8月9日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で便利な電話1本での往診について取り上げていたのでご紹介します。
今、電話1本で医師が家に来てくれるという新たなサービスが始まっています。
東京・世田谷区内のあるアパート、部屋には二人の男性がおります。
彼らは救命救急を専門とする医師、名倉 義人さんと整形外科を専門とする医師、菊池 亮さんです。
このお二人は「みなとホームクリニック」を設立し、夜間往診サービス「ファストドクター」という全国初の医療サービスを立ち上げたのです。
夜間、急に病気になった場合、診察から薬の処方までを家に居ながら受けられるというものです。
ちなみに、最終受付は24時といいます。
その仕組みは、まず患者がコールセンターに電話、そこから医師に連絡され、医師が往診に駆けつけるというプロセスで、必要な場合は提携している薬局が薬を宅配します。
往診の際には、聴診器や注射器、更に10種類の薬などを常備しています。
サービス料は東京23区の場合、原則として中学3年生までは医療費が無料のため交通費1400円のみ、高校生以上の場合は診察料の保険適用3割負担に交通費1400円を加えたものです。
今、救急車の出動件数が年々増えていて昨年は約600万件と過去最高を記録しています。(総務省調べ)
また、出動コストは1台4万円以上かかるため、地方の財政を圧迫しています。
新しいサービスはこうしたコストの削減になるのではないかと期待されています。
しかし、菊池さんたちには課題もあります。
現在、医師は5人しかいないため、依頼が重なると往診を断ることもあるといいます。
菊池さんは今後このサービスに協力してくれる医師の数を増やし、東京都全域でサービスを展開していきたいといいます。
菊池さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「往診の文化を根付かせることが出来れば、軽症な患者さんは往診を選んでくれるようになると思うんですね。」
「そうすると、軽い症状の患者さんは一次救急(医療)に、重い症状の患者さんは二次、三次救急(医療)というように本来の健全な流れが出来るというようになってくると思うんです。」
今、救急車を使う件数が増えてきていますが、東京の場合その出動の約半数以上は軽症の患者さんといいます。
ただし、救急車の行先は中度、もしくは重症患者用の大病院ということで、救急車が足りなくなるだけでなく、大病院もパンク状態になってしまう状況をもたらしています。
ですから、今回ご紹介したような往診システムが根付いて軽症の患者に対応出来るようになるというのが理想だといいます。
患者側にとってもこうしたニーズはあるといいます。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
かつては、各家庭にかかりつけのお医者さんがいて、風邪をひいた場合など電話1本で往診に駆けつけてくれるというのが当たり前でした。
でもいつの頃からかこうした往診はなくなってしまいました。
ですから、今回ご紹介した事例はかつての往診の仕組みの復活とも言えます。
今では、大病院では診察を待つ患者さんで溢れかえっている光景が日常茶飯事のようです。
そして、その多くは高齢の方々です。
一方で、救急車の出動件数は年増えており、そのコストも1台4万円以上と無視出来ません。
また、救急車の行先は全て大病院ということで、救急車が足りなくなるだけでなく、大病院もパンク状態になってしまう状況は本来の重症患者への緊急治療の観点からも良くありません。
こうした観点からすると、今回ご紹介した夜間往診サービス「ファストドクター」のような取り組みの全国展開について、厚生労働省でも真剣に検討してみてもいいのではないかと思います。
あるいは、こうした検討を待っている間に、どこかのベンチャー企業がこうした要求に応える新たなビジネスモデルを短期間のうちに世界展開してしまうかもしれません。
こうしたビジネスこそ、まさに前回ご紹介したソーシャルビジネスの典型例だと思うのです。