2016年11月18日
アイデアよもやま話 No.3551 クチコミが地価上昇の原動力に!

9月20日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でクチコミが地価上昇の原動力になっている状況について取り上げていたのでご紹介します。

 

9月20日、国土交通省が発表した都道府県の基準地価の中に意外な傾向が見えてきました。

全国の商業地の上昇率TOP10の中で、5つの地域で外国人観光客の増加が地価を押し上げていることが分かりました。

中でも番組が特に注目したのは、地価上昇率で7位にランクインした京都市伏見区深草稲荷御前町89です。

昨年の8.6%から今年は26.2%へと急上昇しているのです。

 

この地下急上昇には以外な理由がありました。

京都伏見稲荷大社には多くの外国人観光客が連日のように訪れているといいます。

その多くは、世界最大の旅行クチコミサイト、トリップアドバイザーのクチコミを見て伏見稲荷大社に来たといいます。

伏見稲荷大社はこのサイトで外国人に人気のスポットで3年連続1位を獲得しているのです。

 

伏見稲荷大社ではクチコミの意見を参考にし、案内板やQRコードなど外国人に分かり易い観光地づくりをしているといいます。

伏見稲荷大社の努力もあって、商店街にもその恩恵が広がっています。

一昨年から商店街では案内所を兼ねた手荷物の預かり所を開いていて、外国人観光客がひっきりなしだといいます。

更に、この商店街で買い物をして、その感想をツイッターに載せてくれるので、それを見た人がまた来てくれるといいます。

この商店街のある精肉店では、地元のお客さんのために5年前に始めた串焼きがクチコミの評判で今では外国人客の方が多いといいます。

こうしたことから、地元の不動産業者によると物件が足りない状況だといいます。

ゲストハウスやレンタル着物店にしたりとか、観光地になったことで大きなメリットがあるといいます。

 

このように外国人観光客に人気の伏見稲荷大社ですが、トリップアドバイザーでのクチコミの数は1万2000件あり、そのうち英語が6300件、日本語が2100件というように日本人より外国人観光客の方が利用者数が多いのです。

 

一方、都内で外国人観光客に人気のエリアはどこかというと、トリップアドバイザーによればルイ・ヴィドンやシャネルなど高級ブランドが立ち並ぶ銀座2丁目なのですが、インバウンドに一番人気なのはこうしたブランドショップではなくて文房具専門店「伊東屋」だといいます。

トリップアドバイザーの代表取締役、牧野 友衛さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「文房具の専門店自体が海外では珍しいということもあって、紙や和紙などのセレクションが非常に多いところが人気だと思っています。」

 

日本ならではの豊富な品揃えが人気の秘密と言えそうです。

ちなみに、地価上昇率で10位にランクインした銀座2−6−7の今年の地価上昇率は25.0%といいます。

 

また、地価上昇率で6位にランクインした銀座6―8−3の今年の地価上昇率は27.1%といいます。

ここでの人気スポットはユニクロです。

牧野さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「商品が豊富であったりとか、こういったサイズまで揃えてあるとか具体的な機能面に関したクチコミがあります。」

 

クチコミの数が毎年2倍近く増えているという銀座ですが、このクチコミをどう活用していくべきかについて、牧野さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「人が多く集まれば、それだけ地価に影響するということはあるのではないかと考えます。」

「インバウンド視点から見た観光の快適さは直接旅行者さんに聞くのが一番早いと思いますね。」

「そういう意味で、せっかくこれだけ書いてくれている情報があるのであれば、それを集客に活用することはいいと思います。」

 

番組の最後に、番組コメンテーターであるモルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストのロバート・A・フェルドマンさんは、訪日客のクチコミ効果は観光分野以外の企業など視野が広がることがポイントだと指摘しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

国内外には既にいろいろなクチコミサイトがあるようです。

そして、こうしたクチコミサイトには既存の広告宣伝媒体と決定的に違うメリットがあります。

それは、多少交通の便の悪い地方でも世界的にとても珍しい絶景であったり、そこでしか買えなかったり、あるいはそこでしか体験出来なかったり、というような場所は、たとえ最初はたった一人の旅行者が来てくれただけだとしても、今やいろいろなサイトを通して口コミにより世界的にその情報が拡散され、やがて世界中から多くの旅行客をその場所に呼び込むことにつながるのです。

 

ということで“観光立国”を目指す日本としては、以下のような対策が考えられると思います。

・製造業はどんなモノであれ“オンリーワン”商品づくりを目指すこと

・各地方自治体、あるいは国はこうした企業に対して、資金や交通の便の改善など様々な支援をすること

・旅行業者、あるいは各地方自治体は個々の企業の持つ“オンリーワン”商品、あるいは絶景地を点から線、あるいは面として国内外旅行者向けに情報発信すること

・携帯電話やスマホ向けアプリ開発業者は、出来るだけ多くの国に対応する自動通訳や自動翻訳サービスを提供すること

・ドコモやソフトバンク、AUなどの通信事業者は、国内どこでも携帯電話やスマホが安心して使えるような環境を整備すること

・宿泊業者は日本文化のエッセンスを取り入れたサービスを目指すこと

・国は民泊サービスの環境整備を実施すること

 

なお、こうした対策は、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの時期に合わせた達成目標とすることがそれぞれの役割を持った人たちから“やる気”を引き出すことにとても貢献すると思います。


 
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