2016年11月24日
アイデアよもやま話 No.3554 あのウーバーが新たに”デリバリーサービス”を開始!

世界60ヵ国でスマホを使った配車サービスを展開しているウーバー(Uber)については、アイデアよもやま話 No.3382 ウーバーによるタクシー革命!などでこれまで何度かお伝えしてきました。

そうした中、9月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウーバーによる新たなデリバリーサービスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

ウーバーは9月28日に開催された新サービスの発表会で9月29日から日本で開始する“ウーバーイーツ(UberEATS)”というデリバリーサービスを発表しました。

料理を提供するのはこれまでデリバリーをしていないお店がほとんど、それを運ぶのは“ウーバーイーツ”に登録した一般人です。

自分の自転車やバイクで配達します。

ウーバーはお店と運ぶスタッフをマッチングし、手数料を取るシステムです。

スタッフには配達料が入ります。

そして、料理を提供するお店にもメリットがあるといいます。

ダル・マットグループの取締役、齊藤 誠さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「そこ(宅配)に対してのスタッフだったり自社でやる場合は難しい。」

「(このサービスで)いろいろな場面でうちの料理をご提供出来るという・・・」

 

このサービスを展開するウーバー、海外では一般のドライバーが自家用車にお客を乗せるライドシェアサービスを展開しています。

2014年に日本に進出しましたが、道路運送法に違反する可能性があるとしてごく一部の地域を除いては普及していません。

今回のデリバリーサービスについては、特に資格や免許も必要ありません。

更にこのシステムを使って新たなビジネスを展開しようともくろんでいます。

ウーバージャパンの社長、高橋 正巳さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「実は海外ではメッセンジャー便に近いような物のデリバリーサービスも開始してきておりまして、まだまだ弊社の需要と供給のマッチングのプラットフォームを生かすことで人だったり物だったりサービスだったり、いろんなものを今後も運んでいけるんじゃないかと期待しています。」

 

シェアリングサービスのウーバーは、自動車で人を運ぶのは日本の場合、まだまだ規制の問題もあるということでまずはデリバリーサービスを始めるということです。

番組コメンテーターで学習院大学の教授、伊藤 元重さんは、次のようにおっしゃっています。

「アマゾンはご存知のようにもの凄い勢いで伸びていって、物流が非常に厳しいんです、ネックでね。」

「そのアマゾンの物流にウーバーを使いましょうという試みがあるらしいんですよ。」

「どういうふうにやるかわかりませんけども、とにかくここからこういうものを動かしたいというニーズがいっぱいある時に、それに手を挙げる人いっぱいいますよね。」

「暇な人がちょっと日曜日にアルバイトやるとか、ひょっとしたら中小の物流業者で小さなトラック2つや3つ持っているところがどんどん入っていくと。」

「で、そういうふうに考えていくと、今日のは食事の販売だったんですけど、いろんなデリバリーがあって、特にアマゾンのようなどんどん伸びていくようなデリバリーのところっていうのはひょっとしたら今の既存の物流業者だけじゃなくてこういうかたちのいわゆるシェアリングはあり得るかもしれないですよね。」

「まあ、何でもいろんな資源を有効に使うって重要でね、シェアリングサービスでよく我々ウーバーとエアビーアンドビー(Airbnb)、部屋のシェアリングっていうんですけど、私は究極のシェアリングはスキルと人材だと思うんですよ。」

「いろんなスキルを持っている人いますでしょ。」

「それを登録しておいて短時間使う。」

「あるいは企業の方もその都度使っていくというんですか。」

「そういう意味ではウーバーのような?はまだいろんな広がりがあるかもしれませんね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

こうした動きをみると、あらためてインターネットという情報間のコミュニケーション・インフラの大変な威力を感じます。

考えてみれば、これまで繰り返しテクノロジーの進化とともに先駆的な企業により新しい商品やサービスが生まれてきました。

また、こうした先駆的な企業は既存の企業ではなく、異業種のベンチャー企業でした。

更に、こうした先駆的な企業は先入観がないことから柱となるテクノロジーを生かして対象とする商品やサービスの幅を拡大してきました。

例えば、アマゾンは当初は本やCDを販売対象としていましたが、今や日用品全般を扱っています。

同様に、ウーバーも当初は一般ドライバーを利用した配車サービスのみでしたが、そのシステムを生かして今や様々なデリバリーサービスの世界展開を進めようとしています。

そして、そのアマゾンとウーバーは物流における協業を進める動きがあるというのです。

 

こうしたシェアリングサービスの流れの行き着く先として以下のような状況がイメージ出来ます。

・一般人が容易に自分のスキルを生かせる仕事を見つけて働く機会を得ることが出来る

・商品の購入者やサービスを受けるユーザーは、これまでよりも低価格で購入したり、サービスを受けることが出来るようになる

・既存の販売業者や配送業者は一般人には出来ない特化したサービスを提供出来なければ、生き残ることが出来ない

 

こうした状況は、伊藤さんのおっしゃっているようにまさに“究極のシェアリングはスキルと人材”ということになります。

 

さて、こうして考えてくると、アマゾンやウーバーのサービスの本質は商品やサービスを望む消費者やユーザーとそうした商品やサービスの提供者、すなわち需要と供給とのマッチングであるということが見えてきました。

そして、シェアリングはそうした結果もたらされる成果の一つとして位置付けられるのです。


 
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