9月21日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本政府のエネルギー政策について取り上げていたのでご紹介します。
IEA(国際エネルギー機関)は東日本大震災後初めて日本のエネルギー政策を評価した報告書を報告しました。
原発の停止で化石燃料への依存度が大幅に高まった中、2030年度に政府が目標としている温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減するためには一部の原発の再稼働が重要だと提案しています。
更に、2050年までに温室効果ガスの排出量を1990年比で80%削減するためには再生可能エネルギーなど新たな技術が不可欠だと指摘しています。
こうした状況について、番組コメンテーターであるモルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。
「問題は、今存在している技術をどうやってインフラを整備して広げていくかっていうことですね。」
「応用ですね。」
「その点で、いろんな国が同じ問題ありますけども予算ですね。」
「例えば、今日IEAさんが出したレポートの中で、日本がエネルギーのR&D(研究開発)のために使っているお金はいくらかというと、0.3兆円です。」
「社会保障は130兆円ですよね。」
「なんで(エネルギー関連には)0.3兆円しか使ってないのかって当然思いますね、少ないですね。」
「日本は、天才、エネルギー・オタクがいっぱいいます。」
「たとえばNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)ってありますね。」
「素晴らしいことやっています。」
「だけど、もうちょっとペースアップしてもっと早く目標を達成出来るようにした方が国の一つの使命になれると思うので頑張っていただきたいなと思いますね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
フェルドマンさんも指摘されているように、日本のエネルギー政策に投じる予算はあまりにも少なすぎると思います。
確かに社会保障も大事ですが、地球温暖化が進めば、豪雨やスーパー台風などの発生頻度が増え、日本各地に被害をもたらします。
ですから、こうした被害を少しでも緩和するためには地球温暖化対策を早急に進める必要があるのです。
また、新エネルギー政策を進めることは新たな経済効果をもたらします。
更に、これまでにないような革新的な再生可能エネルギーを開発し、それを世界展開することによって地球規模での温室効果ガスの排出量の削減に大いに貢献することが出来るのです。
残念ながら、国家予算から見える日本政府のエネルギー政策の本気度はほとんど見えてきません。
更に、日本、インド両政府は11月11日に日印原子力協定を署名しました。
電力不足に悩み、日本の原発技術の導入を目指してきたインドにとってこの協定は悲願だということです。
しかし、日本国内では福島第一原発事故以来、原発再稼働に反対する国民の声の大きさに再稼働の動きはほとんど進んでおりません。
このような原発を海外に向けて展開しようとする政府の動きはあまりにも短期的な国益に沿った決断と言わざるを得ません。
IEAからは一部の原発の再稼働が重要だと提案されておりますが、是非、日本政府には“脱原発”、および再生可能エネルギーの活用という方針で国内、および海外へのエネルギー政策を進めていただきたいと思います。