先週、4回にわたって新しい瞑想法、マインドフルネス(日本語では“気付き”)についてご紹介してきました。
そうした中、9月28日(水)放送の「ガッテン!」(NHK総合テレビ)でも「ボケない!
脳が若返る“めい想パワー”SP」と題して、私たちの脳に秘められた知られざる力について取り上げていました。
そこで、先週ご紹介した4回と一部ダブった内容になりますが4回にわたってご紹介します。
3回目は、瞑想の原理を生かした脳のトレーニングについてです。
オーストラリアのニューロフィードバック専門クリニックでは、瞑想の原理が生かされています。
自閉症の9歳の男の子はうまく脳を休めることが出来ず、一つのことになかなか集中出来ません。
ところが、脳波を利用した脳の特別なトレーニングを続けたところ、よい脳波が出せるようになりました。
この男の子の母親は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「息子は(トレーニング前には)字を書くことも出来ませんでした。」
「今はとても上手に書くことが出来ます。」
「他の人と話すことが出来るようになって、とっても進歩したと思います。」
実は、こうした方法はアメリカやオーストラリアなどでは一般的に行われています。
臨床・法医心理学者のモッシュ・パール博士は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「不安神経症や様々なタイプの頭痛、脳のケガ、慢性的な痛みなどを抱えた患者さんがいらっしゃいます。」
「これでも私たちが治療出来るほんの一例なんですよ。」
日本でも研究は進められています。
東邦大学医学部心理学研究室の田崎
美弥子教授は、瞑想のように脳をトレーニングすることで高齢者の認知力を改善させようという研究を進めています。
このトレーニングを受けた88歳の女性は、わずか1週間で認知機能が大きく向上し、表情もとても豊かになりました。
赤坂クリニック理事長の貝谷
久宣博士は瞑想の方法や効果に詳しい精神科医で、うつや不安など様々な心の病への治療に瞑想を取り入れて成果を上げています。
貝谷さんは、認知症やストレス、不安、うつ、物忘れ、慢性病は全て心身相関とおっしゃっています。
それは、先週4回にわたってご紹介したマインドフルネスです。
1980年代にアメリカの研究者が開発し、欧米では認知療法として医療の現場で実践されています。
貝谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「慢性疼痛とか不安症、うつというような人たちを集めて8週間瞑想(マインドフルネス)を毎日していただくということで、大変素晴らしい効果があったんですね。」
「我々は1日に18万7000項目のことを考えていると言われています。」
「その内容はほとんど過去の後悔とか将来の不安というものが大部分なんですね。」
「ですから、脳が疲れ果ててしまっている、疲労してしまっているということなんです。」
「(考えないということは結構)難しいことなんですね。」
「それをマインドフルネスという、日本の座禅が元になっているんですが、それから始まった、アメリカ流にマニュアル化した方法なんでございます。」
さて、マインドフルネスの具体的なやり方について、貝谷さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。
「一番大切なのはまず姿勢です。」
「姿勢をしっかりする、それには真っすぐ背筋を伸ばすこと、そして足の裏がしっかりと床に着く。」
「そして、目はつむる、もしくは半眼、薄目ですね、口をつむって舌は上の歯茎の内側のところにつける。」
「そして、手はだらっとしてもいいですし、組んでもいいし、簡単に置くだけでもいいです。」
「そして、背筋はピンと伸びていますが、その他の筋肉は完全にリラックス。」
「まず肩を上げてポンと下ろしてみて下さい。」
「そして、あごをひくと。」
「これで姿勢が出来ました。」
「そしたら静かに鼻だけで呼吸をします。」
さて、神奈川県のとある老人ホームで暮らしている女性(93歳)が今一番心配なのが認知症だといいます。
そこで、この女性にも瞑想を試してもらいました。
すると、4日目には認知力テストの点数が1割もアップしました。
この結果に、この女性は次のように感想をおっしゃっています。
「瞑想はいいなと本当に思った。」
「何かいろいろすぐに覚えられそうで。」
それから瞑想を続けて1ヵ月後には次のようにおっしゃっています。
「すごく瞑想をするようになってから悩みがなくなって、明るくなったって言われる。」
「自分でもスッキリした感じ。」
「いつも瞑想している、習慣みたいにね。」
「瞑想して良かったなと思います、本当に、感謝しています。」
「瞑想ってみんなに勧めたいと思う。」
とても活発になり、スタッフとの触れ合いも多くなりました。
最近は塗り絵にはまっているそうです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、瞑想の原理を生かした脳のトレーニングは、年齢に関係なく、また健常者と障害者との区別もなく、誰もがいつでもどこでも簡単に出来る脳の健康法、あるいは治療法であるということが分かりました。
私は、高齢者用の介護施設に所用で何度か行ったことがありますが、そこで見かけた方々の多くは総じて元気がなく暗い表情でした。
ですから、こうした施設での瞑想の導入を是非お勧めしたいと思います。
そして、是非多くのこうした高齢者の方々に少しでも楽しい時間を過ごしていただきたいと思います。
大切なのは、単なる寿命ではなくて心身の“健康寿命”なのです。