これまで何度となく様々な発電方式についてご紹介してきました。
そうした中、7月14日(木)付け読売新聞の夕刊記事で環境発電について取り上げていたのでご紹介します。
自動車の振動やコンピューターの熱など、利用されていない微弱なエネルギーから電気を取り出す「環境発電」の研究が盛んになっています。
電源や電池交換が不要なデジタル装置が実現すれば、あらゆる機器をインターネットにつなげデータを活用するIoT(Internet Of things)の導入に弾みがつきます。
手の中に納まる小さなスイッチを押すと、約100個のLEDが一斉に光りますが電池は見当たりません。
鉄とガリウムの合金、コイル、磁石などでできたスイッチそのものが電気を起こしているのです。
開発したのは、金沢大学の上野 敏幸准教授(43歳)です。
周囲の磁界が変化すると磁性を持つ金属がわずかに伸び縮みする「磁歪」という現象を応用したのです。
スイッチを押す力で合金が縮むと、逆に磁界の方が変化し、電磁誘導の原理でコイルに電流が流れるのです。
長さ16ミリ、幅6ミリの合金で約0.1ワットの電力を瞬間的に生み出せるのです。
家電のリモコンや自動車のセンサーなどに応用でき、企業と協力して3年以内の実用化を目指すといいます。
記事ではこの他に廃熱を使った発電に使える、異なる金属や半導体を張り合わせ、その間に温度差があると電気が流れる「熱電子交換素子」についても取り上げていました。
このように、私たちの身の回りには、振動、光、音、電波、体液(糖分など)、熱などのエネルギー源があります。
こうした環境発電の歴史は古く、電波をエネルギー源にして音を出す「鉱石ラジオ」はその先駆けといいます。
また、太陽光発電を利用した電卓や腕時計は既に普及しています。
こうした環境発電の普及の背景には、電子部品の消費電力が下がり、わずかな電力でも応用出来る可能性が広がったことがあるといいます。
以上記事の内容をご紹介してきましたが、冒頭でもお伝えしたように、これから本格的なIoTの時代を迎えます。
それに伴い、従来のリモコンなどに加えて多くの機器で電力が消費されるようになります。
ですから、それぞれの機器の消費電力を出来るだけ抑えること、およびそれぞれの機器の消費電力に見合った出力の電源や電池不要の環境発電の両方の必要性がどんどん高まっていくことが見込まれます。