2016年10月12日
アイデアよもやま話 No.3519 新・瞑想法“マインドフルネス” その3 マインドフルネスで脳の構造まで変わる!

8月21日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で新・瞑想法“マインドフルネス”をテーマに取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

3回目は、脳の構造まで変わるマインドフルネスについてです。

 

前回、マインドフルネスで脳の活動が変わるとお伝えしましたが、それだけではありません。

なんと脳の構造まで変わってしまうのです。

マインドフルネスの世界的な研究者、ハーバード大学のサラ・ラザー准教授は、1日45分のマインドフルネスを8週間行った人の脳がどう変わるかを調べました。

脳の海馬の一部、灰白質と呼ばれる部分の大きさの変化を比較すると、マインドフルネスをした人は大きくなったことが分かります。

ラザーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「マインドフルネスでおよそ5%という大きな変化が見られました。」

「これは新しい能力を身に付ける時の脳の変化に匹敵するものです。」

 

海馬は、記憶や感情のコントロールに係わる部分です。

ストレスを受けると損傷し、うつ病などにつながる可能性が指摘されています。

研究では、この海馬の一部が増えていることが確認されました。

マインドフルネスによってストレスにむしばまれた海馬が回復する可能性が見えてきたのです。

更に、不安や恐怖といったストレスに反応する偏桃体という部分は5%減少していました。

このことで、ストレスに対しての過剰な反応が抑えられるとラザーさんは考えています。

ラザーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「マインドフルネスで脳は本当に変わります。」

「そして、確かにストレスを減らすことが出来るのです。」

 

また、マインドフルネスの専門家で、早稲田大学人間科学学術院教授の熊野 宏昭さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「海馬とか偏桃体という部分はストレスと深く係わっているんですけども、例えばうつ病の患者さんの脳では海馬の働きがかなり落ちていて、偏桃体の働きが高まり過ぎていることが知られているんですが、ラザー先生のデータによると、その逆の変化が起こっているわけですね。」

「海馬が容積を増やして元気になり、働き過ぎていた偏桃体が活動を落としてあまり働かなくても済んでいる、その構造の変化まで起こっているのは驚きですね。」

「(中高年になっても脳の変化は起きるのかという問いに対して、)昔は脳は生まれた時からそんなに変わらないっていうふうに考えられていたんですが、脳は使うことによって変わっていくことが2004年に最初に報告されました。」

「このように脳が変わることを“脳の可塑性”というんですね。」

「それが最近は年齢がかなり上になった人でも起こるということが分かってきたというのが事実ですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

マインドフルネスによって、ストレスにむしばまれた記憶や感情のコントロールに係わる海馬が回復したり、不安や恐怖といったストレスに反応する偏桃体が減少したりするといった研究成果には驚きです。

更には、何歳になってもマインドフルネスによってこうした脳の変化が得られるという事実には救われます。

高齢者用介護施設などでもマインドフルネスを取り入れることによって健康寿命を伸ばす取り組みをされたらいいと思います。


 
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