社会が進行し、世界的に問題視されています。

日本もその例外ではなく、非正規社員の割合の増加により格差社会が広がっています。

そうした中、昨年11月3日(水)放送の「BS世界のドキュメンタリー選」のテーマは「パーク・アベニュー 格差社会アメリカ」でした。(2012年11月30日放送の再放送)

そこで、ちょっと内容は古いですが、番組を通して格差社会アメリカの実態について5回にわたってご紹介します。

5回目は、世界一影響力のある国、アメリカ、そして日本の進むべき道についてです。

 

これまで格差社会アメリカの実態について以下のように4回にわたりご紹介してきました。

1回目 もはや“アメリカはチャンスの国”ではない!

2回目 アメリカは格差社会先進国!

3回目 今やアメリカの政治は富裕層にコントロールされている!

4回目 富裕層への富の集中による弊害!

 

こうした流れの中で今回のトランプ政権の誕生を見てみると、以下のような背景が浮き彫りになって来ます。

・アメリカ国民の半数近くが格差社会に対する強烈な不満を抱いている

・今回の大統領選では、二人の候補のどちらに対しても総体的にみて積極的な支持が得られていなかった

・その結果、トランプ候補は問題発言が多く、人格的にも大国アメリカの大統領として問題視されていたにもかかわらず、ポピュリズム(大衆迎合主義)を選挙戦でうまく利用したトランプ候補が接戦の末に勝利を手にした

 

私なりの解釈では、今回のトランプ大統領誕生は、アメリカの格差社会における持たざる人たちによる大統領選を通した“静かなる革命”(Silent Revolution)だと思います。

別な言い方をすれば、これまで富裕層によりコントロールされてきたアメリカの政治が持たざる人たちの意向を汲んだトランプ政権へと移行したのです。

ですから、もしトランプ政権が実際に政策を進める中で富裕層の立場を優先し、持たざる人たちの意向に背くようなことがあれば、裏切られた有権者によりそれこそ大変な事態に発展しかねないと思われます。

いずれにしても、世界的に格差社会化が進む中で、トランプ政権が具体的にどのような政策を遂行し、どのようか結果をもたらすかには世界的に注目が集まると思われます。

 

では、これからトランプ政権が本格的に動き出した時に、世界一影響力のある国、アメリカの進むべき道とはどのようなものなのでしょうか。

 

トランプ大統領には、まず経営者の延長線上で“勝ち”、“負け”にこだわらず、世界一の大国の大統領らしくひたすら“アメリカ第一主義”を掲げるのではなく“共存共栄”精神を持って取り組んでいただきたいと思います。

その上でビジネスマンらしく、従来の大統領にはない合理的な精神で政策運営をしていただきたいと思います。

また、特に中国との関係においては軍事衝突が起こらないように、過激な発言は控え、ポピュリズムに流されないようにしていただきたいと思います。

万一、米中間で戦争が勃発するようなことがあれば、日米安全保障条約を締結している日本も巻き込まれることは必定です。

そればかりか、第三次世界大戦まで拡大する恐れすら出てきます。

そのような事態になれば、地球温暖化問題も吹き飛ぶくらいに地球環境への悪影響も出てくるかもしれません。

そういう意味では、安倍総理にはこのような状況を回避するために万全の対応をお願いしたいと思います。

 

さて、アメリカのみならず先進国の多くが直面している経済的な課題として、以下の2つがあります。

・グローバル化による生産施設の海外移転に伴う国内の雇用機会の減少

・AIやロボットなどの技術革新によるオートメ化に伴う雇用機会の減少

 

ところがトランプ大統領は、先の大統領選の選挙期間中から“アメリカ第一主義”を掲げ、大統領就任演説ではグローバル化に背を向けて“アメリカの製品を買い、アメリカ人を雇用する”と唱えておりました。

歴史の針が逆戻りしてこうした保護主義が世界中に蔓延していけば、世界の経済規模は縮小し、貿易戦争、更には世界恐慌につながります。

その結果、世界的に社会不安が増大し、ちょっとしたきっかけで戦争勃発のリスクが高まってしまいます。

 

また、トランプ大統領がいくらアメリカ国内への生産シフトをメーカーに働きかけても、中長期的にみればAIやロボットなどの技術革新によるオートメ化が今後とも進むことは避けられません。

ですから、長期的にはオートメ化の進行を前提にした雇用拡大が求められるのです。

 

ということで、トランプ大統領が最重要課題としているアメリカ国内での雇用の拡大が一定の成果を上げることが出来れば、日本や中国など対外的な風当たりはそれほど強くならずに済むと期待出来ます。

 

こうしてみてくると、経済的な視点からの日本の進むべき道も自ずと見えてきます。

それは、以下の2つです。

・国内の雇用維持を図ったうえでのグローバル化の推進、および技術革新

・上記の成果の世界的な展開、および支援


 
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