8月20日(土)放送の「王様のブランチ」(TBSテレビ)でワクワクするような大空への最新チャレンジについて取り上げていたので3回にわたってご紹介します。
1回目は、ナウシカのメーヴェが実現されたことについてです。
メディア・アーティストの八谷 和彦さん(50歳)は、インターネットが普及し始めた頃にメールを運ぶピンクのクマがかわいいと人気を博したメールソフト「ポストペット」の開発をはじめ、様々な先端技術を使ったアート作品を発表する作家で、東京芸術大学先端芸術表現科准教授でもあります。
その八谷さんが、メーヴェ制作のきっかけについて番組の中で次のようにおっしゃっています。
「人生で1機だけオリジナルの飛行機を作るとしたら何がいいかなと思って、自分も欲しくてみんなが欲しいのは「風の谷のナウシカ」の“メーヴェ”かなと思って、どこまでアニメやマンガの中のものに近づくことが出来るかと考えて作り始めたって感じです。」
まず紙飛行機で“メーヴェ”の形状で実際に飛ばせることを確信し、次のステップでは2003年に2分の1のサイズで模型飛行機を300万円かけて作り、飛行に成功しました。
そして、プロジェクトを始めて3年ほどの2006年にゴムで飛ばすグライダータイプの“メーヴェ”で初飛行しました。
ここまでは順調だったのですが、そこから先が長くて10年近くかかってしまいました。
そもそも現実には存在しない架空の乗り物、“メーヴェ”を作り出すということはイチから新たな飛行機を開発するということ、それには時間は勿論随分お金もかかったようです。
トータルでは1億円ほどといいますが、八谷さんは都心のマンションを買うよりは安いと考えています。
更に“メーヴェ”を操るために。八谷さんはハンググライダーの講習を修得、そしてもう一つ訓練として行っていたのがカポエイラというブラジルの格闘技でボディバランスを鍛えました。
小さい飛行機は風に弱いので、風に合わせて即座に対応しなければいけないので、カポエイラでやっていた臨機応変の動きが役立ったといいます。
こうして製作期間13年の末、今年7月31日に初の公開飛行を成し遂げたのです。
なお、八谷さんの製作した“メーヴェ”のスペックは以下の通りです。
最高速度: 100km/h
航続距離: 約20km
最大飛行時間: 約18分間
今後は海外で飛行するのが八谷さんの夢だといいます。
そもそも普通の人はアニメの世界の乗り物を実際に自分で実現させようと思うことはまずありません。
それを実現させてしまうところが、アーティスト、八谷さんの凄いところだと思います。
八谷さんの作られた“メーヴェ”は誰でも簡単に操縦することは出来ないようですが、実際に飛行しているところだけでも観てみたいと思います。
海外で飛行すれば、きっと実際に観た人の多くはビックリするはずです。
アイデアをかたちにする原点は、こういうものを作りたいという強烈な想いであるとあらためて思いました。