2016年10月18日
アイデアよもやま話 No.3524 脳が若返る瞑想パワー その2 瞑想によって起きる脳の変化!

先週、4回にわたって新しい瞑想法、マインドフルネス(日本語では“気付き”)についてご紹介してきました。

そうした中、9月28日(水)放送の「ガッテン!」(NHK総合テレビ)でも「ボケない! 脳が若返る“めい想パワー”SP」と題して、私たちの脳に秘められた知られざる力について取り上げていました。

そこで、先週ご紹介した4回と一部ダブった内容になりますが4回にわたってご紹介します。

2回目は、瞑想によって起きる脳の変化についてです。

 

1回目では、呼吸に意識を向けることによってもたらされる脳に秘められた知られざる力についてご紹介しました。

では、呼吸に意識を向けると具体的に脳にどのような変化が起きるのでしょうか。

番組では、本場ラダック直伝の瞑想法を東京都近郊在住の70代の仲良しグループ男女6人に試してもらいました。

なお、日頃、こちらの皆さんは物忘れを気にされております。

瞑想が初めての皆さんに瞑想を10日間続けてやってもらい、記憶力や注意力、計画力などを測る認知力テストを600点満点で評価した結果、瞑想の前後で6人中5人の点数がアップしました。

 

今、科学の世界では瞑想の効果が解き明かされつつあります。

ハーバード大学の論文によれば、8週間にわたって毎日およそ20分瞑想をした結果、海馬が5%増え、他にも小脳や脳幹なども増えたといいます。

私たちの脳の中で一番大切な役割を果たしているのは、前頭前野です。

考えたり判断したりするこの前頭前野が一番頼りにしているのが海馬です。

海馬は、前頭前野など脳の各部と連携している、言わば記憶の本棚なのです。

海馬は、年齢やストレスなどで萎んでしまうのですが、瞑想により増えるというのです。

 

では、なぜ瞑想すると海馬が元気になるのでしょうか。

瞑想の時、脳の中で何が起きているのか、番組では脳と情報処理の専門家で東海大学情報理工学部の高雄 元晴教授に分析を依頼しました。

脳の中を調べさせてもらうのは、都内でヨガ教室を営む成瀬 雅春さん(70歳)です。

なお、成瀬さんは毎年ヒマラヤに赴いて修行を続けている、言わば瞑想の達人です。

成瀬さんは、瞑想の極意について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「勘違いされやすいのは、瞑想というとぼーとしたり、気持ちよくなってフワーとしたり思われがちなんですけど、実は瞑想が深くなるとどんどん(頭が)クリアになる、ハッキリしてくるんですよ。」

 

瞑想に入る前に、血液検査やストレスなど様々なチェックを行いました。

そして、いよいよ瞑想開始、測るのは脳波です。

気になる分析の結果ですが、高雄さんは次のようにおっしゃっています。

「成瀬さんの脳波では、頭の前(フロンタール)から出てくるシータ波を沢山記録することが出来ました。」

「シータ波は通常浅い睡眠を取っている時に見られるものです。」

 

シータ波とは脳波の一つです。

脳波とは、脳細胞が活動すると出る電気信号を捉えたもので、例えば脳がリラックスしている時はアルファ波が、活動的な時はベータ波が出てきます。

そして、問題のシータ波は先ほどご紹介したように眠っている時に出る脳波です。

でも、ただ眠っている時ではありません。

ある特別な瞬間に特に強く出てくるのです。

 

横浜市内の睡眠専門クリニックで、番組の男性スタッフが被験者となって眠っている時の脳波を測定してもらいました。

眠ってから4時間後、遂にシータ波が出てきたその時、被験者を起こしました。

すると、被験者が夢を見ている時であることが分かりました。

要するに、一般的にシータ波は人が夢を見る時に多く出るのです。

ところが、成瀬さんは瞑想中にシータ波を出していたのです。

 

実は、夜中に寝ている時は前頭前野が寝ている時なのです。

すると、この睡眠時に海馬は今日の記憶の整理をして嫌なことは忘れるなど取捨選択し、この作業が私たちに夢を見させているという説があります。

そして、海馬やその周辺が活動している時、頭の前からシータ波が出ていると考えられているのです。

 

ということは、ブッダの歴史から言われている瞑想、すなわち普段意識していない呼吸をすると前頭前野が起きていながら意識は呼吸に気を取られて海馬などを休ませているのです。

そうしているうちに海馬の活動が活発になり、脳の機能を高めるというのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

瞑想、すなわち普段意識していない呼吸をすることによって、海馬が元気になったり、5%増えたり、他にも小脳や脳幹なども増えて脳の機能を高めるという事実には驚きです。

更に、瞑想によって人が夢を見ている時に多く出るシータ波が頭の前から出るという事実、その理由が前頭前野が起きていながら意識は呼吸に気を取られて海馬の活動を活発にさせるという人体のメカニズムはとても興味深く思います。

 

考えてみれば、人体といえども精密で有機的な巨大システムと言えます。

そして、この巨大なシステムも長い年月の研究とともにどんどん解明されていきます。

その解明とともに、画期的な健康法や医療方法が発見されると期待出来ます。

ちなみに、今回ご紹介したシータ波についても持ち運びの出来る簡易的な測定装置があれば、より効果的な瞑想に短期間でたどり着くことが出来るようになるはずです。


 
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