2017年01月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.471 『電通社長の辞任表明を企業の働き方改革の起爆剤に!』

前回、プロジェクト管理と日常生活 No.470 『今人類に課せられている6つの課題!』で課題の一つとして豊かな暮らしの追求を挙げました。

ところが、とても残念なことに日本にはかつて滅私奉公という言葉がありましたが、今でも国のため、あるいは企業のためというように組織優先の考え方が少なからず残っているように思います。

それを象徴しているのが、以前、アイデアよもやま話 No.3527 広告大手の若手女子社員自殺報道に接して!で広告大手の電通に勤めていた高橋まつりさん(当時24歳)が2015年12月クリスマスの日に長時間労働を苦に投身自殺した事実です。

そして社員の過労自殺をめぐり労働基準法違反容疑で書類送検されたことを受け、遂に昨年12月28日に電通社長が辞任を表明したと報道されました。

 

今回、社員の過労自殺を契機に社長が引責辞任をしたという事実は、多くの企業の経営者にとってとても衝撃的だと思われます。

なぜならば、電通以外にも大なり小なり同じような労働環境の企業は少なからずあると思うからです。

 

一方で、ネットやフレックスタイムおよび在宅勤務の活用など様々な取り組みにより長時間労働に頼らずに業績を伸ばしている企業もあります。

今や労働環境の改善に結びつくテクノロジーはどんどん進歩しています。

また、今回の事件を契機に、国も長時間労働を阻止するような方向に動き出しています。

 

さて、セクハラやパワハラというような嫌がらせによる労働環境の悪化に関する報道も後を絶ちません。

そして、ブラック企業、あるいはブラックバイトという言葉が誕生したように、従業員やアルバイトの使い捨てもはびこっているようです。

長時間労働を苦にした自殺やセクハラやパワハラに苦しむ従業員、そしてブラック企業、あるいはブラックバイトという言葉にあるような企業が無くならない限り心豊かな暮らしの実現は適いません。

 

では、冒頭に掲げた豊かな暮らしの追求という国家的な課題の対応策としてどのような具体策があるでしょうか。

それは先ほどもお伝えしたように、様々なテクノロジーを駆使して労働環境を改善し成功を収めている企業のやり方の水平展開、およびこうした問題企業の取り組みに対するハードル、すなわち国や自治体による法的な制約、および違反行為に対する罰則規定の設定です。

 

日本はいろいろと問題は抱えていますが、いまだにGDP世界第3位という立場にあるのです。

また、日本の企業にはこれまでも数々の困難を乗り越えてきた実績があります。

ですから、政府が先ほどお伝えしたような問題も包括して心身ともに豊かな暮らしの追求を課題の第一に掲げ、多くの国民がそれに賛同して官民一体で取り組めば、これまでの実績と日本という国の持つ潜在能力からすれば実現の可能性は極めて高いと私は楽観視しています。

 

ということで、前途のある高橋まつりさんが若くして自ら絶たれた命を無駄にしないためにも電通社長の辞任表明を企業の働き方改革の起爆剤にしていただきたいと思います。


 
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