まず、関連記事から以下に紹介します。
広告大手の電通に勤めていた高橋まつりさん(当時24歳)が昨年12月クリスマスの日に過労を苦に投身自殺しました。
自殺の原因は、直前に残業時間が大幅に増えたのが原因だといいます。
遺族の弁護士側が、高橋さんの入退館記録を元に集計した残業は、10月が130時間、11月が99時間となっており、休日や深夜の勤務も連続していたといいます。
また、高橋さんは直前の2ヵ月、友人や母親らにLINEやツイッターなどで「過労」をうかがわせる50通以上のメッセージを発信していたといいます。
そして、高橋さんのメッセージからは、上司から「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するな」「女子力がない」と言われるなどのパワハラをうかがわせる内容もあったといいます。
弁護士側は、電通の過労体質を指摘した上で、第4代吉田秀雄社長の遺訓とされる「鬼十則」を明らかにしました。
なお、電通に受け継がれる「鬼十則」は電通の社員手帳に掲げられているといいます。
以上、関連報道記事からご紹介してきました。
「鬼十則」については、私もNo.322 電通『鬼十則』のご紹介!で以前ご紹介したことがあります。
報道記事から察すると、届けられていた残業時間以外にも自宅での仕事がかなりあったように想像されます。
確かに、広告業界のようなクリエイティブな職業では、特に経験の浅い若手社員の場合、何時間働けば一定の成果が出せるというような読みをするのが単純労働と違って難しいと思います。
こうした業界では、非常に才能のある人は短時間で素晴らしい成果を出すことが出来る一方で、そうでない人は何時間かけても周りから評価される結果を出すことが難しいところがあるのです。
私もある外資系IT企業に入社して2年目くらいの頃、あるプロジェクトに配属され、何ヵ月にもわたってかなりの残業を続けたことがありました。
しかし、それほど苦にはなりませんでした。
今にして思えば、それには以下のような理由がありました。
・私が仕事の内容にとても興味を持っており、やりがいを感じていたこと
・チームワークがよく、お互いに助け合っていたこと
・誰でも自由に意見を言い合える環境であったこと
・所属長がプロジェクトの困難さを理解し、様々な面で支援してくれたこと
当時を振り返ってみて、所属長、プロジェクト・リーダー、そして先輩のメンバーにとても恵まれていたと思います。
もし経験の浅い私が全く興味の湧かない仕事に就かされて、周りの先輩からほとんど支援してもらえず、しかも上司からも声をかけてもらえないような状況であったらば、と思うとゾッとしてしまいます。
恐らく相当なストレスを抱えてしまい、途中でギブアップしていたかも知れません。
報道記事からは、高橋さんはまさにこれに近い過酷な状況に置かれていたのではないかと察します。
確かに、「鬼十則」はクリエイティブな業務に就くような人たちにとってはバイブル的な存在だと思います。
しかし、一方でこうした人たちの中にはストレスの重圧に悩まされる人たちも必ず出てきます。
ですから、経営者の方々にはアクセルとブレーキのように、社員を鼓舞する一方でセイフティネットの充実を図っていただきたいと思います。
働く人たちを取り巻く環境は、現状ではブラック企業という言葉があるように健全な経営の企業ばかりではありません。
そして、こうした環境はすぐに改善されることは期待出来ません。
そこで、経験の浅い若い人たちに特にお勧めしたいキーワードが2つあります。
一つは、先週、今週とご紹介してきたこころのエクササイズとも言われているマインドフルネス、あるいは瞑想パワー、もう一つはアイデアよもやま話 No.2902 大きな注目の集まる”レジリエンス”!でもご紹介したレジリエンス、すなわち逆境から立ち直る力、あるいは回復力です。
若い人たちには、個人でも容易に取り組めるこうした精神力や思考力の強化を図って社会の荒波を乗り切って自分の目指すことに邁進して欲しいと願います。