9月25日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)でAIの”人材争奪戦”激化について取り上げていたのでご紹介します。
自動車の自動運転技術や掃除するロボットなど幅広い分野への活用が広がっているAI(人工知能)ですが、今AIの開発を担う技術者の争奪戦が国際的に激しくなっています。
日本の企業の中には、学生など早い段階から人材を確保しようとする動きが始まっています。
AIを駆使した囲碁のコンピューター・ソフトと世界トップクラスの棋士との5番勝負、AIが4勝1敗と世界に衝撃を与えました。
開発したのはグーグルが約400億円で買収したベンチャー企業でした。
アメリカの大手IT企業は企業の買収で人材を丸ごと獲得する戦略を進めています。
ファイスブックやアップルはこの3年でベンチャー企業を次々と買収しました。
日本のトヨタ自動車もグーグルからロボット開発のトップを引き抜くなど人材の獲得競争が激しくなっています。
こうした中、日本のベンチャー企業では人材確保の取り組みが始まっています。
東京都港区にある、あるベンチャー企業、ファベルカンパニーでは検索サイトに含まれる膨大なデータをもとに消費者のニーズなどをAIを使って分析しています。
サービスの仕組みは、利用者が“立ち飲み”という言葉を検索した場合、AIは過去のデータから“新宿”という地名も一緒に検索され易いと分析します。
更に、“立ち飲み”、“新宿”を引いた人は“1人”というキーワードでも検索することが多いと分析し、サイトの運営会社にこうした情報を提供することでより効率的に利用者に選択肢を示すことが出来るといいます。
分析作業を担う技術者は現在10人ほどで、事業の拡大に合わせて社員を増やしたいと考えています。
しかし、大手や海外の企業と人材を奪い合う状況で慢性的な人手不足が続いていました。
そこで人材獲得のため、AIを専門にしたインターンシップを始めました。
期間は5日間、日給2万4000円を支払って企画の立案などを体験してもらいます。
今回は6人の学生が参加しましたが、学生の反応は上々だったようです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
これまで何度となく繰り返しお伝えしてきたように、今は21世紀技術革命といえるくらい、様々なテクノロジーが開花しようとしています。
例えば、AI、ロボット、IoT(Internet
Of Things)、ビッグデータ、再生医療などです。
また、こうしたテクノロジーは私たちの日々の暮らしを様々なかたちで便利にしてくれる可能性を秘めています。
ですから、当然多くの企業は規模の大小に係わらずこうしたテクノロジーを駆使した事業にシフトしていきます。
一方で、新しいテクノロジーの分野の人材は多くはありませんから、新しいテクノロジーの開花段階では特に人材不足が発生します。
こうした場合、大きく以下の3つの対策が考えられます。
・企業による自助努力
・大学による新たしいクノロジーの学科などへの取り込み
・政府による研究開発推進のための補助金などによる支援
しかし、大学や政府による対応体制が整うには時間がかかります。
ですから、今回ご紹介したような大手企業によるベンチャー企業の買収、あるいはベンチャー企業によるインターンシップは短期的な人材獲得手段としてはとても現実的だと思います。
なお、大掛かりに国の産業構造をあるべき方向へと転換していくためには、そもそもあるべき姿を国が国民に提示し、理解を得たうえで大学やその他の研究機関、あるいは企業に対して環境整備や補助金など様々な支援を計画的に実施していくことが長期的には求められるのです。