8月9日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で拡大する雑誌の定額読み放題サービスについて取り上げていたのでご紹介します。
最近、雑誌の定額読み放題サービスを利用する人が増えているといいます。
読める雑誌の数は各社によって違いはありますが、概ね100〜200誌といいます。
その業界トップを走っているのが「dマガジン」(NTTドコモで提供)です。
2014年からサービスを開始しており、会員数306万人、利用料月額400円(税別)、読める雑誌の数は160誌以上といいます。
ちなみに、同様のサービスには以下のようなものがあります。
・「Kindleunlimited」(アマゾン)
・「ブックパス」(KDDI)
・「ブック放題」(ソフトバンク)
しかし、圧倒的に存在感を増しているのが「dマガジン」です。
そうした中、この「dマガジン」に対抗するように、楽天が8月9日から「RAKUTEN MAGAZIN」のサービスを開始しました。
こちらは月額380円(税別)で読める雑誌の数は約200誌といいます。
楽天では、雑誌の中で様々な楽天サービスにつなげられるような付加価値を提供していきたいとしています。
今後、雑誌を通じて楽天市場のショップに誘導する新たなビジネスモデルを導入したのです。
これに対して、「dマガジン」では「dマガジン」ならではのサービスを磨き上げることで競争優位で高められるとしています。
さて、出版業界もこうした市場の広がりを期待しています。
定額読み放題では、読者の数や閲覧したページ数に応じて出版社に月額の一部が入る仕組みになっています。
その割合は契約ごとに異なるといいます。
では、気になる現状の紙媒体への影響ですが、「ハースト婦人画報社」の松延 秀夫さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。
「(紙媒体と読み放題は)どっちがいいかという問題ではなくて、閲読スタイルが違うんじゃないのかなというふうに考えています。」
出版業界を巻き込んだ新たなビジネスモデル、競争は激化しそうです。
さて、番組コメンテーターで日経ビジネス編集長の飯田 展久さんは次のようにコメントされております。
「現実を言えば、2015年の雑誌販売額は2014年に比べて8.4%も減っているんですね。」
「全国の書店も減っているわけです。」
「そうすると、雑誌に触れる機会がないわけですね。」
「ですから、電子の中で有料で立ち読みしてもらういい機会と前向きに考えられることも出来るんじゃないでしょうか。」
「同じように100〜200誌読めるといっても、一人の人がそんな何百誌も読まないですよね。」
「ですから、その人に合わせた雑誌をセレクトしてくれるとか、そういう価格じゃなくて価値を提供出来るようなサービスがユーザーが求めるものになっていくようになるんじゃないでしょうかね。」
「逆にそうしないと、価格競争に陥って淘汰されてしまうということになると思います。」
「価格競争は良くないですね、サービスの低下にもつながります。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
考えてみれば、音楽や動画などは従来のCDやDVDの時代からネット配信が主流になってきています。
そして、こうしたプロバイダーは関連商品の購買意欲をかき立てようとネット上で様々な情報をユーザーに提供します。
実は時として、こうした情報は従来の実店舗では手に入れにくい、ユーザーにとってとてもありがたい情報なのです。
こうした流れが雑誌の世界でも定額読み放題サービスとして普及しつつあるわけです。
しかも、ネット経由のサービスでは、わざわざ実店舗に出かけなくてもどこでも居ながらにしてタブレットやスマホなどのネット端末さえあれば欲しい時にすぐに読んだり聴いたりすることが出来ます。
更には、今の子どもたちは3、4歳くらいですぐにネット端末の基本操作になじんでしまいます。
こうした背景からすると、長い目で見れば“見るもの”、“聞くもの”あらゆる情報はネット経由で取得出来ることを前提にしたサービスが主流となることは間違いなさそうです。
そして、単なる価格競争ではなく、AI(人工知能)を駆使してユーザーが潜在的に欲しいよりきめ細かな情報の提供における競争がこうしたサービス業界での主戦場になると思われます。
また、こうした物理的な媒体からクラウド上の媒体への情報の移行は、省エネ効果も大いに期待出来そうです。