2016年10月27日
アイデアよもやま話 No.3532 驚くべき古の東洋医学 その4 平安時代の未病対策!

先々週、先週と各4回にわたってご紹介したマインドフルネス、および瞑想パワーでもお伝えしたように、私たちは日々の暮らしの中で知らず知らずのうちにいろいろなストレスを抱えながら過ごしています。

そうした中、9月21日(水)放送(5月11日放送の再放送)の「ハートネットTV」(NHKEテレ東京)で「心悩むあなたへ 古(いにしえ)の東洋医学からのヒント」をテーマに取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

4回目は、平安時代の未病対策についてです。

 

都内に住む作家で古典医学研究家でもある槙 佐知子さん(83歳)は、1000年ほど前の982年に編纂された、現存する日本最古の医学書、「医心方(いしんぼう)」をはじめ、数々の医学書を読み解いてきました。

 

今回は病気にならない身体をつくる未病対策についてです。

なお、未病とは病気の一歩手前、病気になる前の状態を意味しています。

ご自身の経験も踏まえて、槙さんが特にお勧めなのが「医心方」の「第二十七巻 養生編」です。

心の健康を保つための秘訣が記されています。

それは以下のような内容です。

番組では以下の?マークには同じ言葉が入るというクイズ形式で紹介しておりました。

?思?念?欲

?事?語?咲

?愁?楽?喜

?怒?好?悪

行此十二?

 

?にはどんな同じ漢字が入るかおわかりでしょうか。

答えは、「少」です。

欲は少なく、心配事も恋もほどほどにと唱えています。

槙さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「感情のコントロールですね。」

「すごく感情がうれしい時も度外れた喜び方とか、度外れた怒り方とか、激怒したり。」

「激怒すれば頭の血管が切れたりしますよね。」

「しゃべり過ぎても(体力を)消耗しちゃいますよね。」

「これをその通りに行っていると人生面白くないんですが、それくらいにコントロールし、自分にブレーキをかけることでちょうど良くなるっていうか程よくなる。」

「だから、禅に通じるっていうか宗教に通じますよね。」

「(働き過ぎについて、)体力の極限までやっちゃうでしょ、極限超えても。」

「だから、まだ出来るけれども今日はこの辺で止めておこうみたいなね。」

「明日があるんだからみたいな。」

「(脳科学的にもずっと働いたり勉強したりするよりも、休息を取りながらほどほどに集中してやっていく方が効率がいいのでは、という指摘に対して、)そうですね。」

「(槙さんの「医心方」に対する想いとか、徹夜をして、とかはこの養生編に反しているのではという指摘に対して、)私は不養生をやっていたんです。」

「「医心方」に恋しているっていう。」

「お医者さんが「あなたはいい人に出会いましたね」って言うんですよ。」

「「あなたの今のご主人は浮気しないでしょ」って。」

「「そうですね、漢字ばかりでこれほど堅い人はいません」って言ったんですよ。」

「千年間、操を守って私に(出会うのを)待っててくれてっていう。」

 

教えの中には少し違和感のある漢字もありました。

槙さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ここ(悪)がビックリするんですよ。」

「少しの悪なら許すみたいな。」

「方便という言葉をお釈迦さまも言ってらっしゃるでしょ。」

「それ的な厳密な犯罪じゃなくって、少しぐらい嘘を言うことがその人のためになることもありますからね。」

「全部洗いざらい本当のことを言っているということでもない。」

「(良い)塩梅ですよね。」

「躁のタイプの人と静の(タイプの)人とあって、その生まれながらの性質を変えてしまってはいけないと。」

「変えてしまうのは、無理に変えることはいけないことで、それはそれなりにコントロールしていくようにっていうことが「医心方」には出ているんです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

未病対策として、何事もほどほどにという基本的な考え方は感情のコントロールにつながり、今でも十分に通用します。

そうした中の一つとして、“嘘も方便”と言われるように少しの悪なら許すという考え方は心の持ち方としてとても柔軟性を感じます。

また、人それぞれの生まれながらの性質を変えてしまってはいけないという考え方はNo.49 金子みすゞの詩のご紹介 その3 『私と小鳥と鈴と』でもご紹介した“みんな違ってみんないい”という気持ちに通じると思います。

 

ただ、槙さんの解説の中で一つだけひっかかるところがあります。

それは、「まだ出来るけれども今日はこの辺で止めておこう、明日があるんだから」という箇所です。

仕事でも勉強でも非常に気持ちが集中してとてもはかどる場合があります。

こうした場合、時にはそうした勢いに任せて徹夜するくらいのことがあってもいいと思うのです。

まさに柔軟な対応です。

槙さんは、自分は不養生をしていたとおっしゃっていますが、柔軟な対応の一環として考え、時には不養生をされていたのではないかと思われます。

 

では、どのようにして感情のコントロールをするかですが、その一つがアイデアよもやま話 No.3530 驚くべき古の東洋医学 その2 ストレスとの向き合い方!でもご紹介した呼吸法、あるいは先々週、先週にわたってご紹介したマインドフルネスや瞑想なのです。


 
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